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俺と可愛い大賢者  作者: Lain
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ザブ族の領域遊び【3】

「さっさと終わらせるのじゃ」


リリア様は遊びにはあまり興味が無いのか、無造作に目の前にある扉に触れた。

触った瞬間部屋の他の扉は無くなり、全体が紫色から赤色に変わる。

すると部屋の扉と反対側の床が半分消え失せて底が見えない深さの穴が出現し、部屋の長さは部屋の奥の壁が見えない程に広がり、天井も見上げても上が分からない高さになった。

ていうかここまで部屋を変化させるって凄い魔法だな改めて。

ニーリスは部屋が変化し終わるのを待っていた様に話始める。


「それでは第一遊戯は『妖精的当て』になります。普通過ぎてつまらないのがあたりましたね」


ちょっと不満そうにニーリスが呟く。


「え?そっちがゲームを決めてるんじゃ無いの?」


「それじゃこっちに有利なゲームばっかりでつまらないじゃないですか。だから私達でも分からない様に扉が現れたら時点で完全にランダムになるんです」


「それでルールは?」


「いたって単純です。私とあなた方のチームで、空中に浮いた的を弓で射抜いて点数を競うゲームです。的には点数がそれぞれ書いてあり、高い点数程狙いにくくなります。後は特別ルールとして、一見して分からない赤い的が何処かにあり、それを射抜けばそちらのチームの勝利となります」


「ザブ族側は赤い的を射抜けないの?」


「特別ルールは相手チームへのハンデルールみたいな物ですね。基本的には対等なのですが私はゲームに熟知しているのでそれだけで差が出てしまいますから。それに実は私達には的が見えてしまうので駄目です」


なるほどね。


「儂は魔法が使えない以上体を使うゲームは力になれんのじゃ」


リリア様が最初に降りてしまった。

まあ仕方ないか、見た目通り子供になってしまったのだから。


「トーヤ後でお仕置きじゃ」


何で!?俺口に出してなかったよね!

俺が驚きを隠せずにいるとファイリスさんが手を上げた。


「多分弓の腕ならトーヤが上手くないなら一番だと思うわ」


「俺は弓に触った事もありません」


「私は遠距離武器は得意では無いので他にやれる人はいないですね」


俺とテインさんも降参する。


「では射手はファイリスさんですね。こちらは始めるのは何時でも構いません。これが弓と矢です」


ニーリスはファイリスさんに小振りな弓を渡す。


「いたって普通の弓ね」


何回か弦を引いて確かめると1つ頷きニーリスに始めていいと合図する。


「では的を出します。的が出て始まりの音が鳴ってからスタートです。先攻はそちらからで交互に1射づつ撃ちます。50射ののち点数が高かった方がゲームの勝ちになります。負けてもなんらペナルティはありませんので気にせず楽しんで下さい。まあ勝たないと出られないのがペナルティといばペナルティですが、何度挑戦しても大丈夫なルールですので」


