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幕間 大社に伝えられし神世の物語②
始祖大御神が生み出した二柱の男神と女神は、出来上がったばかりの熱い大地に降り立つと、互いの翼で互いを優しくたたき合い、言挙げした。
「我は始祖大御神の願いにより生み出され、始祖大御神の願いを叶える者。汝は如何に?」
「我も君と同じく、かの神の願いにより生み出され、その願いを叶える者なり」
「ならば我らは始祖大御神の願いのまま、妹背となって子を成さん」
「妹背となって子を成さん」
二柱の神は妹背となり、最初に生んだ総領娘こそが癒しと安らぎをもたらす女神『みどり』のみこと。
かの女神は始祖大御神を祀り、鎮める巫女姫となられた。
その次に妹背神は、四人の子神を成した。
北を司る鶺鴒・南を司る燕・東を司る雀・西を司る椋。
これより東西南北が定まった。
時を経た後、東西南北を司る神の子孫は、最初に生まれた総領娘を神世に倣い、一族の氏神を祀る巫女とする慣習がうまれた。




