獣人村騒動【8】
視点【リリア】
「!?」
「どうかされましたか?」
びっくりした様に振り返ったリリアにギルクは話し掛けた。
パスが切れたのをリリアが感じたのは統夜達が魔獣に呑まれた瞬間だった。
統夜に何かあった時の為にすぐ分かる様に注意していたのだ。
「あの馬鹿者は手間ばかりかけさせおって・・・」
思わず目頭を押させる。
「ギルク、悪いがトーヤ達に何かあったようじゃ。ノノがいなくなった場所に案内を頼めるかの?」
「はっ、分かりました」
ギルクは頷くとその現場の方へへ足を向ける。
リリアもギルクと同じ方角に足を向けるが、違和感に気付き振り返る。
「誰か見ておる・・」
「え?」
「ギルクは先に行くのじゃ」
「しかしリリア様を一人残して行くわけには」
「すぐに追い掛けるから心配するでない」
ギルクは最後まで行くのを躊躇っていたが、ひとつ頷くとその場から高速でいなくなった。
「で?儂に何の様じゃ?」
『気付かれてしまったら仕方がないけど、姿を見せるのはまだ早いかな。あんまりあれを早く見付けられると困るから見張ってただけなんだけど、大賢者に見付かったらすぐに解決されてしまうかな?』
「つまり今回の騒動を起こしたのは貴様だったという事じゃな?儂に居どころを掴ませないとはなかなかの手練れの様じゃ」
『大賢者に褒められるとは光栄だけど、今回は只の実験だから悪いけど貴方に関わるのはここまでにしておくよ。逃げるなら貴方は追っては来ないでしょ?』
「そうじゃな。今は統夜達の方が心配じゃからの」
『ああ、なるべく早く助けて上げるといいかもね。時間的にはそろそろだから。それではまたいずれ』
「・・・・・」
リリアは見られていた気配が消えたのを感じ踵を返した。
「いけすかん奴じゃ」
一言呟いた後に杖を一振りし統夜達がいるであろう方向を見つめると、姿は次の瞬間かききえたのだった。




