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今回はほのかの回想編です!!


「てめえ何してんだーっ!!!!」


「ぎゃぁぁぁぁあ」



 私は、その時ヒーローに出会った。


 窓をバットで叩き割り、その男をその勢いのまま殴り倒してくれた、同い年くらいの男の子。



「大丈夫か?怪我してないか?......って、服破れちゃってるな......よっと、ほらよ!これ着ろよ!」



 その男の子は自分が着ているパーカーを私にかけてくれた。


「うっうっうぁぁぁぁぁぁぁ、怖か゛ったっ!!怖かったよぉーっ!!」


 恐怖のあまり抱きついてしまった私を落ち着くまで撫でていてくれたその男の子は、どうや

少し震えている様だった。


 そうか、この子も怖かったんだな......

 怖かったのに、私を助けてくれたんだ......



 私、芒野ほのかはその日、学校が早く終わっていつもより早めに自宅に着いていた。なんでも、近くに変質者が現れるからとかで、中学校の部活も休みになってしまったからだ。


 いつもより早く、しかも部活も休みとなった私は友達と出かけるために喜び勇んで家へと帰った。


 家についてみると、鍵が開いたままだった。やっちゃったなー、鍵閉め忘れちゃったなー。などと軽く考えてしまったのも行けなかったのだろう。


 家に入ると、1人の男がいた。中肉中背、メガネをかけた男だったと思うが、顔はもう覚えていない。家に入った私はその男に組み伏せられた。


 最初はなにをされているのか分からなかった。しかし次第に冷静になり、服に手を掛けられたところでこれはまずいと思った。このままじゃ襲われる、逃げないと。



 男の手を逃れて、自分の部屋に逃げ込み、鍵を閉める。だが、部屋の鍵などたかが知れている。部屋に入り安心した私は警察に電話を掛けようと目を離す。それがいけなかった。



 ガチャリとドアの開く音がすると、男は右手にナイフを持っていた。


「おい、ガキ、動くなよ?? 勝手なことしたら、お前なんてこれで簡単に死んじまうんだからよぉ?にしても、ガキのくせにいい体してんじゃねえか。抵抗しようなんて考えんなよ?」



 私の部屋のドアは外からでもコインさえあれば開けられる。そのことをすっかり忘れていた。そして私は、男に服を引き千切られる。ああ、もう終わりだ。そう諦めた時、彼が助けに来てくれたのだ。



 恐怖に震えながらも、私のために男に殴りかかり、助けてくれた。


 それはまるで私にとって物語のヒーローの様だった。



ーーーーーーーーーー



「ごめんね......ほのか、ごめんね......」


 少し時間が経って警察が来た。もちろんお母さんも仕事を抜けて来てくれた。今更来たのか、そう思ったが、私に会うとお母さんはずっと謝っている。


 だが、私にはもうそんなことはどうでも良い。それより、彼の、彼の名前はーー



「助けてくれた男の子、お隣の神宮寺春翔くんっていうんですって。本当に感謝しきれないわ......聞くところによると、あの子も最近にご両親が亡くなって可哀想な子でーー」


「お母さん!!もっと、もっと、春翔くんについて教えて!!」



 その日から、私は春翔くんについてひたすら調べた。



 親や学校の友達に聞くと、彼は同じ中学校で、同い年の1年D組。部活はバスケ部だったが、事故にあって辞めてしまったらしい。住んでいるのは私の隣の家。そうか、だからあの時助けに来れたんだ。


 運命だ......まさか、隣の家に住んでいただなんて、これ、絶対運命だよね!


 私は胸を躍らせた。



ーーーーーーーーーー




 その日は、勇気を振り絞って彼の家にお礼を言いに行こうと思った。あの事件の後、春翔くんには一回もお礼を言えていない。



「え、お礼?そんなの良いよー。男として、当たり前のことをしただけだろ?」


 私がお礼を言いたいと言うと彼はそんなことを言ってくれた。可愛い顔をしてるのに、結構男らしいんだ。


「そんなことないです!! どうしてもお礼をさせてください!! あ、あのっ!!よろしければ、えっと......夕飯!!とか、その、作らせて......欲しくて......」


 し、しまった、やってしまった!! 本当はもっとお話とかして、もっと仲良くなってからその流れで言おうと思ってたのに......


 急にこんなこと言われたら迷惑だろうし、気持ち悪いよね......ああ〜どうしよう〜〜



「............ええっ!?ほんとに!?料理得意なの!!すごーい!!女の子の手料理なんて食べたことないよ!嬉しいな!!」


 

 ああ、春翔くん、この人は、本当に優しい人なんだ。私が、ちょっと暗い顔をしたら気を使って優しい言葉をかけてくれる。本当に......優しい人。


 決めた。私は、この人のために生きて行こう。この人のお世話をして生きて行こう。



「はいっ!はるくん。これから毎日、夕飯作りに来ますね!!」





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