幕間 大社に伝えられる神代の物語③
果て無い『あお』の中、始祖大御神の最後の望みとして生み出されし神の鳥・大白鳥神は、悠然と飛翔し続けた。
いつまでもどこまでも飛び続けていらっしゃったが、大白鳥神はある日、眼下に大地が広がっているのに気付き、そこへ降り立たれた。
『あお』の中から現れたまばゆい光の神気に、大地と一体化して眠っていたかつての神の子たちが目を覚ました。
そして、若く強く美しい神を見付け、拝して願うには
「我々はかつて、身体を持ってこの土地に住まうものでしたが、今は魂だけになってしまいました。光り輝く神の鳥に願います。我々に身体となる形代をお与えくださいませ。お与えくださるのならば未来永劫、あなた様を神の王として祀り、崇め、従います」
小さき者たちの切なる願いに大白鳥神は心打たれ、身体となる形代を与えようと約した。
しかし、身体を失くしたとはいえ元は神の子、試しに作った土を練った形代では、神の子の強い魂を受け入れることは出来なかった。
しばし考えた後、大白鳥神は自らの神気を、『昼の大地を照らす日』と『夜の標として輝く月』の二柱の神に別け、日と月が番うことで子を成すことにした。
その、元は一柱であった二柱の神から生まれた数多の赤子は、身体を欲する者たちの形代となり、大地に再び生命ある者が満ち満ちるようになったと、万物の父にして夢を司る神・『いろなし』のみことを祭る大社に、代々伝えられている。




