一章 出生期
おやおや、どうもこんにちは、俺です。
……もしかしたらこんばんはかもしれませんね。おはようございますかもしれません。
どうでもいいですね!
あ、あの、俺、もうすぐ生まれるみたいです。いつ生まれるかは俺次第、もうちょっと粘っちゃおうかな?でも、それするとアレですかね、母子ともに危険とかになっちゃいますかね!だとしたらやめておきます。サクッと生まれてみますか!しゃ、お母さん頑張ってくださいね、生まれますよ!
……はい、生まれました!えぇと、泣きますよ、いいですか?泣きますよ?
「ふぇー」
はい泣きました!泣かせていただきました!ちょっと羊水が肺から出る時に苦しかったですけど、ま、あとは何とか泣くことができました。ちょっとダケ、ちょっとだけですよ?このまま泣かなかったらどうなるかな?とかイジワルなことも考えてしまいました笑
でも、なんか一年近くもお腹の中にいさせてくれたお母さんに申し訳なくて、結構あっさり泣かせて頂きました。
お母さん、イジワルな事考えてごめんなさい。反省してます。これからの人生反省して生きていきます(多分)。
へその緒を切られて、お母さんとの繋がりは絶たれましたが、体重測られたり、身体についてるいろんなものを拭かれたりしながら、とりあえずは流れに身を任せてみます。あ、お母さんの胸の上に移動させられました。でもね、裸でいるので寒いですね。早く何かを着させて欲しいです。正直。
お母さんの顔も初めて見ました。今まで声は聞こえていましたが、顔を見るのは初めてです。
あら、意外と可愛らしいお顔をされてるじゃないですか!子供として鼻が高い!
お父さんは?お父さんはいませんか?あれ?お父さんの顔が見えません。ま、お父さんに会う機会はまた別にあるのでしょう。
ひとまずお母さんのおっぱいを飲んだら眠くなったので、今は寝ますね!おやすみなさい。
次に目を覚ましたら、全然知らないカプセルみたいな中にいました。新生児何とか室みたいなところですかね?
周りを見ると、俺みたいな赤ちゃんがいっぱいいて、みんな思い思いの時間を過ごしていました。しばらくはここにいることになるんですかね?早くお母さんと一緒の部屋で過ごしたいものです。
生まれてから何日が経ったのでしょう。今日からお母さんと同じ部屋に行くみたいです。ようやくです。ようやくお母さんといっしょです。うれしくないわけがないですよ!
お母さんが先生とお話をしています。出生届がどうのこうとか、俺にはまだ分からないことだらけですが……
「エンドウケンジ」
それが俺の名前みたいです。お母さんが言ってました。賢さを司るで「賢司」と。
そんな大層な名前をもらった俺は、これから先、その名前に恥じないように生きていきます。
と思ったのはこの瞬間だけで、これから先、色々なげんじつと向き合わなきゃいけない人生なるんですよね!
生まれたばかりの俺は、何も知らないし、知る由もありませんでしたから。ま、何をどうこう言っても、それはまだ先の話だし、今の俺はただ生まれたばかりのか弱い赤ちゃんです。
これから宜しくお願いします。




