第2話 顔が良ければ、助けてもらえる
「さて、これからどうすればいいんだろう」
異世界に転生した俺は、いきなり街中に飛ばされてしまったので、今後の身の振り方を考えていた。
腰には短剣が刺さっており、ポケットを調べると布袋にいくらかのお金が入っていた。異世界転生系のラノベやアニメの流れからすると、ギルドに行って冒険者登録をするのが定石だろうけれど、そもそもギルドの場所も分からない。
ていうか、言葉って通じるのかな?
「あの、もしかして、お困りですか?」
色々考えなくちゃいけないことがあるよなと思って、顎に手を置いて考えていると、俺の目の前に茶髪の可愛らしい女の子がやってきた。
赤らめた頬と優しそうな笑みを向けられて、思わずドキリとしそうになって俺は視線を外した。
いやいや、何自分が話しかけられたと思ってるんだ、俺。
俺みたいなのに自分から話しかけてくれる人なんかいるわけがないだろう。
そう思って辺りを見渡してみたのだが、どうもおかしなことに周辺には俺以外に人がいなかった。
どういうことかと思って、その女の子の方に再び視線を向けてみると、その子は恥ずかしそうに髪を耳にかけて俺の返答を待っている様子だった。
「……もしかして、俺に言ってくれてますか?」
「はいっ。お兄さん、なんか考えていたみたいなので、困ってるのかなって思って」
「な、なんで俺なんかに?」
「なんでって、困ってる人がいれば助ける。当たり前じゃないですか」
目の前にいる女の子はそんな言葉と共に、くすりと笑うような笑みを俺に向けてくれた。
……まじか。異世界ってこんなに人に優しいのか?
日本にいたときはどれだけ困っていようが、こんなふうに話しかけてもらった覚えがなかったので、俺は異世界の優しさに感動を覚えていた。
こんなに生きやすい世界があったなんて、異世界って素晴らしい所なのかもしれない。
そんなことを思いながら、俺はせっかくの好意に甘えることにした。
「あのー、初めてこの街に来たんですけどー」
不意に後ろからそんな声が聞こえてきて振り返ると、そこには俺と同じくこの街に初めて聞いたと思われる男性が、女の子に声をかけようとしていた。
きっと、男性も俺と同じように迷っていたのかもしれない。でも、大丈夫だ。この街の人たちは困っている人がいたら手を差し伸べる人達。
すぐに案内をしてもらえることだろう。
「宿屋ってどこか分かりまーー」
しかし、そんな俺の期待は簡単に裏切られて、その男性は華麗に無視をされていた。
あ、あれ?
無視された男性は決してかっこいいわけではないが、ブサイクという訳でもない。それなのに、声をかけられた女性は、男性をスルーすると、そのまま何事もなかったかのように歩いていった。
……。
「お兄さん?」
「え、あっ、ええっと。ギルドまでの道のりを知りたいんですけど、教えてもらったりできますかね?」
「冒険者ギルドですね。案内するので、一緒に行きましょうっ」
あれ? 俺は無視されない?
いや、そもそもこの子から話しかけてくれたんだし、無視されることはないのか。
「い、いえ、さすがに悪いですし、道を教えてくれるだけで平気ですよ?」
「いーえ、途中で迷っちゃうかもしれないでしょう? ちゃんと案内しますよ」
迷惑そうな顔を一切しない女の子に先導されながら、俺は無視をされた男性と店のガラスに映る自分の顔を見ながら、俺とその男性の違いに気がついた。
そうか、顔が良いからか。
「お兄さんはどこから来たんですか?」
「えっと、俺は――」
俺は冒険者ギルドに案内してもらう道中、初対面で気まずくなるはずの会話が弾んだことから、色々と察してしまうのだった。
どうやら、顔が良いというだけで、会話も相手の方から振ってくれるらしい。
オチもない会話なのに、よく笑ってくれる女の子を前に俺はそんなことを思うのだった。
これは、顔が良いだけで人生って結構なヌルゲーになるのでは?
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