幕間 その3
今回は風莉さん編です!!
話の都合上、あまり焦点が当たっていないヒロインもいるので、幕間にて!
それでは!!
「あらら、春人さんったら」
俺たちは、放課後にいつもの通り、現代社会研究部の部室にいた。
「これ、めちゃめちゃうまいいよ、風莉さん……」
今俺たちが何をしているのかというと、みんなで風莉さんが焼いてきてくれたという、パウンドケーキに舌鼓を打っているところだった。
「本当、美味しいです……風莉さん。今度このレシピ教えてもらえませんか?」
ほのかもレシピを聞き出そうとしている。やっぱり料理とか、おかし作りができる女の子っていいよなー。
「刹那先輩と杏里も聞いておいた方がいいんじゃないか?」
俺がそういうと、刹那先輩は俺をジト目で見てくる。
「はると。そういう考え、古いと思うよ。女はお菓子を作って、男は食べるとか、そういうのって、古い」
あ、あれ?いつにも増して、刹那先輩が攻撃的だ。
「まあまあ、せっちゃん落ち着いて。でも、ボクもそれはおかしいと思うよ?」
う、うーん。なんかそう言われるとそんな気がしてきた……
「そうです!それなら、春翔さん、今週末、うちに来ませんか?確かに、このご時世、男の方は料理ができなくてもいい、というわけではないと思います!ですので、私が春翔さんに料理を伝授いたしますわ!!」
「あ、それはいいね。風莉さんなら教え方も丁寧そうだし、教えてもらおうかな?毎回ほのかに 夕飯作ってもらってるのも悪いしーー」
「夕飯は私が作りますよ?」
ほのかがこちらを見つめてくる。あれ?なんか、顔は笑ってるけど、目が笑ってなくないか?
「まあまあ、ほのかさんも、疲れたらたまには私が変わりますよ?」
「大丈夫です。風莉さんの言ってることはありがたいですけど、それは私の仕事ですので」
ニコリ
「そうですか、ほのかさんは頑張り屋さんですね」
ニコリ
な、なんだろうか、寒い。夏も近いのに体感温度が5度くらい低い気がする。
「せっちゃん、これは……」
「うん、杏里、これはさすがの私も、関わらないほうがいいと、思う」
おい、ちょっとそこの二人。なんで逃げてるの。
「じゃあ、そうですね。ほのかも、一緒に俺に教えてくれないか?二人から教えてもらえたら、絶対料理できるようになる気がするんだ」
「すごい、はるにい、やる気だよ……」
「獅子身中?虎穴に入らずんば、虎児を得ず?」
なんか不謹慎なこと言われている気がするが、まあ、放っておこう。
「わかりました、風莉さんには、負けませんよ!!」
ほのかもやる気になっているようだ。今週の日曜日は大変そうだな〜。
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「けほっけほっ」
その日曜日の朝、俺はほのかから電話を受けていた。
「ごめんなさい、ばるぐん……ごほっ、風邪をひいでじまっで、ごほっ」
あーこれはかなり辛そうだな……
「大丈夫か?もし辛いんなら、風莉さんに今日のことは謝って、看病しに行くけど……」
俺がそういうと、ほのかは申し訳なさそうに謝ってくる。
「いや、ぞれは、大丈夫でず。げほっ。風莉さんも楽しみにしていたでしょうから、いっであげでくだざい、くしゅんっ」
こ、困ったな。
「じゃあ、帰ってきたらほのかの家によるから、ちゃんと寝てるんだぞ?」
「はい、ありがどう、はるぐん。いっでらっしゃい」
ほのかのことは気がかりだが、まあ、ほのかもこう言ってることだしな……
とりあえず、風莉さんの家に行くか。
俺は、準備をした後、風莉さんの家へ向かった。
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「どうも、ご無沙汰しております、神宮寺春翔様」
「ええ、お久しぶりです。堺さん」
俺は、風莉さんの執事に挨拶をする。
「お元気そうで、何よりでございます。それでは、お嬢様はこちらでございます」
そういえば、風莉さんの家に来るのも久しぶりだな。
俺は堺さんに案内されるまま、案内される部屋に向かう。
「あら?今日はほのかさんも来ると伺ってましたが……?」
風莉さんは、顎に指を当てて首を傾げている。ほのかが来るって聞いてなかったのか。
「ああ、今日ほのかは風邪みたいで来れないって……」
「本当ですのっ!???」
お、おおう。凄い圧だな……
「それではっ!早速準備を始めますねっ!!」
そういうと、風莉さんは料理の準備を始める。
「はい。それではまず、包丁の持ち方からですね!」
「はい、お願いします。」
包丁か、うーん、こんな感じかな?
俺は風莉さんから渡された包丁を試しに握ってみる。するとふうりさんから注意されてしまった。
「まあまあ、それでは怪我をしてしまいます!こうやって……」
「うわっ!?」
俺は驚いて声を上げてしまった。だって、しょうがないだろ!??
「えっと、どうしましたか?春翔さん?」
今、風莉さんは俺を後ろから抱きしめるような状態になっている。包丁を握る俺の手の上に、風莉さんの手が……やばい、めっちゃすべすべで、なんか凄い緊張する……
「い。いや、なんでも、ないです……」
「ふふふ。おかしな春翔さんですね。今日は私直伝の肉じゃがをお教えしますねっ!」
風莉さんは楽しそうにしている。これ、絶対わざとだよな……
そんなこんなで、道具の使い方などを一通り習ったのち、さあ肉じゃがを作ろうといったその時ーー
ピリリリリリリ
ん?携帯から着信だ。
「あ、風莉さん、ちょっと電話が……」
俺は風莉さんから離れて電話に出る。お、刹那先輩からか。
「もしもし?」
『あ、はると?ほのかがが風邪引いたって、ほんと?』
「え、ええ。そうですけど……」
『そうなんだ、それじゃあ、今から風莉の家行っていいかな?』
なんだ、結局刹那先輩も来たかったのか。
「ええ、オッケーです!それなら、多めに作ることにしまーー」
シュッ!!!
「…………」
「あ、春翔さん、ごめんなさいっ!手が滑ってしまいましたわ」
あ、危ねえっ!!???今、包丁が、目の前を!シュッ!って、シュッ!って!???
『それじゃあ、今から行くから、春翔、よろしく』
「大丈夫ですか?春翔さん、本当にごめんなさいね?」
今の、本当に、事故だよね?
ーーーーーーーーーー
「ん。本当に風莉のご飯は美味しい」
「本っ当に、美味しいよっ!ふうねえっ!」
刹那先輩が来るのは分かってたけど、まさか杏里までくるとはな、ちょっとびっくりしたぜ。
だけど、ちょっと残念だったのは、人数も人数だからということで、ほとんどすべてふうりさんが作ってくれたということだ。
おまけにしな数も増えてるし……
「どうですか?春翔さん。美味しいですか?」
「ええ、やっぱり、風莉さんの料理は洗練されてるっていうか……ちょっと残念なのは、料理、ほとんど教えてもらえなかったことですけど」
すると、風莉さんは俺の横顔に顔をを近づけてくる。えっ!?何!??
「また、今度、ゆっくり教えてさしあげますわ」




