原作3巻発売日記念SS
やんちゃ坊主2人が見つけてきた温泉は、炭酸温泉というしゅわしゅわした温泉。
血行促進で、低温ながらもすぐに体がぽかぽかとしてくる。
地面に簀を拵え、周りを戸板で囲いを作り、とりあえず温泉を形にしてから一息つく。
「わー! すごーい! 1人でこんなに作ったの!?」
「ラナ、どうしたの?」
ひょこっと顔を出したラナ。
って言っても、戸板はクーロウさんちでまとめて買ってきたものなので、俺はつなぎ合わせたくらい。
そういうラナこそどうしたの、と聞くと「じゃじゃーん」っとドヤ顔で籠を見せられた。
そこそこの大きさで、朝からラナがクラナやクオン、ファーラと編んでいたやつである。
「ようやく1つ完成したから見せに来たのよ!」
なるほど見せびらかしに来たんだな。
どれどれ。
「うん、上手く編めててすごい。いいと思う。使いやすそう」
「でしょー!」
この籠はここで服を脱いで入れておく用だ。
昨夜あんなことがあったので、急遽棚と籠を追加で作ることにした。
棚は今からだけど、籠はコレでいいと思う。
「コインロッカーがあればいいと思うのよね」
はい、出ましたラナ語。こいんろっかーとは。
ラナ曰く、お金を入れると鍵が閉まり、鍵を開けるとお金が戻ってくる蓋つきの戸棚、的なものらしい。
「最近は有料になって、お金が戻ってこないのがほとんどなんだけどねー」
「ふーん?」
「まあでも、ここはうちしか使わないから普通の戸棚、とかの方がいいのかしら?」
「そうだねぇ」
昨夜のことがあるので確かに扉つきの方が安心度が高い、かも。
「…………。ところでフラン、かぼちゃが収穫できたからかぼちゃプリンを作ってみようと思うの」
「かぼちゃプリン」
「クーロウさん、確かプリン好きよね?」
「好きって言ってたね」
ここでなぜ突然プリン?
と、思ったが、クーロウさんの名前でピンと来た。
やれやれ、悪い人だ……。
「牛乳プリンと生クリームプリンと焼きキャラメルプリンとかぼちゃプリンとカスタードプリンの詰め合わせを作って持っていったらどうかと思うんだけど」
「そんなに作るの?」
クーロウさん喜びで咽び泣かない?
「手分けして作るからフランも手伝ってくれない?」
「いいよ、もちろん」
プリン詰め合わせで脱衣所の戸棚無料でゲットしました。