プロローグ
天使はとても孤独でした。
自分以外のモノが棲まわないこの世界。
いつも、一人ぼっちで。
いつも、悲しくて。
いつも、退屈で。
そんな孤独な天使は、友達を願いました。
甲高い子供のような声で。
「僕にも、友達が欲しい、自分以外の者と関わってみたい」
そんなことを言いながら、毎日、毎日、虚空の空に願いを捧げました。
そんな虚の闇の中に棲む天使を。
神様は見ていました。
神様は考えました。
彼に力を与えようか。
彼に権限を与えようかと。
神様は天使に言いました。
「君のことは、いつも見ていたよ、実に悲しく、卑小に叫び泣く君の声をいつも聞いていたよ」
「僕は、実に悲しい生きモノだ。退屈な面白味もない存在のモノである。僕のことを見ていて、きっとあなたは面白いかもしれないけど、僕はつまらない、もっと楽しくなりたい、もっと運命を弄りたい」
天使のその言葉に、
「君が普段見て、あざ笑ってるモノ達に、何かしてやろうと思う気持ちはあるかい?」
神が尋ねると、
「そんなことが出来るの?」
「私はもう疲れたよ。ひと通り、いろんな運命を定めた。君に運命を決める権限を与えてあげよう」
そんなことを言う。
「見てごらん、愛に飢えて、ここにも叫びなく女の子がいる。その子に愛を与えるか? その子を愛で踏みいじるか? 君の好きにしていいよ」
「え!? いいの?」
「あっちの子も、見てごらん! 自分が愛した女の子に一生懸命思いを伝えようとしているよ。邪魔したくならないかい?」
神がそう聞くと、天使は、
「じゃあどちらも、愛に狂わそうか……」
そうして、天使の運命は、今始まったのである……