獣人村騒動【4】
視点【???】
「どうしよう・・・」
猫獣人ノノ・ルーイン・クリスタは困っていた。
短めに切られた真っ黒い髪に黒い瞳、猫耳と尻尾を持ち、外見は小柄でリリア様と変わらない位の歳に見える。
先ほどのマナの発言を否定する様な形になってしまうが、ノノは拐われた訳ではなかった。
状況を言えば更に一段階以上にまずい状況だった。
ノノがどこにいるのか。
簡潔に言えば魔獣の腹の中である。
魔獣とは魔物の影響を受ける事で変異した動植物の事である。
ルームワームという魔獣が存在する。
自分の体内に空間の違う部屋を作り、気に入った生物を死ぬ迄観察したのち溶かして食べるというとんでもない魔物である。
そしてもうひとつの特徴は擬態である。
どんな姿形にもなる事が出来、魔力すら隠匿する能力を持っているのである。
「森に可愛い子犬がいると思ったのに」
補足するとこの魔獣は擬態するのに大きさを問わないので、別の姿の時はほとんど変身である。
ノノはまんまと罠にかかり子犬に見えたルームワームを抱き上げた瞬間に空間へ丸呑みされたのである。
更に自分が自由に遊びたいからという理由で、護衛を撒いた上での行動なので自業自得以外のなにものでもない。
「この歳にして人生詰んだかなぁ」
空間に呑まれてからもう1日以上経過していた。
体力や気力は流石獣人といったところで、1日飲まず食わずでもまだまだ平気のようだった。
が、如何せん抜け出す手段がないのである。
獣人は肉体面に優れる一方で魔法関係は不得手なのである。
「それよりもあの子達が変な気を起こしてないかの方が心配なんだよねぇ」
現にリリア達に対して色々事を起こそうてしていたのだからその心配は最もである。
獣人は情に厚く仲間意識が強いが熱くなると周りが見えなくなるので、押さえ役がいないと駄目なのだ。
それでも昔はもっと柔軟な思考を持つ者が多かったのだが、世代交代と共に血の気が多い者が増えてきたのが現在の獣人村である。
「今の状況は自分が悪いのは重々承知してるんだけど、こんな所にこんな魔獣がいるのもかなり怪しいんだよね」
そう、本来こんな魔獣が生まれる様な魔物が長期間森に出現するなんてクリニア大陸では有り得ないのである。
よほど大陸を管理する賢者が怠け者であったとしても、それでも大陸に魔獣が生まれる事態など魔物を数年単位で放置でもしなければ有り得ない話なのである。
「いくら【楽天】様でも人を害したりする遊びはしないし」
うんうんと自分の言葉に納得する様に頷く。
「とすると『魔人』連中がが関与してるのかー・・こっちの大陸に来てる何て情報なかったのになぁ。めんどくさいなぁ」
自分の推察が当たっていて欲しくないというように顔をしかめる。
「推察しても外に伝える手段が全くないんだけどね」
1日1人でいたせいかどんどん独り言が増えていくノノに、やはり返事は返ってこなかったのだった。




