【楽天】の賢者
連投です。
俺がアマネアに部屋に案内されている間、大広間には二人の賢者が顔をあわせていた。
因みに何故アマネアが呼び捨てかと言うと容姿から見て同い年っぽいと言うのと、最初の登場の仕方から敬う気持ち等が湧かないせいである。
視点【リリア】
「まさか魔人とはな・・・」
サリネテスは先程の楽しそうな表情は見えず、心底忌々しげに呟いた。
「さっきはああ言ったが、あきらかに故意に魔獣を発生させる様に獣が放置されていたのじゃ。ご丁寧に簡易な人避け迄張られておった」
「魔人を直接見たわけじゃないんだよな?」
「儂等賢者以外にあそこまで強力な魔法を行使出来るのは魔人かもしくわ『***』位じゃろうな」
「止めてよ縁起でもない」
確かに儂が言った言葉が『聞こえなかった』事を察してサリネテスは盛大に溜め息をついた。
「まあそれは無いから安心するのじゃ。それよりお前の言葉が本当なら問題は、お主等に『気付かれない』ように仕掛けられたという一点につきる」
賢者が自分の大陸領域を把握出来ないなんてあり得ないのだ。
何故なら賢者は神殿にいる限り大陸全体を知覚出来るからだ。
元々賢者には本来周囲に魔の気配がある場所を知覚出来る能力が備わっている。
神殿はその力を大陸全体に拡張する機能があるのだ。
「まあ何者かの手引きがあったと見て間違いないと思うけどね」
「それでお主に大鏡を借りたいのじゃが・・・・何故目をそらすのじゃ」
そう言った瞬間あからさまに逸らされた目を見て、儂はもしやと思い問い掛ける。
「お主まさか連絡以外のの目的に鏡を使ったのじゃな?」
「ごめんね・・・てへっ」
「・・・・っっ!」
「いった~!?叩くこと無いじゃん!」
「自業自得じゃ馬鹿者が」
私は心底呆れて溜め息をついた。
「まあ魔人の話しはひとまずここまでだね。今の私達じゃ調べようが無いし。リリア様がアーデナードに着く頃には大鏡も使えるだろうから、その時に会議をお願いするわ」
これで話しは終わり、というようにそう言うと、今度は一転してにやにや笑いに戻る。
「そ・れ・で?あのトーヤって子とは何処まで進んでるの?」
「??なんの話じゃ?」
トーヤの魔法育成のはなしかの?
「ああもう鈍いわね、キス位は済ませたのかってきいてんのよ!好きなんでしょ彼の事!」
「・・・・・・・な、ななななっ!」
儂は一拍置いて爆発した。
「なにを言うておるんじゃお主は!ト、トーヤはただの弟子じゃ、恋仲でも従者でも無いのじゃ!!」
突然なにを言い出すのじゃこやつは!?
儂は動転する心をなんとか落ち着かせようと頑張るが、そうはさせまいという様に更なる爆弾をサリネテスは投下した。
「あの子の目、あきらかにリリア様にぞっこんだったじゃない。リリア様も内心満更でもないんじゃないの?」
「そ、・・・・そんことなぃのじゃ・・っ」
儂はトーヤが儂に恋愛感情があると言われて、一瞬言い様の無い感情が湧き出た気がしたが、首を振ってどうにかそれを追い出した。
「そんな真っ赤になりながら言われてもねぇ」
サリネテスのにやにやは止まらず、儂は真っ赤になっているのを自覚しつつも、そんな筈は無いという反論を続けた。
視点【統夜】
「はっくしゅっ!!」
俺は寝室でアマネアと話している最中盛大にくしゃみをする。
「わ、大丈夫ですか?風邪ならお薬出しときますけど?」
「いや単なるくしゃみ」
俺は鼻をかみながらそう言うと、再度くしゃみをした。
別に体調不良でもないんだけどな?寒い訳でもないし。
誰か噂でもしてるのかな?
