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龍。

 目の前に大きな龍が見える。


 雲の合間をうねうねと縫う様に這う蛇の様な龍。

 紫の雲が風と雨を辺りに叩きつけ、波が世界を洗う。


 黒髪の王子率いる騎士団は剛弓を射るも龍にはカスリもしない。

 あれ、は、次元が違うのだ。比喩ではなく同じ空間には存在していない。ただただ姿がそう映し出されて見えるだけで、人の到達できるレベルでは無いのだった。


 普段、もっと小さな産まれたての龍であれば、それの被害を防ぎやり過ごすことで何とか龍自体のエネルギー量が尽きるのを待つ。

 人にはそれしか出来ることは無いのだけれど。


 ここまで大きくなった龍は久しぶりだ。


 まだお父様が負けた龍のレベルには達していないのが救いか。




 わたしは地上に向かって叫ぶ。


「ここは私に任せて。貴方達は被害を防ぐことに全力を向けてください!」


 ざわっと騎士団が騒めく。


 マシン=マスターか!


 そう叫ぶ人も居た。


 お父様を知っている世代だろうか。それとも、わたしが人知れず龍を片付けている事が知られているのだろうか?


 普段のわたしは伊達眼鏡もかけてるし、いつものメイドの姿とこのわたしを同一視する者は居ないと信じたい。


 真っ赤なミニスカワンピに銀の髪。髪の長さも普段のショートから今はロングに変えている。ごまかせれば良いんだけど……。




「皆! マシン=マスターが来てくれた。ここは邪魔をしない様に龍は彼女に任せ、我々は背後に被害が出ないように全力で守るぞ!」


 そうリカルド王子が号令を飛ばす。


 うん。ちゃんと正確に判断が出来る良い王子様だ。


 わたしもその期待に応えられる様、全力で行かせてもらう!



 両手から光の槍を飛ばす。


 あめかぜはバアルに任せ、龍の咆哮による衝撃波をくるくるひらひらといなす。


 時々飛んでくる鱗を両手で叩き落とし、アークの攻撃を浴びせ。


 巨大な尻尾がビュンと振り払われ目の前に迫る。


 わたしは小さな瞬間移動を連続でこなして躱す。


 龍を形作っているものもバアルやアウラだった。それが思念体によって纏められ龍となって見えている。

 わたしはアークの槍を飛ばしその龍から少しずつマシン達を剥ぎ取る。あとはフニウに任せて思念を浄化して。


 ……アリガトアリア。

 ……ダイスキアリア。


 みんながわたしのだいすきな子達に戻って拡散していく。


 良かった。




 龍のその姿はいつしか小さくなっていった。

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