獣人村騒動【2】
忙しくて短くなりました(-_-;)
「おい放してくれ!?」
あの場で一歩踏み出した俺は高速である人物に拐われていた。
「あの場に同族以外が合言葉を言わずに境界線を越えた場合、どんな人物や場合であっても村へ連行する決まりなんでね」
耳としっぽがある以外は人間と変わらない容姿をした、美しい長いブロンドの髪の女性だった。
俺は現在首を捕まれつつ木の上を移動しているのである。
因みに俺はつい最近リリア様に丈夫なローブを買ってもらって、それを羽織っている。
これが無ければ枝に肌をズタズタにされているかもしれない。
「どんな場合でもってのはいくらなんでも横暴じゃないの!?」
「決まりなんだからしょうがないだろ?いいから大人しくしてろよ悪い事しに来たんじゃ無いなら殺しゃしないよ」
「リリア様を置いてきぼりにしちゃったんですけど?」
絶対後で怒られるのが確定してるから若干会いたくない気もするが。
「ああお前の側にいたガキか。お前あんなのを様付けで呼んでんのか?幼女趣味はあまりいい趣味とは言えないよ?」
「それ絶対本人の前で言っちゃ駄目ですよ・・・」
あの人は年寄り扱いも怒るけど幼女扱いはその倍怒るからな。
「あの人は賢者様ですよ?」
「あ?賢者?あの連中が御山から降りてきてしかも獣人の村にわざわざやって来る訳無いだろ?それ位子供でも分かるよ馬鹿にしてんのか?」
普通の賢者はそういうものらしいね。
俗世への加干渉は特に厳重にリリア様が言い聞かせてあるらしいから。
まあリリア様から賢者達の愚痴を度々聞く感じだと、あまり守ってない様だけど。
「あの人は賢者じゃ無くて大賢者何ですよ?」
「大賢者?何だそりゃ?聞いた事無いけど賢者は賢者なんじゃないのか?」
おや?大賢者ってあんまり知られていないのかな?
まああの人見てると伝説とかにもなってないかもしれない。
妙に子供っぽい時もあるし。
「いいからもう大人しくしてろよ」
その言葉と共に速度を上げた彼女はものの五分足らずで村に到着した。
「マナどうしたんだ?」
到着すると狼男の様な連中が3人程やってきて彼女、マナと呼ばれた俺を連れて来た女性に声をかけた。
「合言葉無しに境界線を越えた馬鹿な奴連れて来たんだよ」
「あー密猟かなんかか?」
「いや何か目的があって来たらしいんだが賢者と来たとかホラ吹きやがんだよな」
「はぁ賢者?賢者ってあの賢者か?馬鹿かこいつ」
まあ彼女の話を聞いていたら信じてもらえないとは思っていましたよ。
「来た目的はともかく境界線もうっかり越えたみたいなんだよなぁ」
「とりあえず1日だけ拘束したら森の外の街道に放り出しときゃいいだろ?」
彼女の話通り殺されたりはしないらしい。
少し安心っと思っていたら背後から聞き慣れた声が聞こえて来た。
「悪いが放してやってくれんかの?儂の連れなのじゃ」
振り向くとそこには呆れ顔のリリア様が立っていた。




