第1話:ウィル・オー・ウィスプ
異世界転生して、ウィル・オー・ウィスプになってしまった少女。
あたしの名前は、白金羽衣子。女子高校生である。
学校の帰り道。あたしはスマホを見ながら、ぼーっと歩いていたら、突然身体中に痛みを感じた。
自分の身に何が起きたのかと、身体に視線をやり確認する。あちこち傷だらけになり、血が流れている。何故怪我をしているのか知りたくて、周囲に視線を移す。
すると、あたしは乗用車の目の前で倒れていた。どうやらあたしはスマホに夢中になり、いつも歩き慣れた横断歩道で信号を見逃して、横断中に車に轢かれてしまったようである。そこまで考えると意識が遠のいた。
あたしが意識を取り戻すと、知らない景色が見える。それは古代遺跡のような作りをしている。
とりあえず、ここがどこなのか分からないけど、移動することを考える。家に帰るためだ。
怪我をした箇所の状態を確認しようと、腕を見る。両腕とも無い。足は? そう思い慌てて足を見る。足もない。それならばと胴体に視線を向けようとすると、地面が視界に入る。
(どういう状況? 足どころか胴体もないの? 視線の先がいきなり地面なんですけど……あたしは死んで魂にでもなった?)
地面を見つめてみるが、どう考えても浮いている。だって、足がないんだもん。まあ、それどころか胴体も見つからないんだけどね。
(死んで魂だけの存在になったのかな。スマホなんかに気を取られて、馬鹿だな。あたしは……)
涙を流そうにも流れない。まさか目もない? いや、でも地面は見えている。自分の状況を知りたくて、鏡でもないかと思った。でも、幽霊とかだと鏡にも映らないこととかあるかも?
足は見当たらないけど、移動を試みる。視線を地面から通路に移した。安易ではあるが、動け! と念じてみる。すると、移動した。真っ直ぐに移動するというよりも、綿毛でも舞うかのように、ふわふわと漂うように前に進んで行く。
(動き回るゲームの画面見ているみたいに、画面酔いしそう)
だが、不幸中の幸いか、気分は悪くならない。三半規管が強いとは言えず、どちらかというと人並み以下である。でも、気分が悪くなることがないので、そのまま進む。
進んで行くと、この建物がどんな感じか分かって来た。迷路のように入り組んでいる。
思わず自分が死ぬ間際に読んでいた、ウェブ小説を思い出す。あたしが読んでいたのは異世界転生もの。
(ひょっとして、異世界に転生しちゃった?)
そう思い立ち止る。いや、立ってはいないけどね。ステータスウィンドウが出ないかと確認してみることにした。ステータスウィンドウは異世界ファンタジーでは、必須でないこともあるので、どちらかというとゲームかもしれないけど。ウェブ小説ではよく出て来ていたので、駄目もとで思い浮かべてみる。するとステータスウィンドウが頭の中に浮かんだ。
(やっぱり異世界転生だ!)
あたしは死んだ悲しみをもう忘れて、この異世界が楽しみになっている。死んでしまったのは仕方がない。大事なのはこれからの人生だ。
頭の中に浮かんだステータスウィンドウを確認してみる。
【種族:ウィル・オー・ウィスプ】
【名前:シトリン】
【レベル:1】
(え? 情報これだけ?)
とりあえず、少ない情報を整理してみる。まず種族。『ウィル・オー・ウィスプ』と表示されている。ウィル・オー・ウィスプって光の精霊とかじゃなかったっけ? 次に名前。『シトリン』ってどうやってついた名前? 疑問に思いつつ名前のことは置いておく。更にレベル。レベルが1と表示されているのならば、レベルアップをすれば何か変化するかもしれない。
レベルを上げるには、どうすればいいのであろう? 大抵レベリングは、戦闘で魔物を倒したりする。この手足が見当たらない身体で、戦えるのか?
再び移動を始める。移動速度は速くならずに、ふわふわとゆっくり進んで行く。
かなり長い時間をかけて進むと、部屋があり、行き止まりになっていた。
部屋の中を見渡す。移動速度に比べて、視点の切り替えは速い。
部屋の中央には台座があり、その上には木製の宝箱が置いてある。喜びつつふわふわと木製の宝箱に寄って行く。
そして木製の宝箱を開けようとしたが、腕がないことを思い出した。ステータスウィンドウみたいに、念じれば開かないかと思い、頭の中で木製の宝箱が開くことをイメージしてみる。しかし、開く気配はない。何度も試していると、システムメッセージのようなものが表示された。
『鑑定スキル、レベル1を取得しました』
(おお~! 鑑定スキルが手に入ったよ。これでスキルが存在するということも分かったね)
嬉しくなりつつ、木製の宝箱を鑑定してみる。
『木製の宝箱』
見たまんまじゃないか? 鑑定でも何でもない!
鑑定スキルについて考えてみる。レベルが上がれば、中身とかも見れるかも?
そう思い、鑑定スキルのレベルを上げることにした。
あたしは同じことをやっていれば、鑑定スキルのレベルが上がるかと思い、何度も同じように繰り返してみる。だが、鑑定スキルのレベルが上がる気配はない。
その作業をしたことによる身体的疲労はないが、精神的疲労を感じるために、諦めてこのダンジョンを探索することを続けることにした。
進めど進めど通路ばかり。いや、進むのがゆっくりなので、大した移動は出来ていない。
この作品は、作者の気分転換と練習です。
打ち切りになる場合があります。
更新があるとしても不定期となります。




