夢で見る彼女は
今回は短いです。
次回から物語に戻ります。
俺は夢を見ている。
ここ、異世界に来てから時折見る夢。
でも目が覚めると忘れてしまう夢。
白い空間がひたすら広がっていて、そこに立っているのだ。
辺りを見回すと、夢を見ている日から変わらずそこに座っている姿を見付ける。
女の子が1人、上を見ながら座り込んでいる。
不意に目が合う。
するとぱあぁ、っと花が咲くように満面の笑顔を浮かべた。
しかし彼女の顔は見えないのだ。
本当は女性なのかどうかも分からない。
「また来てくれたんだね」
ふと他の事を考えた瞬間に彼女は側まで来て話し掛けてきていた。
「いつも来てくれてありがとう。貴方と話すのが最近の楽しみなの!」
「俺は目が覚めると君の事を忘れてしまうんだ・・・ごめんね」
「ううん仕方ないの。それは私がここにいる限り覚えてはいられないから。お兄ちゃんは悪くないんだよ」
申し訳なさそうにでも嬉しそうに笑う。
顔はよく見えないのに眩しい程に笑顔になっているのを感じるのだ。
「今日は何のお話をしてくれるの?」
「そうだなぁ・・」
最近起こった事、リリア様に怒られた事、森での出来事等を1つづつ話していく。
彼女は凄く感情豊かに真剣に聞いてくれていて、笑ったり、恐がったり、泣いたり、驚いたりとコロコロ表情を変えた。
「面白いねお兄ちゃんが出会った人達」
「俺は着いていけそうになくて死にそうになるけどね」
「話してる時のお兄ちゃん楽しそうな顔してるよ?」
そうなのだろうか?あまり自覚らしいものは無いけど彼女が言うからにはそうなのだろう。
色々な話をし、お互いに笑い合う。
どれくらいそうしていただろうか?不意に俺の体が透け始める。
「あ、もう終わりなんだね・・・」
「そうみたいだ」
彼女は残念そうな顔をして下を向く。
「ねぇ君は何て名前なの?今まで聞いた事がなかったのが不思議だけど」
「私の名前?」
「そうだよ。君は何て名前?」
もう体も消える間近彼女は言う。
「私はセレナ。只のセレナだよ!」
最後も満面の笑顔で答えた。
白い空間でまた1人になったセレナはその場で上を向くと、一言呟いた。
「またね。お兄ちゃん」




