ザブ族の領域遊び【2】
誤字を修正しました。
光に飲まれたのは一瞬だったが、周囲の様子は一変していた。
辺りは紫色の空間が広がっていて、俺達は空中に浮いた大きな岩の上に立っていた。
下は底が見えない程に深く闇が沈殿した様な穴だった。
皆一応さっきと立ち位置は変わっておらず、そのままこの空間に入り込んだのが伺えた。
困惑しているとリリア様の溜め息が聞こえてきた。
「はぁー・・・よりによってこんな所にザブ族がいるなどとは思っておらんかったのじゃ。こんなところに入口を作る許可を出した覚えはないんじゃが・・」
どうやらリリア様はこの空間の事を知っているようで、怒っているような呆れている様な不思議な表情をしていた。
「ザブ族ってなんなんですか?」
最近リリア様に質問してばかりの俺達だけど知らないんだから仕方ない。
ファイリスさんはこの状況に面食らいながらもリリア様に質問した。
「妖精族の一種でな、一言で言えば遊びに命をかけている連中じゃ。この空間では奴等が決めたルールに沿ってゲームが行われ、その間魔法が一切使えない上に、クリアしなければここから出られないのじゃ」
「めんどくさい連中ですねザブ族って。忙しくなければ面白そうなんですけど・・・」
「何が面白いものか、強制的に奴等にかき回されるんじゃぞ?」
嫌そうな顔をしてから1つ溜め息をつくと、リリア様は息を吸い込む。
「こそこそ見とらんと出てくるんじゃ!!いるんじゃろニーリス!!」
「え!?リリア様ですか?」
何処からしたのか分からない声が空間に響く。
すると目の前に突然これぞ妖精っていう姿の小さな生き物が現れたら。
髪は黄色く全身は緑色、透明な羽を四枚持ち一枚の布を切り抜いた様な服を着ていた。
「・・・・・・まさかリリア様がこんな所にいるなんて・・・思いもよらなかったです」
「そうじゃろうなぁ。儂にばれない所に作ったんじゃろうからな。こんなところに入口を作っていいと誰が言ったかの?」
ニーリスと呼ばれた妖精は目を逸らして口笛らしいものを吹いている。
なんて典型的な仕草を、それで誤魔化せているつもりなのだろうか?
「で?何故お主等ザブ族がこんなところで遊んでいるのじゃ?」
リリア様は呆れつつも諦めているのか若干投げ遣りに言いつつ問い詰める。
「見付かったらしょうがないですね。まあ閉じこもって退屈してたって言うのはあったんですけど、これは私達にもわからないんですがここは『偶然』繋がった場所なんですよ」
「『偶然』・・・ね」
「いや信じて下さいよこれは、他に事情は無いですから」
「・・・分かったのじゃ」
信じて無さげだなリリア様。
「ではリリア様には申し訳ないですけどこれからゲームを始めますね」
「え?出してくれるとかじゃ無いの?」
テインさんとファイリスさんも驚いた顔をする。
てっきり知り合いなら出してくれるとばかり思ってたんだけど。
「あー、申し訳ないんですけど私達の領域干渉魔法は正に命懸けでして。入った人をクリアさせずに魔法を解除したりすると皆死んじゃうんです。一族皆の力を使って命を条件にすることで行う大魔法、それが【ザブ族の領域遊び】なんです。ごめんなさいテヘッ」
「どんだけだよお前等一族!!」
まさか文字通り命懸けで遊びをする奴等だとは思わなかった。
一族がどれくらいいるか知らないが全員が関わっているならこんな物を作りだすのも頷ける。
しかし・・・・。
「はた迷惑過ぎるな・・・」
テインさんがぽつりと呟く。
激しく同意である。
「儂は早く出たいので始めて欲しいんじゃが?」
リリア様切り替え早いな。
あまりにも馬鹿な状況にまだ俺追い付かないよマジで。
「分かりました。お出し出来ないのは申し訳ないですけどどうせなら楽しんでいって下さい」
にっこりとニーリスが笑うと空間の様子が少しづつ変わり始めた。
先ほどの岩は無くなり部屋の様な場所になる。
部屋は四角になっており、四方には7つ扉がついていた。
中央にはクリスタルの様なオブジェが浮いていて、更にその回りには小さなクリスタルが6つ浮いている。
「リリア様はゲームをやった事あるんですか?」
「無いのじゃ。ザブ族とは特定の入口以外にはゲームの領域を作っていないから領域に踏みいった事は無いのじゃ。いつもはジブ族の別空間にある集落で会っておったしの」
リリア様に声をかけていると何処からかまた声が聞こえてきた。
「それでは今からルールを説明します。貴方達が挑戦するゲームはそれぞれの扉に設定された先にあるゲームをクリアしていき、7回クリアをすればゲームクリアとなります。1つクリアする毎に小クリスタルが光ります。中央のクリスタルが光れば出る為の扉が現れます。出る場合は好きな所に送って差し上げますのでご心配無く。付き合って頂くサービスです」
「分かりやすくわあるな」
「この際楽しんだ方が特な気がしてきたわ」
「早く始めるのじゃ」
「はい。それではゲームスタートです!」
リリア様がそう言うとニーリスはとても楽しそうに開始の合図を告げた。




