3ー5
バニラんの太客が三人も減った? いったいどうして?
まぁ、僕の太客なんて拓郎だけだからわからないのだけれど。
一気に三人も、となると組織的な陰謀が働いているような気になってくる。
「きらりんは今のところ例の高身長のイケメンくんがいるからビリから二番目ってことだけど。いい加減他の太客いないとやっていけないわよ」
それはわかるのだが、困ったことにどう本気を出せばいいのかもわからない。
「ここからは僕の推理になるけど、話を聞いてもらえるかい?」
「うん。いいわよ?」
「バニラんの太客が三人も減った理由はあれかな? 最近子供向けアニメのエンディングで流れている『シチュエーション・メロディ』の新曲にはまって、太客がそっちに流れた、とか?」
「推理っていうよりそのままね。でも、あながちそれもハズレじゃないわよ。『シチュエーション・メロディ』通称『シーメロ』は最近じわじわ人気が出ているから、バニラんとキャラかぶりしている女の子もいるし、そっちに流れた可能性はあるかもね。でも、あなたの推理はここから、でしょう?」
まにぃたんは魅惑的な笑顔を浮かべる。こんな顔、ハニガるんにしか見せてはいけないのにな。
「もちろん。たとえばバニラんがファンからの手紙を読まないことがバレたとか、それくらいはあるかもしれない」
「それと?」
「握手会で嫌な顔をしたとか」
「それに?」
「彼氏ができた、とか?」
「それだけ?」
困ったなぁ。今回はかなりむずかしいぞ。
「じゃあ、あたしがとっておきの真実を教えてあげる」
むふんと笑ったまにぃたんは、話したくて仕方がないとばかりに顔を寄せてくる。
「実は、バニラんって男の子なんだよって言ったらどうする?」
「まさか。って、え? 本当なのか?」
「極秘情報だよ。バニラんは男の子の身体で生まれてきちゃった女の子だから、ハニガに居ても違和感無し。バレたらそういう子がいてもおかしくないでしょって世の中だし。でも、それくらいのことでファンを辞めるようなら、さっさと離れればいい、くらいのことは言っちゃう子なの」
これは驚いた。バニラんが男の子だって?
いんなに可愛らしくてふわふわした衣装がよく似合っていて、化粧のりが抜群で肌綺麗なのに。
どこからどう見ても女の子なのに。
そうか、でも。時代の流れと言われてしまえば納得できるものな。バニラんがすごいことを知ってしまった。そしてそれを口外できないのは、不思議な緊張感を感じてしまうのだった。
つづく




