蕃茄は猫を食すか
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注意!!
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・猫好きな方は閲覧注意です。
・バイオレンス要素があります。
そんなに詳しく書いたつもりはありませんが、気をつけて呼んでください!!
柏原少年は孤独である。同居人の猫も孤独である。
少年の親は死刑になって死んだ。
他人の家の愛玩動物殺しの後、人殺しをした。
だが、親と同じにはなりたくない。
少年は菜園で胡瓜やトマトを育てていた。胡瓜は猫に与えたが、トマトは少年が独り占めしていた。
菜園は付け焼き刃ながら、少年が作った。
7月26日
今日もいつも通りの朝飯を食べ、菜園で野菜たちの相手をし、あとは眠り、起きたころに晩飯を食べた。胡瓜を猫にやり、その後眠る。
晩飯を食べ終わったころ、打ち上げ花火を見た。
全く綺麗ではない、ドブ色の花火。または赤黒い花火。
しかし、夢の中の話である。この辺りには、人は住んでいないのだから、花火なんて打ち上がるわけがない。全くの夢。少年の自己完結型作り話である。
7月27日
起きると朝だった。立ち上がると頭が痛い。
痩せぎすの猫が、ぼおっとした顔で少年を見た。殴り飛ばしたくなる。
気付くとこのボロ家にいた猫。
親が残したこの家に、猫は勝手に住み着いていた。
猫は働きもせず、あくびをかきながら家にいるだけだから、少年はこの猫が嫌いである。
ささやかながら、少年は畑に肥料を撒いた。
川で釣った、フナやらザリガニやらの骨と殻を潰して撒いた。
ときには、狩って肉を食べた兎の骨を砕いて撒いたこともある。
少年は農作業のやり方を教わったことは無いから、ずっと前に読んだ、うろ覚えの書物に書いてあったやり方で、農作業をしていた。
家に帰ると、猫が吐いていた。
吐瀉物塗れの顔で家の中をウロウロしている。
何回も吐いたようだ。
少年は、猫を川に沈めたくなる気持ちに蓋をして家を掃除した。
7月28日
今日は町の書物好きな、お爺さまの家に行った。
少年はお爺さまと書物が大好きであった。
いつかの農作業本は、だいぶ前に捨ててしまったらしい。残念だ。
少年は「猫図鑑」なる本を見つけた。
あの忌々しい猫の殺し方が書いてあるかもしれない。
……書いてあった。
「猫には毒となる植物があり、百合、未成熟のトマト、躑躅、紫陽花、唐辛子……」
どうやら、猫にとっての毒植物らしい。しかも、「未成熟のトマトを与えれば死ぬ」らしい。
少年は、勝手にそう解釈した。
実際は、猫がそれらを食しても死ぬかどうかは分からないというのに。
少年は家に戻り、寝た。
7月29日
少年は機嫌が良かった。猫がこの家から消える。そのことを考えるだけで三十升の白飯が食えそうであった。
また今日も猫が吐いていたが、若気ながら掃除した。
今日も農作業をした。その帰りに、まだ蒼いトマトを十ほど摘んで持ち帰った。
猫に胡瓜の代わりに、蒼トマトを与えた。
美味いのか不味いのか分からない顔をして食べた。
こんなことなら、トマトを独り占めせずに、猫に与えれば良かった。
そんなことを思いながら眠りにつく。
7月30日
猫が吐いていた。また笑顔で掃除する。
もしかしたら死ぬ前兆かもしれない。
少年は嬉しかった。
ジワジワと猫が弱っている。
床に伏せ、じっとしていた。
しかし、夜になっても猫は死ななかった。
ドブ色の吐瀉物を撒き散らすだけだった。
7月31日
起きると流石に猫は死んでいると思ったが、死んでいなかった。
見ると、昨日の夜より体調が良くなっているようだった。四本の足で立ち、相変わらずの醜く、愛想のない顔をしていた。
心底苛立った。
包丁を持ち出し、猫の首に狙いを定めて振り下ろす。
首と胴体が離れた。
「あはははははははははははは」
少年は楽しかった。
しかし、我に帰ってしまった。
少年の親、殺人鬼と同じではないか。
少年は動物を殺した後……
人間を、自分自身を殺した。
首と手首の頸動脈を包丁で掻ききった。
31秒後、少年は死んだ。
家は、吐瀉物、少年と猫の血で溢れていた。
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トマト(蕃茄)
・猫に与えると、下痢や嘔吐、めまいやふらつき、痙攣、呼吸困難などの症状が見られることがある。(大量摂取した場合)
柏原怖い(´;ω;`)
作者は猫、嫌いでもないですが、好きでもないんです。しかし「この描写どうなのぉ〜、うひぃ、柏原怖いよぉぉぉ」ってなりながら書いてました。
トマトは猫にとって毒である、ということを最近知って書きたくなりました。
拙い文章であることも併せて、すみませんでした。
これからもこういうの書くつもりです!!