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3ー1

 それからなんとなくりさっちのマンションは(ボク)たちの秘密基地として使わせてもらえることになった。


 もちろん、その都度トイプードルのあんずちゃんを散歩させたり、部屋を片付けたりしてあげている。


 なんなら使われた形跡のない洗濯機でりさっちの洗濯物を洗ってあげることもあった。


 今日は謎の女子会と称して、まにぃたん持参のチーズでチーズフォンデュだ。


「お〜いひぃ〜!!」


 自炊ができないけど食いしん坊のりさっちは、カロリー計算なんて無縁とばかりにどんどん食べてゆく。


 まにぃたんがあきれるほどの食欲だ。

 

「りさっち、スタイル抜群なのが許せないレベルだわ」


 その脇で、チョコフォンデュを用意していたまにぃたんがため息をついた。


 (ボク)は目を輝かせてチョコレートの行く末を見守る。これからあの固体が魅惑的な液体に変わってゆくのだ。


 不思議なもので、秘密基地に集まるようになってから、拓郎の呼び出しを受ける回数が減った。


 もちろん、例のゴキブリ事件の話もしたけれど、そんなことより。


 松本 幸子(さちこ)さん。拓郎のフィアンセで、とても魅力的で美しい人。


 (ボク)が拓郎から彼女のことを紹介してもらったのは、ゴキブリ事件から一日後のこと。


 たまたま事件の真相を教えに行った時に、彼女と出くわしたのだ。


 はかなげで綺麗な人は、拓郎の隣がよく似合っていた。


 (ボク)なんかじゃ醸し出せない大人の雰囲気を醸し出している。


 その女性(ひと)は、(ボク)と挨拶を交わすなり、アイドルさんと知り合えて光栄です、と瞳を潤ませていた。


 その一言は(ボク)の羞恥心に火をつけた。


 アイドルであることが、急に恥ずかしいことと思えたのだ。


 だけど、(ボク)は幸子さんのようにはなれない。


 だから、もう拓郎なんてどうでもいいんだ。


「あれ? きらりんの目がうるうるしてるよ。失恋?」


 あの一件依頼、りさっちも(ボク)と仲良くしてくれるようになった。


「あながち間違っていないよ」

「もう〜。誰よ、あたしたちの可愛いきらりんを泣かせたのはぁ〜。食え、チョコフォンデュ出来たから好きなだけ食ってくれ」


 まにぃたんの言葉も一理ある。


 (ボク)はプラスチックのようじをつかむと、イチゴをチョコの中に浸した。


     つづく

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