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コミック3巻発売おめでとうございますSS

  『アイスを作るまでのあれそれは』


 『緑竜セルジジオス』の王都、『ハルジオン』で料理のレシピを提供することになった俺たち。

 悪いのはアレファルド。

 あいつ本当もー、行き先にしっかり人使って報告連絡相談してないわけー?

 1週間の遅刻もありえねぇと思うが、それを先方である『緑竜セルジジオス』にちゃんと連絡してないことにびっくらこいたわ。

 そのくらいのこと常識だと思うんだけどなー。

 アレファルドがアホでもせめて周りの人間は「このくらい遅れそうだから連絡しておこう」とか「このくらいの進行状況ならこのぐらいに着くな。連絡しておこう」とか、普通思わない?

 側近たる3馬鹿はそれすらできない無能だった、だと?

 ああ、故郷の行く末が本当に不安である。

 まあ、それは俺が考えることではないので、頼まれたお仕事をやりましょうね。

 と言っても、ラナには「マジでレシピ提供だけにして」とお願いしてある。それはもう口を酸っぱ目にして。

 そして俺は俺でやるべきことがある。

 こちら、冷凍庫造りである。

 レグルスが持ってきた冷凍庫は即座に氷作りに使われており、俺はそれ以外——アイスを固める用のものを作ってるのだ。

 それもこれもすべてアレファルドのアホを出し抜くため。

 遅刻してきた分際でメニューに文句を言える立場ではないと思うが、それはアレファルドの話でトワ様には美味しいものを食べて欲しいじゃん?

 というわけでサクッと作ってサクッと厨房にお渡ししてきた。

 しかし、ラナが厨房で頭を抱えていたのだ。まさか新たな問題が?

「フラン! いいところに来たわ! 例のもの、どこにしまった!?」

「え? ああ、アレ?」

「そう、アレよ!」

「エ? なんだなんだ?」

「他にも新商品がありますの!?」

 カールレート兄さんとロザリー姫は暇なのだろうか?

 レグルスや厨房のシェフたちが若干居心地悪そうなんだから、早く戻ればいいのに。

 しかし、どうせなら見ていくといい。

 俺が大至急作るべきと判断し、今回売り込みの最終秘密兵器として持ってきた——。

「これだね」

「ええ、これよ! ハンドミキサー!」

 ババーン!

 ラナが取り出したそれを、みんなきょとーーーん、と見ている。

 まあ、なにに使うか分からないよね。

 しかしそこはラナがドヤ顔と令嬢モードのスイッチもオン。

「シェフ! 材料を入れたボウルを持ってきてください! 手本を見せますわ!」

「え、は、はい、こちらです」

「いいですか? こちらの道具はこのように使います!」

 と、ラナがハンドミキサーのスイッチを入れる。

 すると卵と生クリームの入ったボウルの中身がたちまち混ぜ合わされて白くなっていく。

 厨房から上がる歓声。

 カールレート兄さんとレグルス、ロザリー姫の瞳の輝きたるや。

「す、すごい! 素晴らしい! これなら今まで作れなかった料理も作れそうだぞ!?」

「それは是非こちらの竜石道具をお買い上げのあとにお試しください。本日はゲストへのお料理を最優先でお願い致します」

「お、おお、もちろんです! え、購入させて頂けるのですか!?」

「それはうちと専属契約しているレグルスにご相談ください」

 さすがラナである。

 実践して見せながら営業まで行っている。さすが、できる女……カッコいい……!

「こうしてできたものにバニラエッセンスで香りづけし、冷凍庫で冷やすと“アイス”のできあがりですわ!」

「おおおお! なんという斬新かつ豪華な料理なのだ! 1年に1度、『千の洞窟』でしか採れない“氷”をこのように使うなんて!」

「とんでもない……とんでもない贅沢だ……しかしこれが日常使いできるようになる、だと?」

「す、すごい、これは本当にすごいぞ! ロザリー姫様!」

「ええ! エラーナ、レグルス! 今あなたたちが持ってきた『冷凍庫』と『ハンドミキサー』、両方言い値で買うわ! すぐ納品できる分を作って持ってきてちょうだい!」

「お買い上げありがとうございまーーーースッ♡」

「ま、待って待って、ハンドミキサーは材料が足りないよ。器になる道具の方は鉄も使うから時間がかかるんだ」

「まあ、そうですの……? 分かりましたわ。でも、早めにお願いしますわね!」

「は、はい……」

 レグルス、ノリで受注しないで欲しい。

 あと依頼するなら個数とか色々……そもそもハンドミキサーは値段も決めてなくない?

「やったわね、フラン! こんなに喜んでもらえるなら、普通のミキサーも持って来ればよかったかしら?」

「ミキサー? それはどんなものなのかしら?」

「ロザリー姫、ゲストへのお料理を最優先に!」

「そ、そうでしたわ!」

 みんな本来の目的を思い出して!

「うおー! すげー! なにもしなくても混ざる、混ざるー!」

「なんてすごい竜石道具なんだ! 腕が疲れない!」

「これなら女性にも簡単に使えるな!」

「自宅にも欲しいな、これ」

「…………」

 ああ、でも……シェフたちの感嘆の声は俺も頷いてしまうな。

 分かる、かき混ぜるの、めちゃくちゃ大変だもんね。

 ……ハンドミキサーの量産、がんばろ。


本日『追放悪役令嬢の旦那様』コミック3巻が発売となります〜!


特典はアニメイト、メロンブックス、書店様共通ペーパーの3種類。

なくなり次第終了です。

また、コミックは紙、電子書籍合わせて22万部を突破したとのことです!

皆様、応援ありがとうございます!

引き続きどうぞよろしくお願いします!

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『追放悪役令嬢の旦那様』
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『巻き込まれ召喚された身でうっかり王子様に蹴りを入れたら、溺愛花嫁として迎えられることになりました』
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― 新着の感想 ―
[良い点] シェフの感涙が……わかる、わかるようん。 今回のお題は表紙にあわせたんですね。 [一言] 電子版買って読み終わりましたー! ああ、照れ屋すぎるフランをどついてやりたい……っ(笑)。
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