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第1話 異世界でヌルゲースタート


完全週休二日制を謳いながら、休日など存在しない劣悪な労働環境で低賃金で働き続けて、気づけば40歳を超えていた。


 結婚などできるはずがなく、彼女だっていたことはない。そもそも、異性と関わるのはコンビニの店員か画面の中だけ。そんな生活をずっと送っていた。


 俺は何年かぶりにもらった有休を本来の休日に当てて、久しぶりの休日を謳歌するつもりが、寝て起きたら夜になっていた。


 それも当然だ。疲れが蓄積され続けてボロボロになった体は、本能的に休むことを選んだんだろう。


それに、今日の朝3時まで仕事をしていたのだから、余計にそうもなる。


 せめて、夕食だけは良い物を食べようとコンビニで爆買いしたお惣菜と1.8Lのレモンサワーの原液と炭酸を買い込んで帰宅した俺は、それらをテーブルに広げてやけ食いとやけ酒をした。


 酔いが回ってきた頃、ふとテレビに映っているイケメンアイドルのCMを見ながら、俺は、ぼそっと独り言を漏らしていた。


「……顔が良ければ、人生ヌルゲーだったのに」


ブサイク低身長肥満体形低学歴低収入。


 比べるまでもなく、圧倒的敗北である。


 誰に対して言うでもなくそんな言葉を漏らした俺は、酒を飲んですべて忘れようとして、近くにあった酒瓶を手に取った。


 そして、度重なる重労働と現状から現実逃避するため、それを一気飲み干そうとしたところで、それがウイスキーの原液だったことに気がついた。


 そのことに気づいたのは、ほぼ新品の状態から一気に半分近く飲み干してからだった。知らぬ間に倒れていた俺の元に転がってきた酒瓶を見て、その正体に気づいたのである。


 あれ? 俺倒れてるの? ていうか、これってもしかして、死ぬ?


 そんな疑問を抱いたところで今さらその流れに逆らうことができるはずがなく、俺の視界は徐々に暗く狭まっていったのだった。




「異世界からの転生者の書類をこちらへ。ふむふむ……ん? ちょっと、これおかしくない?」


 それからしばらくして、意識が徐々に戻って来たときには知らない女性の声がした。一体何について話しているのか分からないが、転生者がどうとか言っている。


 つけっぱなしにていたテレビからアニメでも流れてきているのだろうか?


 ていうか、俺は生きているのか?


「だって、これだけ顔が良くないなら、何かしら別の才能を与える物でしょ。それなのに、何も与えないどころか、むしろ逆に全部をマイナスに振ってるし……これ、天界的にもかなりマズいミスでしょ」


 ……テレビの音、だよな?


 なんか凄い親近感を抱くような転生者の話が聞こえてきた気がするんだけど、本当にまるで自分のことのように。


「せめて、転生先では前世の分含めて苦労しないようにしてあげたいけど、どうしようか。え? 死ぬ間に言ってたことがあるの?」


 この展開は良く知っている。異世界に行くときに、チート能力を貰えるっていうネット小説の定番のパターンだ。


 ていうことは、やっぱりこれはただのアニメか。


「『顔が良ければ、人生ヌルゲーだったのに』? なるほど。それなら、女神パワーマシマシでその願いを叶えてあげましょう」


 あれ? その言葉って俺が最後に言った言葉じゃ……。


 よくよく聞いてみると、その声がテレビから聞こえるものではない気がしてきた。


「それでは、田所祐樹たどころ ゆうきさん。女神特典マシマシにしておいたので、異世界での第二の人生は楽しんでくださいね」


 え、田所祐樹? それ俺のこと、だよな?


 そのことに気づいた次の瞬間、体がふわっと浮く感覚に襲われた。


 そして、次に目を開けたときに広がっていた世界は――


「……異世界?」


 ラノベやアニメなどでよく見る中世ヨーロッパの街並みが広がっていた。


 ということは、先程行われていた話し合いって俺のことだったのか?


 じゃあ、これはラノベやアニメでよく見た異世界転生ってやつなのか?


「ていうか、なんか視線がやけに高い気が――うわっ」


 何かの台にでも乗っかっているのかと思って足元を見てみると、そこにはすらりと長い脚があった。


 モデルのような長い脚はしっかりと地面に立っていて、それが自分の意思でしっかりと動いていた。


 そして、改めて視線を上にあげてみると、街を歩く人たちの後頭部が良く見えていたことに気がついた。


 これが高身長の人が見ている景色なのか。


 いや、ていうか、何ださっきの驚いた時に出た声。有名声優さんが顔負するくらいのイケボが出た気がするんだけど。


 一体、俺の体に何が起きているんだ?


 突然過ぎる体の変化に驚いていると、やけに周囲の視線を集めていることにも気がついた。


 ただそれは馬鹿にするような視線でもなければ、蔑むようなものでもない。


 特に女性からは、初めて向けられる少し熱っぽい視線を向けられているような気がした。


 ……何かおかしいのかな?


 そんなことを考えながら、ふいに店のガラスに映った人物を見て俺はその人物の容姿に魅入っていた。


「すげーイケメンがいる……ん?」


 俺の口の動きに合わせて、なぜかそのガラスに映る人物の口が一緒に動いていた。


 意味が分からなくて考え込んでいると、俺と同じ動きでガラスに映る人物も考えこんでいた。


 え、もしかして、ガラスに映っている浮世絵離れしているイケメンって俺なのか?


 そこで、俺は女神様が言っていた言葉を思い出した。


『『顔が良ければ、人生ヌルゲーだったのに』? なるほど。それなら、女神パワーマシマシでその願いを叶えてあげましょう』


 背が高いのも、声がイケボなのも、顔が浮世絵離れしているのも、全部これ女神特典?


 ……女神特典って言うのにても、さすがにイケメン過ぎやしないか、この顔。


 こうして、俺の異世界で『顔が良ければ、人生ヌルゲー』な生活がスタートしたのだった。




『ザー……ユニークスキル【世界に愛される男】常時発動中、ユニークスキル【世界に愛される男】常時発動中、ユニークスキル【世界に愛される男】常時発動中、ユニークスキル【世界に愛される男】常時発動中……』



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