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6

 次の日、今日は土曜日だ。


 うちの高校は進学校ということもあって、普段なら土曜日には半日は授業がある。


 本来であればもうそろそろ登校の準備をしている時間なのだが、今日は創立記念日ということで、学校は休みだ。


 昨日は……刹那先輩のことを考えていて、あまりよく眠れなかったな。


 刹那先輩、本当どうしちゃったんだあろう……そうだ、そういえば風莉さんが昨日、その手のプロに盗撮カメラなどの処理を頼んでおいてくれると言っていたが、あれから結局どうなったんだろうか。


 ほのかの作ってくれた朝食を食べながらそんなことを考えていると、玄関からチャイムの音がなる。


「はーい」


 ほのかが出て行って、何やら話しているようだ。


 しかし、話は早々に終わったらしく、すぐに戻ってくる。


「こんな朝から誰だったんだ?」


 俺がそう聞くと、ほのかは嬉しいような、少し寂しそうな、複雑な表情をしている。


「……うん。さっき、風莉さんの使用人っていう人がやってきたんだけど、はるくんが頼んでおいた盗聴器や盗撮カメラの撤去は、無事終わったそうです」


「そうか!それは良かった。やっぱり、今回のことは風莉さんに頼んでおいて、良かったな」


 俺がそういうと、ほのかは少し不満そうだ。


「はるくん。やっぱり、風莉さんをあまり信用するのは私は……」


 ほのかは心配そうな目で俺のことを見つめてくる。


「ああ、うん。ごめん。別に、風莉さんのことは、まだ完全に信用してるってわけでもないんだけど、今回のカメラ騒動については助けてくれたわけだしさ。少しくらい感謝してもいいだろ?」


「それは、そうですけど……一応、心配なので私もはるくんの家をもう一度、見てきます。私が確認し終わったらはるくんも入っていいですからね。あ、そうだ。後でやっておくから、朝食の洗い物は置いておいてください。それじゃあ、またあとでね」



 そういうと、ほのかはそのまま俺の家へと向かって、部屋を出て行ってしまった。


 まあ、確かに今のところ梅野さん殺しの候補から外れてるのはほのかだけだし、精神的にも一番頼りにしてはいるんだけど……


あんまりほのかに全部任せて甘えっぱなしっていうのも良くないな。


 ほのかも最近、というか、俺の監禁未遂の一件以降、俺に対して気を使っているのがわかる。


 そもそも最近過保護すぎるし……前回の暴走もあるから、ほのかにはあんまり無茶をさせたくはないんだけど……



 しばらくして、置いておいてとは言われたものの、手持ち無沙汰だったので刹那先輩へのこれからの態度をどうするか考えながら洗い物をすませると、丁度、携帯電話の着信音が鳴る。


