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俺は先ほどの杏里の様子が心配だったため、取り敢えず杏里の家に寄って行くことにした。
杏里の家はこの神凪町唯一のペットショップで、日頃は常に動物好きで溢れかえっている。
俺がペットショップまで歩いて行くと、店の前には、早めに店を閉めようとしている杏里のお爺さんが立っていた。
「ああ、春翔くん!」
お爺さんは、俺を見つけると、そわそわとした様子で俺の元へ駆け寄ってくる。
「お久しぶりです、お爺さん」
「ああ、久しぶりだね。春翔くん」
お爺さんは一応挨拶は返してくれてはいるが、どこか様子がおかしい。
なにか、心ここに在らずという感じだった。
俺に聞きたいことがあるが、それを聞くのを躊躇っているような、そんな雰囲気が感じ取れる。
「あ、あの、同化したんですか?なにか......杏里に何か、会ったんですか?」
先ほどの杏里の様子が気になる。
俺がそう聞くと、お爺さんは少し悲しそうな表情を浮かべる。
「春翔くん。実は、杏里が昨日から帰ってこないんだが、何か知らないだろうか......?」
「え?杏里のやつ、帰ってきてないんですか......?」
お爺さんの話によると、杏里は昨日の夜から家に帰って来ていないらしい。
家には、俺の家に泊まりに行くと書き置きがあったという。
杏里がうちに来ることは、泊まりに来たことはないにしても、珍しいことではなかったのでそれほど心配してはいなかったらしい。
しかし、流石に今日になっても連絡の1つも寄越さないというのはおかしな話だ。
そう思ったお爺さんが、先ほどうちに電話をかけたところ、電話に出たほのかから話を聞いて、神宮寺家に杏里が泊まりに来ているなんて事はなかったという事が明らかになったという。
念のため警察には連絡をしたらしいが、警察には、様子見のためもう少し待って欲しいと言われたらしい。
「春翔くん、なにか、なにか杏里の行き先に覚えはないだろうか?」
お爺さんは真剣な目でこちらに問いかけてくる。
「行き先は、俺も分からないですけど、さっき帰り道で杏里に話しかけられて......少し様子がおかしかったので、俺も話を聞こうと思ったんですけど逃げられちゃって」
俺がそう言うと、お爺さんは少しホッとした表情を浮かべた後、こちらに質問を問いかけてくる。
「そうか、杏里は無事だったのか......全くあの子は、春翔くんにまで心配をかけて......春翔くん、ありがとう。ちなみに春翔くん、どこで杏里にあったか場所は分かるかい?」
俺が先ほど杏里に会った場所をお爺さんに教えると、お爺さんはペットショップのエプロンを店の中へと放り投げた。
「教えてくれてありがとう。何かあっとかと心配で居ても立っても居られないのでな。私は杏里を探しに行ってくるよ、今日はもう店じまいじゃな......」
お爺さんは、どこか悲しそうな顔をしている。それは昔、一度だけ見たことがある。
あの時も、杏里のお爺さんはこんな顔をしていたっけ......
「お爺さん、杏里を探しに行くなら、俺も一緒に行きますよ。1人だと気付かないことでも、二人なら気付く事もありますし......それに、そんな事になっているなら、俺もさっきはちょっと見失ったくらいで諦めるんじゃなかった。一緒に杏里を探しましょう」
「春翔くん.......ありがとう。そう言って貰えると助かる。ありがとうね」
俺はおじいさんと一緒に、杏里を探す事にした。
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「杏里、どこに......」
結局、お爺さんと二人であたりを探しまわったが、杏里は見つからなかった。
もちろんいくら神凪町が狭いとはいえ、町の中から人一人を探すのは容易でないと分かってはいた。
これ以上杏里を探して遅くなるのは良くないとお爺さんから言われてしまったので、俺は今家への帰り道を歩いている。
あと少しで家に着く、というところで、俺は道の端に黒塗りの車が停められている事に気がついた。
「あれは......?」
警戒しながら通り過ぎようとした時、徐に車のドアが開き、黒ずくめの男たちが降りてくる。
「君は、神宮寺春翔だね?」
そのうちの一人が俺に対して声をかけてくる。
「えっと、あなたは......」
俺はその言葉を全て言い切る前に、意識を失った。




