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「さて。今日は皆様にさみしい報告があります」
まにぃたんは、鼻にかけた声でわたしの顔を見る。
「今日で、縞鳥 きらりこと、われらがきらりんがハニガを卒業することになりましたっ。今後は普通の学生さんになるそうですので、皆様どうか、あたたかい拍手を送ってください」
きらりーん、という呼び声は、まにぃたんの太客だったりする。
最近わたしたちが仲良くしていたことを知っているのだろう。
まにぃたんからわたしへ、マイクが送られてくる。
「えっと。これまで応援してくださり、本当にありがとうございましたっ!!」
頭を下げるわたしへ、やさしい拍手と声援がふってかかる。
涙が、知らずに出てきてしまった。
ああわたし、本当はこのままで居たかったのかもしれない。
でも、決めたことだから。
ここはわたしの居場所じゃない。だったら別のところを探さなくちゃいけないんだ。
「これまでの声援――」
「オーナーの孫娘!!」
「どうせコネでハニガに入ったんだろ!? 万年ビリ」
「猿顔なんか見たくないんだよ」
息を呑んだ。
そうだよ。コアなハニガるんなら、それくらいのこと知っていてもおかしくないんだ。
「ちょぉ〜っとした勘違いだよ? 今は素直にきらりんのことを応援できないかな?」
まにぃたんが仲裁に入ってくれるも、かえって混乱してしまう。
「偉そうに言うなよ、糞ビッチ」
「マクラでトップにいる癖にうぜぇんだよ」
「まにぃたんはそんな人じゃないっ!!」
人気商売に限らず、応援してくれる人がいて、アンチもついてくる。仕方がないとは言え、今じゃないだろうという思いがせり上がってきた。
「みんなぁ〜、やめようよう〜」
るり姫が仲裁に入ってくれて、ようやく場が静まる。が、どうにもしらけてしまって、わたしのマイクは運営さんに取り上げられてしまった。
こんな形になるなんて、思っていなかった。
客席に拓郎の姿はない。
彼ももう、あきれてしまったのだろう。
わたしには、あやまる権利もなくなってしまい、頭を下げることしかできなかった。
「え〜、運営からのお知らせです。安全上の都合で、本日の握手会は中止に致します。なお、本日の握手券は後日使うことができますので、無くさないようにお持ち帰りください。繰り返します――」
運営からの連絡に、まにぃたんのファンからため息の声があがる。
「なんだよ。結局アンチの思う壺じゃねぇかよ」
「この中にシーメロのファンが混ざってるんじゃねぇの?」
なんとも言えない雰囲気を、運営さんが懸命になだめる。
ハニガるんの中には、今日だけしか見られない、握手できないという人もいるかもしれない。
わたしのせいでこうなってしまった。
どうしようもないな、わたし。
悲しくて悔しくて。他の子たちの目にも涙が輝いていた。
つづく