 どうやら、刹那先輩から連絡が来ていたようで、俺は慌ててその内容を確認する。



 メールに書いてあった内容は、昨日は私がどうかしていた。今日は、昨日のことをどうしても謝りたいので、夕方に家に来て欲しいというものだった。


 ……どうするべきか。


 刹那先輩の謝りたいという気持ちが本当なら、俺だって仲直りをしたいと思っている。


 ーーだけど、俺は今でも、昨日の刹那先輩の、狂気に染まった目が忘れられない。


 あのカメラの話を知るまでは、刹那先輩のことを疑いもしなかったが、あれを知ってしまうと少し、俺も刹那先輩の家に行くのは気が引けてしまう。


 脳裏に蘇るのは、今まで二度体験した、死の記憶。


 よく、アニメや漫画なんかで、怪我を負いながらも戦うキャラクターたちがいるが、現実はそうはいかない。


 頭を砕かれればすぐに意識は飛んでしまうし、銃で何発も撃たれれば痛みで正気を保つことなどできない。


 人生で一度もないことが当たり前の、そんな体験を俺は既に二度もしている。


 思い出すだけで、胃がむかむかする。



「ちょっと、外の空気を吸ってくるか」


 ずっと室内に引きこもっていても、思考がどんどん深みにはまって、よくない方へ転がって行くばかりだな。


 俺は少し、外へ出て散歩することにした。



ーーーーーーーーーー



 俺は、ほのかにメールを送った後、一応書き置きも残してからほのかの家を出た。


 後で、なんで私を一緒に連れて行かなかったのかと怒られそうではあるが、とりあえず今は一人で少し歩きたい気分だったからな。


 俺も、こんな時に人気のない場所を能天気に歩く気もないので、町の商店街をぶらぶらしていた。


 商店街というと、良くニュースなどで、大手のスーパーマーケットなどに押されて廃れているだとか、過疎化で人がいなくなってしまったなどというネガティヴな言葉ばかりを良く聞くが、我が神凪町の商店街はそうではない。


 基本的にうちは地域のコミュニティが強く、助け合いの精神というものだろうか、いつも多くの人で商店街が賑わっている。


 そんな、活気ある商店街の中を歩いていると、俺はその中に見知った影を一つ見つける。



「あれ、アリサ会長じゃないですか?」


 俺が声をかけると、前の八百屋で食材を選んでいるアリサ会長が、良く目立つ銀髪をなびかせてこちらへと振り向いた。


「あら?春翔くん?こんなところで、奇遇ですわね」


「え、ええ、本当に。アリサ会長は、こんなところで何をしているんですか?野菜を見ているみたいですけど……買い物?」


 俺が不思議そうな顔をしてそう尋ねると、アリサ会長はぽかんとした顔をしている。


「何をしているも何も、今日の夕飯の買い出しですわ?八百屋さんですることなんて、そのくらいのものでしょう」


「あ、あれ?そうなんですか?なんか、意外だなー。アリサ会長って、意外と庶民派なんですね〜」 



 俺がそういうと、アリサ会長はこちらを不満そうな目で睨んでくる。


「前も言いましたが、春翔くんは何か勘違いしていますわね。私は別にお嬢様などではありませんのよ?何でそんな風に思っているんだか……だから、商店街の八百屋さんで野菜を買っても、何も意外なことはありませんわ。それに、ここのお野菜は安くて美味しいんです!」


「あ……そういえば、前にも言ってましたね、ゴメンなさい。いや、なんていうか、会長って喋り方もあると思うんですけど、高貴なオーラ出てるじゃないですか?それでなんか、あはは……」


「そうですか?......ふーん。まあ、いいですけれど……」


 あ、どうしよう、なんか、アリサ会長は変な顔をしている。


 何か、この前も家のことについて聞いた時、アリサ会長とは変な雰囲気になっちゃったからな。

 何か、話題を変えられるようなことは……


「あ、そうだ!買い物に来てたんですよね!?それなら、せっかくですし、荷物持ちを手伝いますよ!俺もちょうど、暇でしたから」


 俺が何の気なしにそういうと、さっきまで不機嫌そうな顔をしていたアリサ会長の顔が一転、パッと明るくなった。


「そうなんですの!?それなら、さっきまでのことは水に流します!ちょうど少し腕が痛かったので、荷物持ちが欲しかったんですわ!さあ、行きましょう春翔くん!買っておきたい物が結構あるんですの!」


 そういうと、アリサ会長は満面の笑みで俺の腕に絡みついてきた。


 え?あれ!?なんか距離近くないか!?


「か、会長!?え、なにを……っ!?」


「ふふふ、なんで赤くなってるんですの?さあさあ、張り切って行きますわよ、春翔くん!」



 みなさんのおかげで、そろそろ20,000PVに届きそうです!!

 評価も100ptを超えることができました。


 このように小説を書き始めてから早一ヶ月、思い立ったらすぐ投稿と、ストックを作らずやってきましたが、これからも毎日精一杯書いていこうと思うので、応援よろしくお願いします!!


 あくまで、面白いと思ってくれたらという話ですが、感想などいただけると大変励みになります!


 それではまたの機会に〜〜!!

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