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魔法少女のお姉ちゃんは変質者-SER.とりあえず殺しておくか。  作者: モコ田モコ助
第3章 新しい敵

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9.謎の爆発にて候

「一発ぶちかましたろか?」

 レッドがバトンを握りしめる。


 この子の案に乗ってみようか?


 アブソリュート・ゼロ・マイナスと、ハートフル・セラピー・レインボー・エクスプロージョンと同時撃ち……。

 時間的に間に合わないだろうな。


 ならばここは一つ!

 覚悟を決めて――――あれ?


「なんだ?」

「なに?」


 声を出したのはナグールとあたしだけ。


 ナグールは、あたし達マジカルキューティに背を向けた。

 あたしも、そんな事にかまってられなかった。


 「その」場所から、発せられる、――なんだ? この気配は?

 「そこ」で、空間が歪んでいる。


 球体がレンズの役割を果たし、背景が歪んで見えている。


 オオォヲヲオォォ……


 誰かの声か? いや、獣のうなり声か?

 背中を汗が流れた。

 額に手をやるとびっしょり濡れていた。


 なんだ? あたしをここまで緊張させる「存在」とは、なんだ?

 これがナグールの必殺技か? 新しいネクライマーか?


 球体から棒状のゆがみが伸びた。

 続いてもう一本。


 先端が五本に分かれた。

 手? 腕なのか?


 オゥオ……オォオオーン……


 ズドンと肺に響く音が同心円状に広がった。


 マジカルキューティと12体の鎧ネクライマーが尻餅をつく。


 耐えられたのは、あたしとナグールだけ。ナグールも表情に余裕がない。これはナグールの仕込みじゃないのか?


 あ、レンズ状の球体にヒビが入った。

 直線で走るはずの光が、曲線で走る!


 ムォン!


 世界がシェイクされる!

 爆発した! 爆発と言っていいのか?


「キューティ・マジカル・ブラックウォール!」

「キューティ・マジカル・ウォール!」


 レッドとブルーを真ん中に、身を寄せ合ってバリヤーを張る。

 光と重力の暴発。

 妹もバリヤーを張ったか。

 さすが姉妹。二人のコンビネーションは抜群だ! もはや一心同体と言って良いのでなかろうか?


「まだ、バリヤーを解除していけない!」


 一旦去った爆風が戻ってきた。二度目の衝撃。

 これにも耐えた。


 静寂はすぐにやってきた。

 妹は固く目をつぶってバリヤーを張り続けている。


 レッドもブルーは、……物言わず伏せている。生きてるみたいだ。

 変身は解けていないけど、気を失っている。


 ……仕方ない事だ。二人とも、普通の女の子だからね。


 何だったんだ? いまのは?

 バリヤーは解除しておこう。


「ピンク! もういいよ!」

「ヒョー」


 妹は、変な声で溜息をついてバリヤーを解除した。目がバッテンになっている。


 可愛い! 可愛いよ妹!

 おっと!

 ナグールはどこに居る!


「え?」


 周囲は更地になっていた。あれだけの爆発だ。瓦礫は全部吹き飛んでいて当たり前。

 瓦礫が残っていたら……、


 残っていたよ!


 瓦礫というか、焦げた鎧ネクライマーがスクラムを組んでいた。たぶん、12体全部だ。


「ぬおー!」


 スクラムをかき分け、中からナグールが出てきた。

 何カ所かお焦げになっている。


 狼男も生きていた。全身血だらけで息も荒いが。

 12支鎧ネクライマーも活動を再開する。


 だが、動きがぎこちない。

 鳥なんか、片方の羽根がもげている。


 相当なダメージが通っているようだな。

 別の見方をすると、これほどの攻撃を食らっても、死には至らないという事か。

 もう少し穿った見方をすると、今なら楽に12支を始末する事が出来るって事だ。

 ナグールを守る為、自動的に突っかかって来るはず。


 よーし、虐殺ターイム! ウリィー!


「貴様らぁー!」

 目の上を切ったナグールが吠えている。


「撤退よ!」

 いつの間に?

 初顔の女が余計な命令を出した。色気過剰アラサー女。無傷なところを見ると、いまこの場所に現れたのだろう。

 アラサー女の命令で、鎧ネクライマーがナグールを囲む。


 正確には6体がナグールを囲み、残り6体が殿として2重の陣を敷く。

 各ブロックごとに瞬間移動。どこへともなく消えていった。



「みんな大丈夫?」


 妹がクズ共、もとい……レッドとブルーを介抱していた。

 優しいな。全世界の人間共は妹を見習うと良い。きっと平和な世界が訪れるから。


 先にブルーが意識を取り戻した。

「ブラック、あれ、何だったの?」


「新しい司令官でしょうね」

「そっちじゃなくて!」


「なんで、あいつら帰っていったんやろ? チャンスやったのに」

 レッドも意識を取り戻したか。


「後を考えたのでしょうね」

 解説はブルーの十八番だ。


「あそこまで強いネクライマーは、一朝一夕に作れるものじゃないわ。わたしの想像だけど、かなりの時間をかけて育成したのでしょう。ここで手駒を1つでも失うと、後々行動が縛られる。それを嫌がったんじゃないかしらね」


 あれだけ強いのを持ってたら、内側に向け、権力抗争だとか、外側に向け、戦略だとか選べる選択肢は広い。


「大変な事になったニュ」

 今回ばかりは、脳天気なUMAも、危機に気づいたようだ。 


「これだけの被害、なかった事にするには徹夜ですまないニュ」

 何とかできるんかい! てか、そっちかい!

 相変わらずうわべだけで生きる生物よの!


「なあ、人が来る前にここから逃げようや」

「そうね、ややこしい事になる前に、姿を消しましょう」


 これって、正義の味方の台詞じゃないよね?





 ――そして――、


 邪魔をした、あの存在。

 爆発の瞬間感じた、あの気配。


 闇のマーゾックじゃない。光の精霊でもない。

 邪と聖、相反する二つの力を感じた。


 あたしより強い存在。

 

 いったい何者なんだ?  

 


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