「ところでアマネア」
「はい、なんですか?」
にっこりこちらを向くアマネア。
因みに呼び捨ての許可が下りたので、プラスタメ口である。
「賢者って、アマネアから見てどんな存在?サリネテス様以外から連想してもいいし」
サリネテス様を引き合いに出すとアマネアは、苦労させられてる人って評価でも出てきそうだったから、あえて別の賢者も含めた意見を求めた。
「んー、私にとってっていうか、従者の殆どにとっては、多分賢者様は真剣に尊敬して感謝する存在だと思いますよ?」
「なんか・・・以外だな」
「そんなに以外ですか?」
「あ、いや心底以外って訳でも無いけど。アマネアはサリネテス様の我が儘に振り回されてる印象だったから・・かな」
俺は不思議そうにたずね返すアマネアに第一印象を含めて答えた。
「・・・・・まあ多少困らせられる事はありますけど~」
今多大な間があった事はスルーすべきなんだろうな・・・。
「サリネテス様は、大陸に生きる者達のバランスを上手くとっている賢者の中でも、事民達に対しての対応は随一だと、従者の贔屓目を抜きにしても私は思いますよ?」
「でも獣人村では賢者の評判はあんまり良くなかったけど?」
俺はもう結構前に感じる金色の獣人マナを思い出していた。
賢者なんて私達に構う訳ない上の存在みたいな感じだった。
「多分若い世代なのでしょうね。特にこの大陸の獣人村はノノさんの管轄ですから、最近あまり問題も起こって無かったですから」
「賢者なんて噂話に出てくる偉いやつ程度の認識しか無いわけか」
「そういう事です。まああまり頻繁に関わられるのも問題なんですけどね」
アマネアはクスリ、と困った様に、それでいて楽しそうに笑った。
「用は無くなったので次の大陸を目指すのじゃ」
翌日、前日にもう一泊するとか言っていた筈のリリア様は前言を撤回し、いやに不機嫌な表情で出発すると言い出した。
「え?どうしたんですかリリア様?」
リリア様の顔を覗き込んで目を合わせる。
「っ!~~~~~~っ!!!」
そして声にならない声を上げたかと思うと、視線を思い切り逸らされた。
「ふひひっ・・・ぷっ」
そして何故か終始にやにやしながら笑いを堪えてこちらを見ていた。
「笑うでないわサリネテス!!」
「えーこんなに楽しい事も他に無いんじゃないかなぁ」
「このっ」
「おっと」
とうとう二人は、リリア様が魔法を乱射しながらサリネテス様はそれを避ける闘争になっていた。
建物を多大に破壊しながら・・・。
「また大工を呼ばなきゃいけないですね・・・」
笑顔なんだけど何故だろう、もの凄い疲れた顔をしてる様に見えるんだけど気のせいだよね?
「じゃあまたの」
「えぇ、また・・ぷふーっ」
「~~~~っ」
リリア様頼みますから抑えて抑えて。
サリネテス様の後ろにある半分廃墟になった神殿を見て耐えて。
もう笑顔なのにアマネアの背後に悲壮感が漂ってるから。
「ア、アマネアさん・・頑張って下さい」
「え?なにをですか?私全然分からないですけど?」
怖いよアマネア・・・。
「これから何処に向かうの?」
いよいよ出発という段階になって、サリネテス様はリリア様に次の目的地を聞いた。
「次は東じゃな」
「【知識】の奴の所か・・・てっきりアーデナード大陸に入る為に北に行くのかと思ってたんだが?」
「アルカレルトに用が出来たのでな。北はその後になるじゃろうな」
そう言ってあっさりと足を神殿の外に向けた。
俺も続こうとした時、サリネテス様が駆け寄ってきて耳元に口を寄せたまま一言言った。
「【知識】に会ったらリリア様の事を必ず聞くんだよ」
?俺はどういう意味かをたずねようとすると、サリネテス様は既に側から離れて手を振っていた。




