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みなさん投稿遅れて申し訳ありませんっ!
また再開していきたいと思います!
長らく他の執筆をしていたので文体など変わっているかもしれませんがそこはご容赦を......
それではっ!
「……ここ……は……」
俺は、重い瞼をどうにか開く。
ぼーっとする頭をどうにか覚醒させ、辺りを見回すと、そこは見たこともない部屋の中。
ジンジンと痛む頭に触れようと手を動かそうとしたところで、俺は自分の身に起こっている異変に気がついた。
「うご……かない……?」
両腕にいくら力を今を込めても、一向に動く気配はない。
俺は慌てて自分の身体を見回した。
「なんだよ…………これっ!?」
両腕、両足を、拘束されていた。
頑丈な椅子の足に、両足をロープのようなもので縛り付けられ、腕も後ろで手首を縛られてしまっている。
俺は、身の危険を感じる。
全くもって、訳がわからない。
俺は、自分の記憶をたどり始める。
確か、俺は学校からの帰り道、おかしな様子の杏里に出会った。
不審に思い追いかけようとしたが、俺は杏里を見失ってしまった。
杏里の家に行けば何かわかるかもしれないと思った俺は、杏里のおじいさんと出会った。
その後は…………そうだ。
俺はおじいさんと一緒に杏里を探し、結果として見つからなかった。
おじいさんにも帰るように促された俺は、仕方なく家へと帰り、その帰り道で、
「黒づくめの男たちに、襲われた…………?」
そうだ、俺は、家に着く、後少しというところで、黒塗りのバンに乗った男たちに声をかけられた。
そこまでは覚えている。
それで、なんで俺は、こんなところで手足を縛られて、監禁されて…………?
「あらあら、おはようございます、春翔さん」
「…………っ!?」
後ろから、声をかけられる。
その声は、俺のよく見知った人の声で…………。
「な、なんで…………?」
ーーーーーーーーーー
ーー遅い。
私、芒野ほのかは時計を見ながらそう考える。
いくらなんでも、はるくんの帰ってくるのが遅すぎるのだ。
はるくんからは生徒会の手伝いで帰るのが遅れると連絡は受けているが、すでに時計は8時を回っている。
おかしい。
いくらなんでも、遅すぎる。
私は隣にいるせっちゃんに視線を送った。
「ねえ、せっちゃん、あのさ…………」
私がそう話しかけると、せっちゃんも眉間にしわをしわを寄せていた。
「うん。ほのか、私もはるとが帰ってくるの、少し遅すぎると思ってた。いくらなんでも、時間がかかりすぎ。それに、さっきからメールを送っても、何の返信もない」
やっぱり。
せっちゃんも、はるくんのことを心配してくれていた!
一時期は、せっちゃんのこともはるくんを困らせる、害虫のうちの一匹なのではないかと疑っていたけど、昨日見せてくれた傷のこともそうだし、今の様子を見ればわかる。
私と同じ、はるくんのことを心配して、何も手につかなくなっている。
ーーせっちゃんは、信用できそう。
私はそう確信する。
それに、せっちゃんのことは家に着いてからずっと見張っているし、何かおかしなことはできるはずもない。
今、はるくんが帰ってこないこととは無関係のはずだ。
それならーー
「せっちゃん、私、やっぱりはるくんのこと心配だから、探しに行ってくるよ。とりあえず学校まで行って、途中で見つかれば問題はないし、それにーー」
「ううん。ほのか、その必要はないよ」
私がそう言うと、せっちゃんは難しそうな顔をしながらこちらへスマホの画面を向けてくる。
「はるとには、カメラとかをつけることは禁止されてるけど、スマホのGPSを追跡することまでは、禁止されてない。今、どうにかはるとの居場所を調べたんだ。はるとが今いるのは、ここ」
画面を見れば、ここ、神凪町に住んでいる人なら誰しも知っている、そんな場所が映っていた。
「ここって…………まさか…………」
「うん」
そう言うと、せっちゃんは急に立ち上がり、何やら荷物をまとめ始めた。
「間違いないよ。ここは風莉の家の敷地内。ほのか、はるとが心配。今すぐ風莉の家に行こう」
ーーーーーーーーーー
「何で…………風莉さん?」
「はい、そうですよ? 春翔さん」
俺が名前を呼ぶと、風莉さんは嬉しそうな顔をしてこちらへと微笑みかけてくる。
ーーいつもと同じ、優しそうな、すべてを包み込んでしまいそうな、本当に優しそうな笑顔。
それが、今は怖い。
何せ、状況がおかしい。
これが、学校ですれ違った時にそういう表情を浮かべているならわかる。
でも、今の俺は…………。
「すみません、春翔さん。もう少し、自由な格好にしてあげれれば良いのですが、今はそれで我慢してください。私も、人を縛った経験などないもので…………。その結び方ですと、やはり手首や体が痛んでしまうそうなので、どうにかしなければ! と思い、さきほどまで手首の痛まない縛り方というものを猛勉強していたんです! ですので、次に目覚める頃には安心して…………」
「風莉さん!!」
俺は、力の限り叫ぶ。
普段出し慣れていないせいか、喉が今の一瞬で枯れてしまった。
喉も痛む。
だが、今は、確認しなければいけないことがある。
「風莉さん…………今俺を縛っているこれは、君がやったの?」
俺は、質問をしてから後悔をする。
わかっている。
さっきの風莉さんの話していたことは、明らかにそれを肯定するもので。
でも、それでも、俺は風莉さんの口から、その言葉を聞くまでその事実を認められない。
もしかしたら、風莉さんが今入っていたことは冗談かもしれない。
今起きているこのことだって、俺が変に猟奇的な方向に勘違いしているだけで、手の込んだドッキリとか、サプライズパーティーとか、そういうーー
「はい、そうですよ。春翔さん。私がやりました」
しかし、風莉さんはその優しそうな笑顔を崩すことなく、俺にそんな言葉を投げかけてきた。




