三章 小学生期
どうもどうも、再び俺です。
いよいよ小学生になりました。入学式も今は昔懐かし限りです。
小学校に入学した俺も、あまり代わり映えなく過ごしています。……嘘です。
三年生にもなると、人はその残虐性を無邪気に発揮するようになるんですね。
「賢司ってお父さんいないんだって?」
でました、両親揃ってますよマウント。
「お前の家、貧乏なんだって?」
きました、お金持ってますよマウント。
そうですよね、シングルマザーの家はお金もなくてかわいそうなんですよね……って馬鹿。
全然そんな事思ったことないわ!
確かに、ご両親が揃っているお宅に比べれば貧乏かもしれない。お父さんの顔も名前も知らないけれど、その分お母さんが優しく育ててくれたから、感謝しかしていない。
まぁでも、一旦始まってしまったマウント合戦は激しくなっていくものです。
4年生にもなると、俺はシングルの家の貧乏な可哀想な奴から、貧乏だから一緒にいると貧乏が伝染る汚いやつへと、無事昇進を果たしました。
「お母さん、どうして僕にはお父さんがいないの?」
あぁ言ってしまいました。禁断の一言。
「……ごめんね」
ほらね。
この時のお母さんの悲しそうな顔は、多分一生忘れないでしょうね。
「お父さんいなくても、お母さん大好きだから大丈夫だよ」
小学生ながらに強がってますね。学校での出来事も何も言えずに我慢していて、辛いのに、寂しいのに……。
それからもマウント合戦は続きました。そりゃ傷つきますよ。シングルマザーで金なしの子、事実ですからね。
でも、貧乏は伝染らないし、別に俺も汚くない。事実と虚構が綯い交ぜになった言葉の剣がめちゃくちゃに突き立てられます。毎日、毎日……。
それでも六年間通い続けたのは、お母さんの悲しい顔を見るのが嫌だったからです。
朝早く起きて、俺の朝ご飯を作り、朝ご飯が終わるとスーパーでパートをして、夜の七時頃には一旦帰宅して俺の夕飯を作ってくれる。そして、夜は夜でまた仕事に出かける(夜の仕事が何かは分かりませんが)。
こんなにも頑張って生活を支えようとしてきたお母さんの悲しむ顔を誰が見たいというのでしょうか。
もし見たいとか、見ても構わないとか言う奴がいたら、俺の前に名乗り出て来て欲しいですね。夜通し説教してやります笑
ただ、たまに、俺が寝ているところに帰って来たお母さんに気が付いて、起きてしまうこともあるんですよね。心配させたくないから、寝た振りを続けますけど。
その際に、何だか凄く嫌な臭いを感じる事もあるのですが、それは御愛嬌。俺の小学生期には関係ない話です。
俺が通うはずの中学は公立なので、この学校の卒業生も通うのですが、近隣の他の小学校の卒業生も通うことになっているので、もしかすると、中学校に入学すれば何か変わるかもしれません。
マウント合戦も、「ダッセー、カッコわりい」と言って断ち切ってくれるヒーローが現れるかもしれません。もしかしたら、環境が変わったことで自然消滅するかもしれません。あくまでも他力本願です。
自力でどうにかしようなんて、数の前では思えません。
神様がいるのなら、俺の中学校生活に光を差し込んてください。楽しいと思える毎日にしてください。
大好きなお母さんと大好きな友達に囲まれて、毎日が大好きだと思わせてください。
神様に祈るのも他力本願ですね笑
ま、そんな事を思いつつ、小学校の卒業式に参加してきます。
中学生活は楽しくしたいなぁ……。




