ザブ族の領域遊び【6】
短いです
暫く全力疾走中
「て、いくらなんでも広すぎるだろこの迷宮!!」
気付くのが遅すぎる位だったかもしれない。
マッピング機能があるとはいえ、先程の『ファイリス』と歩いていた時間を合わせるともう二時間以上になる。
いくらなんでも時間がかかりすぎだ。
これが普通の脱出ゲーム、しかも画面上でのゲームならわかるが、人間がであり鬼ごっこであり暗闇であるこの状況では無理がありすぎる。
となると迷宮にも何かあると考えるのが妥当。
ゲームの都合上ゴールが無かったり道が無いなんて事は無いはずだ。
そんな事が出来るならもと狭い所で鬼と一緒にしたり、道も無い所で延々歩かせたりすれば済むしね。
可能性があるとしたら、何かしら仕掛や条件を満たさないとゴールへの道が開かない、もしくは何らかの盲点を突いたゴールであるか。
先の的当ての赤い的を見れば後者の方が可能性が高そうだ。
今の所背後や周囲から危険な感じはしないので立ち止まる。
試しに辺りの壁を触ってみる。
見えないからなんとも言えないけど、ツルツルしてて気持ちいい感触だった。
良く観察したことなんて無いから分からないが、大理石とかこんな感じなのかもしれない。
今度は床を何回か踏み締めてみる。
床はむしろ固めな感じで石かコンクリートといった様子だ。
次は地図を小さく縮小する様に念じる。
全体図が見える位の大きさになると、この迷宮の異常な広さが改めて伺えた。
俺は魔法に頼って考えて進んでいないから分からなかったが、やたらと行き止まりが多い印象を受けた。
「これ皆が捕まったのも頷けるな・・・」
というかこれだけ行き止まりが多くてこれだけ広いのに鬼に出会う確率はどれくらいだろうか?
単に俺の運が悪いだけでは説明出来ない嫌な感じがする。
実際に他の皆は捕まってしまった訳だし。
となると・・・・俺の悪い予感て良く当たるんだよね。
案の定背後から危険予知が働き始めた。
まだ瞬時に逃げなければならない程の感じでは無いが確実に近付く危険がある。
さっきの考えを確信に変える為にも直ぐに動き始める。
その間にもゴールへの糸口が無いか思考を回す。
頭脳労働は得意じゃ無いがこの世界の人とは違うやり方で頭を使えば何か分かるかもしれない。
尚も地図とにらめっこを続けるがやはり行き止まりが多い事と広い事以外には特長が無いように見える。
「だー分かんない!」
また何度目か分からない十字路に差し掛かる。
地図を見ていた俺は何も考えず行き止まりじゃない道を選んで・・・あれ?
今の行き止まりだったのに嫌な予知が働かなかった。
試しに引き返して行き止まりの方向に向かう。
すると行き止まりに入った瞬時に何か空気が変わった様な不思議な感覚を覚えた。
「ん?」
地図を良く良く見ると何かおかしい気が・・・・・・・・!
「これ全然違う場所だ!!」
え!?じゃあ何?転移でもしたわけ?そんなんありか!!
つまりゲームでよくある転移を繰り返していくダンジョンみたいに、転移の組合わせを見付け出して正解に辿り着くのがこのゲームの本当の趣旨だったって事だ。
じゃあやっぱり暗闇なのは無理すぎる。
俺はこの手のロープレのダンジョンはやった事あるけど、景色を俯瞰しながら法則を見付けるか、マップを見ながら移動先を特定していくかしなきゃいけない。
なのに景色も見えず、マップに特長がある違いが全く無いとなると堅実な攻略は不可能に近い。
運頼みに走り回るのも手だが広すぎる上に、既に三時間以上さ迷っていても辿り着けていないのが現状だ。
「手詰まりだ・・・」
『鬼』さえいなければ途方もない時間をかけて攻略出来るかもしれないけど、逃げながら探さなきゃならない。
「どうすれば『お兄ちゃん?』いいん・・ん?」
思わず身体を触る。
誰も触ってる気配はない。
なのに今確かに声が聞こえた。
「誰かいるのか?」
『え、ここって・・・・そういう事なんだ』
「誰だ?」
『時間が無いの。実際には痛く無いから、だからこれからする事に驚かないでねお兄ちゃん』
「あつっ!」
そう言うと目の奥が焼ける様に熱くなった。
実際に焼けてる訳じゃ無く熱い気がするのだ。
まるでさっきの指輪の時みたいだ。
『これでお兄ちゃんは予知を線として見れる筈だよ。私はもう消えるけど死なないでね』
「待って!これはなんで君は誰なんだ!?」
呼び掛けるとノイズの一言が聞こえた。
『私は***だよ』
それきり何度呼び掛けても声は聞こえなくなった。




