俺の能力と魔力というもの
「旅、ですか?」
「世界を回り続ける旅じゃ」
「断る理由はありませんが何で俺を誘うんですか?」
偶然出会った以外に接点の無い俺を、連れていく理由は無いと思うんだけど。
「色々理由はあるが1つは勘じゃな」
また適当な理由だな。
「いま適当だとか思わんかったか?」
「いえ全然」
リリア様も心読めるんじゃないの?
「もう1つはお主が元の世界に帰る手助けをしてやろうと言うのじゃ」
「旅をしつつ手段を探すって事ですか?」
願ったり叶ったりであるけど・・・。
「まあ色々言うたが、実の所お主の事を聞いた後じゃと、儂の目の前に現れたのは偶然では無い気がしての」
「偶然じゃない?」
まあ、出来すぎなタイミングではあった気がするけど。
「難しく考えるな、一緒に来るか、来ないかだ」
そう言われたら選択肢はひとつしかないな。
「よろしくお願いいたします」
この選択を4時間もしないうちに若干後悔する事になるとはこの時思いもしなかった。
そして実際に四時間後。
「あの、これは何ですか?」
「いやーちょうど荷物持ちが欲しかったんじゃ」
現在この近くでは割りと近いという街の露天が立ち並んだエリアに来ていた。
買い物をすると言うのでついて行くと、先々で買うわ買うわもう両手が一杯です。
「あのー」
「この体の欠点は筋力が無いことじゃな、いやぁ助かるの」
この幼女賢者本当に荷物持ちの為に俺を旅に誘ったんじゃあるまいな。
「しかし食材は何となく分かりますけどこの石は何なんですか?」
そう、食材に限っていえばそう重くはないのだ、ただ多いだけで。
しかし食材とは別の袋に入った用途の分からない石が、大した数もないのにやたらと重いのである。
「それは後でお前の為に使うのじゃから大切に扱うのじゃぞ」
「これを?」
ただの石にしか見えないのだが・・・。
「この店で最後にしようかの」
そう言って立ち止まったのは細工品の並べられている店だった。
「ふむ、どれが良いかのう」
『またカモだな』
「ん?」
また何か聞こえたくないものが聞こえたような・・・。
「リリア様行きましょう」
「何じゃまたか」
そう、この露天市場で買い物するにあたって何回かこんな感じで店を離れている。
幼女と若造の組み合わせで買い物をしているせいか、こっちの足下を見ようとする奴、普通にぼったくりの店だったり様々である。
勿論心を読んでいるから分かる事である。
「お主の能力、便利だが気軽に買い物が出来なくていかんの」
「無駄なお金使わなくていいんですから文句言わないで下さいよ」
「それも買い物の楽しみの1つだと思うんじゃがなぁ」
「宝石何かはリリア様がほとんど見ただけで、真贋を判断してたじゃないですか」
「まあの」
歳に言及すると怖いので詳しくはスルー。
「仕方ない、装飾には儂の持ち物から選ぶから宿に向かうとするかの」
「分かりました」
買い物を終えた俺達は宿を1部屋とり腰を落ち着けた。
ん?1部屋?
「あの、男女が1部屋で寝ると言うのはまずいのでは・・・」
「ベッドも別れておるしなんの問題もないじゃろ?」
「いや、まあ、そうなんですけど・・・」
「何じゃこの様ななりの身体に興味があるのか?」
「・・・・・」
「・・・・・」
「お、お主まさか儂の身体が目的で!?」
顔を真っ赤にしつつ後退るリリア様。
可愛い、悶えそう・・・・・・、いや断じてロリコンではない!!
「冗談!冗談ですから!!」
「本当であろうな?」
未だに身体を布団で隠しつつ顔を半分だけ出してこちらを睨む。
だからそういう仕草が可愛いっていうんだよ!!
「大丈夫ですから信じて下さい、冗談が過ぎました」
「・・・まあ、儂も誰かと一緒に行動するなど、数百年ぶりの事じゃから勝手を忘れておる、許せ」
今までのやり取りを忘れるようにそう言い放ち、本題はこちらだと言うように話始めた。
「先程買ってきた魔石を出すのじゃ」
「魔石ってこのやたらと重い石の事ですか?」
先程の露天市場にあった、『石屋』という需要あるのか?と疑いたくなる店から捨て値で買ってきたものだ。
陳列してある石の横に、セール品とでもいうように山積みにしてあり、中からリリア様が一個一個目利きらしきものをしたものがこれである。
「それは普通の石屋で売るには重すぎて使えない物なのじゃが、しかし価値自体はそれなりなので買う者の為に積んである石なんじゃ」
「そもそも石屋って誰が利用するんですか?儲かりそうに見えないんですけど?」
「石屋の売っていた石は、一般的に熱水石と呼ばれている石で水に浸けていると熱を持ち、湯が沸くんじゃよ」
「この世界は魔法が一般的なんだと思ってました」
「魔法は一般的だが、わざわざ魔力を使って湯を沸かすのに利用する輩はおらんな、効率が悪すぎる」
そういうものなのか。
「あくまでも一般的認識は、じゃがな」
自分はやる事があるみたいな言い方ですね。
「魔石って言うからには魔力がこもった石って事ですか?」
「ほう、分かっているではないか」
まあゲームとかじゃ常識だからな。
「では試しにそれから魔力を引き出すようイメージしてみるのじゃ」
「いやそんな事急に言われても・・」
魔法とか魔力とか扱った事無いのにどうしろと?
「石の心を読むみたいに意識を集中してみよ」
「無機物の心を読めとか言われてもなぁ」
とりあえず言われた通り魔石に意識を集中してみる。
すると身体が軽くなった様な感覚が全身に行き渡り、『ピキッ』と音がしたと思った瞬間、石が粉々になった。
「うわっ」
「ふむ、普通に出来るではないか」
何か身体からオーラみたいな物がゆらゆら立ち上っている。
「それが魔力じゃ、やはりお主の力は魔法に近い物のようじゃな」
「俺の力が魔法・・・」
暫くすると立ち上っていた魔力は薄くなり消えてしまった。
「あ、消えた」
「どうじゃ?お主下地は出来ておるし魔法を覚えてみんか?」
「願ってもないことですけどどうしてですか?」
「この世界で生きていく上で魔法は覚えて損はない。それに訓練すれば心を読む力も制御出来るかもしれんぞ?」
あ、なるほど。
「まあ使える魔法は適性もあるから何でも使えると言う訳ではないがの」
「ありがとうございます」
俺は深々と頭を下げた。
「例は不要じゃ。これから共に旅をするのじゃからこれくらいで頭を下げていたら、頭がいくつあってもたりんぞ?」
「はい!」
俺は興奮を抑えながら笑顔を作った。




