どうやらぼくは、死んだらしい。
気づいたら飛んでいた。
ぼくはくるくると宙を舞い、世界もくるくると舞っている。
くるくるくるくる
めがまわる
くるくるくる
きぶんわるい
くるくる
うえー
くる
やっととまった。
それにしても熱い。どうやら道路に倒れているらしい。
「焼けたアスファルトってのはここまで熱いものだったんだなぁ」なんて、すごくどうでもいいことを考える。いやいやまてまて、そんなことよりおうどん食べたい。
・・・よし、OK。落ち着こう。思ったより混乱してる。力も入らないし、慌てても仕方ない。
さっき学校が終わって幼馴染のサエと一緒に帰る途中だった。
今日から夏休み。アレしようコレしようとプランを考えながら歩いてたんだ。
国道に出る交差点に差し掛かったところで、信号無視したトラックがぼくらのほうに突っ込んできた。
ぼくはとっさにサエを突き飛ばした。ここまでは思い出した。
なるほど、カッコつけた結果トラックに轢かれてぶっ飛んだらしい。
マジかよ。
今日は今年一番の暑さで、空は文句のつけようのないくらい真っ青だ。
太陽のまぶしさに耐えかねてちょっと横に目をやると、一面まっかっか。
道路って黒いよね、普通。つまりこれは・・・うん、考えるのはよそう。
ぼくの真上から声が聞こえる。
おきて! やだ! しんじゃだめ! うみいくんでしょ!
なんだよ、まるでぼくが今にも死にそうな雰囲気じゃないか。
でも、そんな声も、道路の赤も、空の青も、太陽のまぶしさも、全部ぜんぶ、黒に沈んでいく。
どうやらぼくは しぬらしい。
生まれ変わったら何になりたいですか。
ぼくはやっぱり人間がいいです。