ザブ族の領域遊び【6】
間が開きました。
面白い物が思い付きません(>_<)
しかしお互いの声が聞こえないのは如何ともしがたいな。
暗闇が支配する空間が広がっているなかで、視界には地図と自分と思われるビーコンが点滅して表示されている。
自分が歩いた所は地図が更新されて表示されているからこれを頼りに歩くしかない。
「とりあえず出口を目指す事しか出来ないけど、合流はしなくてもいいのかな?」
しかしこれはゲームとして成立してない気がするのは俺だけだろうか?
何故なら鬼に捕まったら駄目というルールではあるが、『誰か一人でもゴールすればこちらの勝ちになるゲーム』だからだ。
しかも鬼は一人で誰かが捕まったらアナウンスが入る。
全員分に地図があるならゴールは時間をかければたどり着けない事はない。
鬼に捕まらず合流してゴールするならかなりの難易度がある気はするが。
でも・・・・。
そうこうする内にどんどん地図は広がっていく。
かなり広い迷路なのかいっこうに終わりが見えない。
誰にも会えないのも重なってかなり精神的にきつい。
地図があるから歩けてはいるが全く何も見えない。
不安になると上下も分からなくなってくるな。
うーん・・・・・ゴンッ
「いった!?」
急に何かにぶつかった。
目の前に壁なんか無いのに頭が当たった。
「何だ?」
手を前に出して探る。
肩と思われる部分を触る。
「誰?」
「ファイリス・・さん?」
声に聞き覚えがあり、恐る恐る尋ねる。
こう姿が見えない状況続きだと声が聞けるだけで安心してくるから不思議だ。
「味方でも地図に点はは表示されないんですね?」
「そうみたいね。これは出会えたのは奇跡かも」
見失わない様にしっかり手を握りしめて、暗闇の中を再び進む。
あれ?
「もしかして地図が広がりました?ファイリスさんが来た方ですか?」
「そうみたい。どうやら一緒にいると地図も広がるみたいね」
このままうまく行けばいいけど・・・。
視点【ニーリス】
「どういう事!?」
ニーリスは一族の中継地に強制的に飛ばされていた。
本来であれば自分もゲームに参加している筈であるし更に・・・。
「さっきのアナウンスは何!?全然ルールが違うよ!」
そう、このゲームの本来の名前は『迷宮鬼ごっこ』である。
ゲーム自体の設定が変わったのでは無い、アナウンスとステージが全然違う物に差し替えられているのだ。
「恐らく先程の脅迫者が入口を閉める前に干渉していったのでしょう。恐るべき力です」
「だがルールが違うのではゲームにならない。そもそも『合流する事なんて不可能』なんですよ!」
本来のルールはこうである。
迷宮で鬼から逃げながらゴールを目指すし、ここに妖精が加わり誰かが妖精より早くゴールに辿り着けば挑戦者が勝ち。
挑戦者は捕まれば即ゲームオーバーであり、妖精がゴールするか、もしくは全員が鬼に捕まれば挑戦者の負けである。
もし妖精が鬼に捕まった場合は30分足止めとなった上に入口からスタートになる。
というルールである。
暗闇の中で迷宮を回りながらゴールを目指すなんて、そもそもかなり無理がある。
鬼がいたとしてもこれでは逃げられない。
そもそも普通の鬼ごっことは違って鬼に牢屋に連れて行かれる迄はゲームオーバーにはならないルールだ。
これでは鬼に捕まるまでも無く牢屋に行ってしまう可能性まである。
「しかも暗闇やアナウンスだけでも問題なのにあんな細工までしてるなんて・・・」
それぞれの迷宮を捉えた映像を見ていたニーリスは悔しそうに歯噛みをした。
視点【統夜】
『挑戦者テインが捕まりました』
このアナウンスが聞こえたのがもうかなりの距離を進んだ時だった。
ずっと進み続けていたがいっこうに出口が見付からない。
どれだけ広大な迷宮なのか検討もつかないのは、精神的にかなり不安も大きくなる。
「そろそろヒントとか欲しいわね」
「でも見えないんじゃヒントも分かりませんね」
『※?!*$!が捕まりました』
「え?今の何だ?」
明らかにノイズ混じりのアナウンスが聞こえたが誰の名前だったか聞き取れなかった。
「聞こえなかったなら仕方ないですね」
「え、まあそうですけど・・・」
いやに冷たく無いですかねファイリスさん。
いや真面目モードはこんな感じなのかもしれないけど。
気になる事がありつつもファイリスさんが来たと思われる迷宮の分岐点迄到着した。
ファイリスさんが右から来たらしく右側は地図が表示されている。
ならば左側がまだ行ってない道か・・・。
「あつっ!?」
「どうかしたの?」
「い、いえ急に指輪が・・・」
そう、まさに左に行こうとした途端に指輪が物凄い熱を発したのだ。
このまましているのは苦痛すぎるので指輪を外してポケットにしまう。
するとその瞬間今まで感じた事が無い程の感覚を伴って危険信号が頭の中に響いていた。
「なっ!」
咄嗟に手を繋いでいることも忘れてその場から飛び退く。
すると危険予知は直ぐに消え去りまた静寂と暗闇の空間だけが広がる。
『挑戦者リリアが捕まりました』
それに呼応する様にアナウンスが響いた。
そのアナウンスを聞いた瞬間物凄い考えが頭を過った。
さっきのノイズ混じりのアナウンスは誰を告げていたのか?
テインさんとリリア様が捕まり、俺が捕まっていないなら一人しかいないはずだった。
だけどその人物は今まで俺と『ずっと手を繋いでいた』のだ。
俺がファイリスさんだと判断したのは声のみ。
姿を見た訳じゃ無い。
この暗闇の中でそれがどういう意味を持つのか理解すると、ぞっと背筋が氷る。
しばらくして肩に手を置かれ再び声がする。
「どうしたの急に?」
それは紛れ間無く『ファイリスさん』の声に違いない。
でも俺はもう違うと確信していた。
『こいつは鬼だ』と危険予知が報せている。
皆これに騙されたのだ。
何故魔法が使えない筈のここで危険予知が使えているのかは分からないが、とにかく逃げなくては駄目だ。
そう思い立った瞬間また危険予知が激しく危険を伝えてきた。
「っ!」
ドゴーンッ!!!という音と共に恐らく地面だろう場所が砕け散る音がした。
脇目もふらず俺は右側の道に走り出した。
全速力で危険予知がないほうの道を選び続ける。
背後からは見えないプレッシャーがかかり続けている。
止まったら間違いなくやられるだろう。
ていうか鬼って言ったけど本物の鬼かよ恐すぎるわ。
一向に追い付かれない様子からスピードはそんなに速くないと予想したけど、実際は分からない。
やっぱりこのゲームは何処かおかしい。
ゲームになってないようなルールや今の鬼の擬態を考えれば明らかだ。
これは例の干渉者が何かしたのかもしれない。
「だとしたら最悪だわこれ」
しかしゴールするには鬼より気付かなきゃいけない事があるのに俺は気付いていなかった。




