二章 幼少期
あ、お久し振りです、俺です。
あの生まれた時の病院以来ですかね。
既に三歳になりました。保育園にも行ってます。すごいでしょ?少しは成長したでしょ?
ただ、保育園までお母さんに連れてこられて、お母さんと離れる時には、今も少し泣いてしまいます。恥ずかしい笑
あ、この三年間で少し分かったこともあります。どうやら、俺にはお父さん、いないみたいです。いわゆるシングルマザーってやつですね!
でもお母さん、この三年間本当に良く愛してくれています!朝から晩まで働いて、毎日疲れているはずなのに俺の寝かしつけもそうだし、休みの日には遊びに公園まで連れて行ってくれています。感謝以外の言葉が見つかりません。」」
まだ三歳なので、言葉ははっきりと喋ることは出来ないのですが、それなりに言葉を覚えてきました。
保育園でも仲の良い友達が出来ました。
「よういちくん」と言う彼が、俺の初めての友達です。ま、お互い単語の羅列でしか話をしてないんですけどね笑
でもね、それが心地良いんです。言葉などなくても気持ちが通じ合える中。良くないですか?
ある日のことですけど、よういちくんとケンカしました。俺のお気に入りのおもちゃを、よういちくんが投げたんです。ポイって投げたんです。ひどくないですか?俺がお気に入りにのおもちゃだと知っていたのにですよ?そりゃ怒りますよ!怒って当たり前ですよ!
だから、俺はよういちくんをぶちました。お気に入りのおもちゃを拾ったあとに、そのおもちゃでぶち叩きました。
よういちくんは泣きました。かなり大きな声で泣いていました。でも、俺のお気に入りのおもちゃをぶん投げたよういちくんが悪いんです。俺は悪くありません。
でも、お母さんが保育園の先生に呼ばれてました。
よういちくんのお母さんも怒っていました。お母さんはよういちくんのお母さんに頭を下げて謝っていました。
「どうもすみませんでした。こういうことがないように、ちゃんと言いかせます」
お母さんは悪くないのに、俺も悪くないよ?だっておもちゃを投げたのは、よういちくんだから。
お母さんはその日、俺の頭を撫でてくれました。
「どれだけ理不尽でも、絶対に暴力はいけないよ?それだと一緒になっちゃうから……」
何と一緒になっちゃうのか、俺には分かりませんでした。でも、お母さんが、よういちくんのお母さんに言われていたことで、「これだからシングルのお子さんは」という言葉はなんとなく悪意があるのだろうとは思いました。
それから保育園を卒園するまでの間、お母さんは何回か保育園に呼び出されることがありました。
俺からすると、理不尽と戦った結果なだけだったんですけどね。
なんだかんだ、問題児扱いをされているだなとは俺も感じてはいました。
お母さんが呼び出しをされるたびに、申し訳ない気持ちはあったんですけどね。それよりも、シングルマザーの子供という言葉が許せなかった、その思いが強かったような気がします。
子供ながらに、何か思うところはあったんでしょうね。言葉もまだはっきりしないくせに、気持ち?思い?だけはしっかり持っていたことは覚えています。