「分かったわ。でも勝てないと出られないのは結構なペナルティね」


ファイリスさんが返事をすると直ぐに的が出現した。

的はダーツの的の様に円形の的の中に円が複数書いてあり、中央の小さな円に数字も書いてあるのが見てとれた。

空中に浮遊してはいるが何処か機械的な動きで上下や左右に揺れている。

数字は10〜100点迄書かれた的がそれこそ部屋中至るところに浮いていて、点数が高い程に部屋の奥や高い位置に浮いていて難易度が上がっているのが分かる。

弓なんか出来ない俺は到底当てられそうに無いのは分かった。


ピーッ、という音が鳴り響きゲームの始まりを告げる。

先攻後攻どちらも言葉を発せずにじっと的を見つめている。

しばらく静かにしていたファイリスさんだったがおもむろに頷くと弓を引き構える。


「さて、お手並み拝見ですね」


ニーリスは余裕なのか楽しんでいるのか笑顔で見学している。


「ッ!」


ファイリスさんが弓を放すときれいな放物線を描いて高い位置にある的を目掛け飛んでいく。

パリンッ、という音と共に俺達の空中近くに数字が表示される。

恐らく的に当たったのだろう、数字は90と表示が変わる。


「うむ、なかなかの腕じゃのう」


「いきなり90を射抜くとはこちらも油断出来ないですね」


「100の的も見えるんだけど動きが速すぎて狙いが定まらないのよね」


「目、いいんですね。俺は矢が届いた辺りは全然見えません。米粒みたいです」


「私も同じく。ここまでファイリスが矢を使いこなせるとは知らなかった」


「剣の次に得意かもしれないわ。弓はあまり携帯しないから任務中に見せた事ないもの、知らないのも仕方ないわ」


「次は私の番ですね」


ニーリスは気負いが無いのか弓を軽く構えている様に見える。


「んっ」


だが弓を放す瞬間ギリリッ、と弓が軋む音がしたと思ったらキュンッ、という音と共に弓がものすごい速度で真っ直ぐ飛んでいき的を割る音が聞こえた。


「・・・命懸けでゲームをやる一族って意味がようやく分かったわ。リスクも込みで本気でやらなきゃ勝てないわね」


ニーリスの得点表示には最高得点の100が表示されていた。


「相も変わらずゲームには滅法強い連中じゃ。ゲームで無くても充分強い種族じゃがゲームになると集中力が段違いじゃな。先程のおちゃらけた雰囲気がまるで感じられん」


「私がゲームを適当にやったら他の皆に失礼ですからね。本気で勝ちにいってますから」


ニーリスはにっこり微笑む。


「次はまた私ね」


ファイリスさんも微笑みを返すと今度は真正面に向かって狙いをつける。

さっき上空に向かって射った時とは違い、ニーリスと同じくギリギリ、と弓がなりそれ相応の力を込めているのが分かる。


「んっ」


弓を放すとニーリスに負けない音を出して矢が速度上げて飛んでいく。

程なくパリンッ、という音が鳴り点数が加算される。

点数は185と変わっていた。


「やはりやりますね。こちらも負けてはいられません」


「いえ。このままでは多分こっちがやられるわね」


お互い面白いゲームなのだろう、顔を合わせて笑っている。

しかし俺達は見てるだけというのも芸が無いな。


「リリア様、テインさん。こっちは赤い的を探してみませんか?」


「うーん勝負を邪魔するようで気が引けるが、ただ見ているだけというのも確かに無駄だな。良し、私も加わろう」


「儂はファイリスの勝負を見ている、二人に任せるのじゃ」


リリア様は不参加を表明したのでテインさんと手分けをして赤い的を探す事にする。

しかし隠されたと言うからにはそう簡単に見付けられる物では無いのだろう。

ざっと足場がある場所を見渡してもそれらしい物は見当たらない。

ならばと的がある足場が無い空間を良く観察してみる事にする。

観察している最中も矢が飛び交って的を割っていくのが見てとれるが、白い的しか見えない。


「一見してって言うからには見える場所にはあるはずなんだよな多分」


しかしざっと見ても見えないなら隠れていたりするんだろうか?


「あ、でも俺の目では見えない位に遠くにあったらどうしようもないな」


悩んでいるとアナウンスが再び聞こえてくる。


「的を一端リセットします。しばらく休憩してください。再開は10分後になります」


「休憩があるのか。まあ妖精の体力は分からないけどこっちは人間だからこれも公平をきす為なのかな?」


点数を見ると1380-1490となっていた。

どちらも凄い事が分かるが20射って100点差がついているのは結構厳しい点差な気がする。


「ファイリスは三回、ニーリスは一回外しておるからな。この二回の差は大きいじゃろうな」


俺が点数を見た表情で考えてる事が何となく分かったのかリリア様が説明する。


「ファイリスは高得点を少し狙い過ぎて集中力が落ちていたようじゃから、休憩は助かったのじゃ。外したのは後半に集中しておったからの」


「ニーリスが外したのは結構意外ですね。あれだけ得意と言っていたから外す事は無いと思っていたんですけど」


「うーむ外した時の状況が少しおかしかったのじゃ。何かあったのかもしれんのじゃが・・。まあ傍目からはよく分からんかったが」


俺がニーリスが外した時の状況を聞くとこうだ。

ニーリスは恐らく横壁ギリギリにあった100点の的を狙っていたのだと言う。

しかし射つ間際に「あー」と言ったかと思うと少し的から離れて射ったらしい。

しかし離れた為か分からないが矢は的少しの手前に落下したのだと言う。


「もしかして赤い的が近くにあったからとか?」


「的が比較的近くにあって儂は良く見ておったから分かるが、その的の近くには赤い的はなかったのじゃ」


そしてそれが外れて直ぐに休憩のアナウンスがかかったらしい。

あかさらまに怪しいけどリリア様が言うなら見える範囲に赤い的は確認出来なかったんだろうな。


「俺休憩が終わったらその的があった付近を調べてみますね」


「ああそれはいいかもしれんのじゃ。儂はあくまでも見ていただけじゃからな」



視点【???】


「ザブ族の転移口がこんな所にあるとはな」


洞窟の暗闇にローブを被った影が浮かぶ。

先の洞窟入口で魔法を発動したのと同じ人物のようだ。


「足止め出来ればいいと考えていたが好都合だ。ここで消してしまえるかもしれんな」


空中に手をかざすと波の様な物が空間に発生し始める。

どんどん波が強くなり手に魔力が高まり目に見える濃度となっていく。


「流石はザブ族領域魔法か。これだけやっても干渉出来んとは」


片方だけ手をかざしていたローブの人物はおもむろに両手をかざした。


「だが魔力を集中すれば一人位呼び出せるだろう」


先程の波紋が両手から更に広がっていく。


「『ガサレドルサモン』」


パキンッ、と空間に亀裂が走った瞬間手の中に妖精が一人捕まっていた。


「下らん問答は好かん。言う通りにしてもらおうか」


冷酷な目を妖精に向け、ローブの人物は要求を告げた。

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