第5話:魔力操作
レベル800代のフロアをほとんどマッピングした。
アクアさんと二人で長いこと彷徨っていたので、あたしたちは疲れた。
疲れたというのは精神的疲労はもちろん、肉体的疲労もこの身体はあるようだ。
入り組んだ岩場の陰で、休憩をすることにした。
「アクア……さん、この身体でも疲れるんだね?」
「そうですわね。でも疲れていても休憩の前にスキルポイントを使い切った方が良いですね」
「スキルポイントを使い切る?」
「スキルをたくさん使うんですよ」
その言葉の意味を考える。今まで隠密や危機察知、それに瞬間移動も使っていた。
「今までスキルをたくさん使ったんだけど?」
「何を使いました?」
「魔物から逃げる為に、危機察知と隠密、それに瞬間移動」
「瞬間移動はともかく、危機察知と隠密はあまりスキルポイントが減りませんわ。消費が少ないですわね」
「えっと……スキルポイントを使い切ってどうするの?」
「もちろんスキルを成長させる為ですわ」
「鑑定や隠密は上がっていたけど?」
「上がりやすい物と上がりにくい物があります。中でも魔力操作は上がりにくいので、積極的に上げないと」
なるほど。上がりやすさが違うと。そして攻撃に使えると思われる魔力操作は上がりにくい。
「では魔物たちに見つからないうちにやりましょうか」
そういうとアクアさんは魔力操作を始めて、ポタポタと水を垂らす。地味な作業に見えるがあたしも真似をする。
「ぬぬぬ!」
まだ慣れないので力んでしまう。アクアさんは平然とやってのけている。アクアさんの方が生まれたてっぽいんだけど……。
あたしの方はというと、光の球が一瞬光る。その光で魔物にバレないかとハラハラしてしまうので、一応危機察知スキルもオンにしている。
そしてスキルポイントを使い切って、周囲の安全を確認してから寝ることになった。