獣人村騒動【5】
統夜達が一通りの事情を聞き終えると、さっきの奴が呼んできたとおぼしき応援が到着する。
ああ来ちゃったかーとか思っていると、その中の年配とおぼしき猿男が目を見開いて驚きの声を上げた。
「リリア様!!これはまた随分とお久しぶりではないですか!?不審な侵入者と聞いていたのですがリリア様の事でしたか」
どうやらリリア様を知ってる人がいたようだ。
良かった、このまま戦闘とか言われたらどうしようかと思ってたのだ。
人数があまりに多く心の声がうるさくなったので指輪をはめ直す。
マナの声は結局一度も聞こえなかったな。
後でリリア様に聞いてみよう。
「久しいなギルク、壮健で何よりじゃ」
「ギルクさんこのガキの知り合いなのか?」
マナがギルクと呼ばれた猿男に話し掛ける。
「口の聞き方に気を付けなさい。この方はノノ様の旧友でお前達よりずっと歳上なのだぞ」
「・・・・・マジですか?」
「よいのじゃ。慣れておるからな。ギルクも幼い頃はお主と同じように勘違いしておったものじゃ」
「お恥ずかしい限りです」
事情がわかった所でギルクとマナ以外は持ち場に戻り話を再開した。
「して。ノノがいなくなったそうじゃの?」
「はい。昨日から姿が見えません。昨日の朝護衛を撒き、散歩に出たらしい辺りから行方が分かりません」
「護衛を撒いていなくなる事は結構あるからみんな深刻になってなかったんだけど、日が沈んでも戻ってこなかったから、森の見張り以外が今総出で捜索をしてる最中なんだよ」
ギルクの話しにマナが続けた。
「ていうか私がノノ様の護衛だったんだけどな」
「何か痕跡らしき物は見付かってないんですか?」
俺はマナに語りかける。
「さっぱりだよ。匂いも唐突に途切れてたし、何かに襲われた形跡も別の人間や獣の匂いも無しだ」
「それはおかしくないかの?」
マナの発言にリリア様が疑問の声を上げる。
「匂いが途切れておるのに別の匂いが無いと言うことは、その場で完全に消えたという事にならんか?」
「確かにそうなるけど誰かに拐われたなら無いことはないんじゃないですか?」
「獣人の鼻の良さをみくびるんじゃないよ。誰かが近くにいたんなら気付いたに決まってんだろ?」
そんなに凄いのか獣人。
「なら魔法で移動したとか?リリア様が使ってた空間魔法みたいに」
「空間魔法は干渉魔法じゃが効果範囲が狭いのじゃ。その距離なら匂いが残らない筈はないのじゃ」
「手掛かりが詰んでますね」
手詰まり感が酷い。
「しかしこれだけ捜索して痕跡すら見付からないとなると、空間魔法と遮断魔法等の複合魔法が使える手練れの可能性も確かにあるのじゃ」
「もう逃げられてるなら森の外を探すんですか?」
「いや森は空間魔法では出られないし入れない仕組みになっておるから、必ず境界線を越えれば見張りにばれておる筈じゃ。それが無いという事はまだ森から出てはおらん筈なのじゃ」
「でも見付からないと・・・」
「ふむ・・・・トーヤ」
「はい?」
「お主が探してみるのじゃ」
「え!?」
リリア様が突然驚きの提案をしてきたのだった。




