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警察署から出ると、ほのかと風莉さんが外で待っていてくれた。
二人とも、流石に刹那先輩が殺されたと知って、ショックだったのだろう。
よくみると、泣いていたのだろうか、目が少し赤くなっている。
俺が二人に対して軽く手を振ると、心配そうな顔をしながら駆け寄って来てくれる。
「二人とも、来てくれたんだね」
俺がそう言うと、二人とも当たり前だ!と言う顔をしている。
「あれ、そういえば杏里は?」
俺がそう言うと、ほのかが心配そうな顔をしながら答えてくれる。
「それか、あんちゃん、連絡取れなくて......家にも居ないみたいだからどうしちゃったのかな......それより、はるくん、大丈夫?」
杏里、どうかしたんだろうか。
「ああ、俺は、何とか大丈夫」
すると、今度は風莉さんが口を開く。
「春翔さん。実は、刹那さんのご両親にも......その、連絡を入れようとは思ったのですが......」
「......ああ、やっぱりね、繋がらないんでしょ?」
俺がそう言うと、風莉さんは申し訳なさそうな顔をしている。
「くそっ!!......なんなんだよ!!刹那先輩の親は!!!自分の娘が亡くなったって言う時に、何してるっていうんだよっ!!!こんな事より大事な事なんて、他にないはずだろっ!!!」
俺は思わずイラついてしまい、近くにある電柱を蹴ってしまう。
だって、おかしいだろ、娘が殺されてるって言うのに、連絡もつかないなんて、親としてどうなんだよ!!!
「お、落ち着いて、はるくん」
「そうです、気持ちは分かりますが......」
二人は慌てて俺にしがみついてくる。
......ダメだ、俺も気が立っていて、今は冷静じゃない。
「二人とも、悪い。今日は俺も大人しく家に戻ることにするよ。......ところで、風莉さん。少し、聞いてもいいかな?」
俺はどうにか気持ちを落ち着かせ、風莉さんに話しかけた。
風莉さんは、ほのかと同様に不安そうな顔をしているがしっかりと話を聞いてくれている。
「はい、なんでしょうか......?」
「風莉さんなら......いや、祁答院家なら、多少警察に顔が効くよね?捜査の状況とか、内容とか、色々調べることってできるかな?」
俺がそう言うと、風莉さんは表情を引き締める。
「ええ。お父様に頼めば、幾らかの情報を引っ張ることもできると思います。何か分かり次第、春翔さんに、連絡すると言うことでよろしいですか?」
「うん、お願いするよ。......ありがとう、本当は警察に任せておいた方がいいんだろうけど、俺は、犯人のことがどうしても許せない。先に捕まえてやりたいんだ」
「分かりました。それでは至急、その旨を伝えに参ります!」
風莉さんはそう言うと、急いで側に停めてある車へと戻っていった。
「はるくん......」
「ほのか、俺たちは一先ず家に戻ろう。俺も、少し一人で落ち着いて考えたい」
「うん......分かりました」
ーーーーーーーーーー
「はあ」
俺は、部屋の中で壁に掛けられている時計を見る。針は夜の八時をさしたところだった。
携帯をみると、風莉さんから連絡が来ている。
内容は、警察は刹那先輩の件を殺人事件として捜査を始めたと言うこと、そして、刹那先輩の部屋には、俺の写真の他に、杏里の写真が残されていたそうだ。
さらに、警察によると、死亡推定時刻は今日の朝八時から十時だという話だ。
刹那先輩......一体誰に殺されたんだ。
......って、待てよ?そう言えば、杏里は?
杏里は、今何をしているんだ?
俺も自分の気持ちがいっぱいいっぱいで忘れていたけど、そう言えば杏里に連絡がつかないってことをほのかも風莉さんも言っていた。
......まさか。
もしかして、杏里も何か酷い目にあってるんじゃ?
「やばい、杏里っ!!!」
俺は慌てて外に出る。するとーー
「ふふふ」
「......えっ?」
家の外に出ると、そこには黒いジャージを来た人物と、ほのかが立っていた。
フードを深くかぶっているせいか顔はよく見えない。
「お、お前は!あの時のーー」
「酷いね、ここにいたんだ」
ダァン!
「ぐっ、ぐぁっ、あぁぁぁぁ!!目がっ!!」
なんだ。なんだなんだなんだなんだなんだ!!
なんなんだこれ!!
なんでまた、こいつがここに!?
「あぁぁぁぁぁっ!!ぐっ、がぁっ!!」
「は、はるくん!?そんな、やだ、はるくん!!」
ほのかの声が聞こえる。だけど、それよりもーー
奴の打った銃弾が、丁度右目に当たったのか、右目にあり得ないほどの激痛が走る。
脳が沸騰したかのように頭が熱い。
今なら、ここからなら、奴が誰なのかわかるはずなのに......
「あれー?死んでないの?あはは。まあ、いいや、もう私のじゃないみたいだし」
「お前はっ......誰......っ!!それは!?」
「もういいよ、ばいばい」
ダン!ダン!ダァン!
「お前っ!はるくんに何てことをぉっ!!!」
ああ、またか。
また俺は、何も出来ずに、死ぬのか。
鐘の音が聞こえる。
そう言えば、この音どこかで聞いたことがあるような......
そのまま、俺の意識は途絶えた。
皆さん!黄昏の半鐘に初レビューがつきました!!
書いてくださった方、ありがとうございます!!
他にも、評価や感想をいただいて、とても嬉しいです。
これからも、誠心誠意書き続けていこうと思うのでみなさんよろしくお願いいたします。
それでは〜!




