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 刹那先輩と別れた俺は、自分の家とほのかの家へと向かった。家に着いたら始めに、ドアの鍵を確認する。どうやら、ほのかの家の鍵は閉まっていて、急いで出て来たままの俺の家の鍵は空いたままの様だった。



 素早く自分の家に入り、中の様子を確認する。どの部屋の中も静まり返っていて、ほのかがいる様子はない。だとすると、あと確認が必要なのはほのかの家か。


 俺とほのかの家は隣同士なのでベランダを伝って渡ることが出来る。普段だったら控えるものだが、今回ばかりは仕方がない。窓の鍵さえ空いていれば入れるはずだ。



「.......っと、良かった、やっぱり空いてたか」


 ほのかは「はるくんならいつでもウェルカムですよ!!」と基本的にベランダの窓の鍵を開けておく癖がある。普段なら防犯上如何なものかと注意する所だろうが、今回ばかりはその癖に感謝だ。



「ほのかは......居ない......か」


 俺はほのかの家の部屋という部屋を見て回った。ほのかの家には何度もお邪魔させて貰っているので間取りは分かる。さて、あと残っているのはリビングだけだ。


 俺は周りの気配に気を配りながらも、ドアを慎重に開けた。





「な、なんだよこれ......」


 部屋の中はめちゃくちゃだった。テレビの液晶は割れ、かけ時計も砕け散っている。様々な物が砕け、千切れ、破壊されている中、唯一無事なテーブルの上には、二枚の紙切れが置いてある。



「これ、手紙......だよな? 一体何が......?」


 俺は手紙を手に取ると、素早く内容を確認する。


 手紙の内容はこうだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


芒野ほのか


私は梅野桜子殺しの犯人です。



始めに言いましょう、あなたは彼には相応しくない。



私は彼を愛している。彼は私のものです。私以外が彼に触れようとするのが許せない。



彼を腐らせるものも許せない。そんなもの、私が全て排除しましょう。



長い間我慢して来ましたが、もう限界だ。あなたがいると、彼はどんどんダメになる。



明日の午前10時、地図の場所で待っています。決着をつけましょう。幸い、彼もまた、あなたを疑っている様ですしね。



来ないとは言いませんよね?



あなたの大切な人が傷つけられるのを見るのは、嫌でしょう?



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「な、なんだよ、これ......」



 手紙には、ほのか宛に梅野さん殺しの真犯人と名乗る者からのメッセージが書いてあった。手紙からわかる事は、「彼」という人物に対してその犯人が異常な愛を抱いていること。


 そして、言葉巧みにほのかを今日の午前10時に指定の場所に誘導しようという物だった。おそらく、その場所と言うのは2枚目に書いてある地図につけられた印のある場所だろう。



「良かった、やっぱり犯人はほのかじゃなかったか......でもーー」


 もし、この手紙が本物だとすると、梅野さんを殺した犯人は一体誰なんだ。


 安堵すると同時に、俺をとてつもない悪寒と不安が襲った。


 待てよ? この内容からして、その「彼」って言うのは、ほのかと仲のいい男って事だよな。ほのかと仲のいい男なんて、それこそ.........



「「彼」なんて俺しかいないじゃないかっ!!」


 俺は思わず声をあげ、その手紙を放り投げてしまった。はっきり言って、気味が悪い。


 誰からかは分からないが、自分の独占欲のために人まで殺す異常者から自分に向けられるの偏愛。それは、決して心地の良いものではない。


 俺は、もう一度犯人について考え始める。



「な、なんで......なんで、俺なんか......長い間、しかも、そんな風に愛されるようなこと、俺は......」


 実際、心当たりが無い訳ではない。


 幼馴染4人と今みたいな関係になるには、やはりそれなりの理由があった。なんの理由もなく、皆の様な、美少女で人気もある女の子が突然俺に好意を向ける様になった訳ではない。つまり、犯人候補として考えられるのは、ほのか以外の3人の幼馴染。くそっ、状況は最悪だ。



 ......だが、この手紙のおかげで、不確定だった事項が1つ分かったのは嬉しい。やはり、あの時俺を殺したのは梅野さん殺しの犯人と同じやつだった。


 この手紙から感じる独占欲。もし俺のことが手に入らないと感じれば、俺のことを殺すことだって容易に考えられる。



 くそっ、一体誰がこんなことを......



 





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