入門
秀吉が宗易に弟子入りを志願した次の日、秀吉は約束通り早めに茶室に着いていた。そんな彼の目は、純粋な子どもの様な目をしていた。見るもの全てが彼には新鮮に映るのだ。
「これは羽柴殿よう参られました。 どうぞこちらへ」
「これはかたじけのう存じます。」
まず、秀吉が目にしたのは、たくさんの彼の弟子である。中には秀吉も見たことのある戦国大名も多くいた。そう、宗易の弟子は商人、町人から戦国大名までもが、彼の弟子なのだ。
「秀吉殿はこちらにお座りください。」
そう宗易から言われると秀吉は末席に座った。
この茶室という空間では、いくら信長の重臣であろうと身分は平等なのだ。
「わかり申した。」
「皆、こちらに居られるのは、織田家重臣羽柴筑前守様でございます。」
そう言って宗易が自分の弟子たちに紹介した。
「皆様方には大変申し訳ないのでございますが、宗易殿の弟子の末席を汚させていただきとう存じまする。」
そう秀吉が挨拶をすると、驚いた表情の者も居たが大体の者は歓迎していた。
「これはこれは、筑前守様これからは同じ宗易殿の弟子として共に精進しようではございませぬか。」
そう秀吉に話しかけたのは、あの信長の茶事の時にも居た古田織部であった。
こうして秀吉は、宗易のたくさんの弟子達と一緒に茶の湯を学んで行った。




