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16話



「たすけに、きたよ」



 そこにいたのは、はるかではなく刹那先輩だった。急いできたのか、ひたいに少し汗を浮かべ、息が切れている。



「刹那先輩.......ど、どうして.....?」


「ごめんね、はると。昨日、不自然な感じで、電話が切れたから。心配になって」



 何にせよ、今この状況で刹那先輩が助けに来てくれたのは非常にありがたい。


「待ってね、はると。今それ、外すっ」


 すると刹那先輩は背負っていたリュックから大きなペンチのようなものを取り出す。


「せ、先輩?それは......?」


 すると、刹那先輩はキョトンとした顔をした後、ガキンッ!と手錠を切断すると答えてくれる。


「ああ、これはボルトカッターって言って、南京錠とか切ったりする、あれ」



 あんた、何でそんな物を持ってるんだ......



「でも良かった。もっと厳重な拘束だったら、これでも切れなかったし」



 手足が自由になったことを確認すると、俺は刹那先輩に向き直った。



「でも、ほのかと鉢合わせしないでよかったです。今のほのかに会ってたらどうなるかわかったもんじゃないですし......ってか、どうやって家に?」


「ああ、ほのかが、出て行くの、見てから来た。鍵に関しては......これ」



 刹那先輩はニヤリと微笑むと、ポケットからジャラリと針金状の束を出す。これって、ピッキングセットじゃないか......本当にこの人は、どこから突っ込んだらよいものか。



「はると。色々と思うところはあるだろうけど、取りあえず、ここから出よう。ここは危険だよ」



 刹那先輩の言うことはもっともだ。ここに居たっていつほのかが帰ってくるか分からないし、そもそも何も物事は進まない。



「ところで、刹那先輩。今って何時?なんか、ほのかから睡眠薬を飲まされてたみたいで、時間感覚なくて......」


 すると、部屋の棚の上に乗っている時計を持って来てくれた


「はい。まだ、朝の7時だよ。学校も、まだ始まってない」



 よかった。アリサ会長に電話すればまだ間に合う。何と説明すれば良いかは迷うが、アリサ会長も自宅に居てくれればそう簡単にほのかに襲われることもないだろう。


 電話を掛けようと携帯をみるが圏外になっていることを思い出す。




「はると。ここにずっと残るのは、得策じゃない。ほのかが戻って来るかもしれないし。取りあえず、私の家に行こう。うちなら、安全」




ーーーーーーーーーー



 俺は家から出るとすぐにアリサ会長に電話をかける。最初は困惑していた様だが、理由を話すとすぐに今日は学校を休むと言ってもらえた。


 普段ならあの真面目な生徒会長なら「学校にはちゃんと行きますわ!」などと言いそうなものだが、昨日の喫茶店の一件もあるからだろう。すんなり受け入れてもらえて助かった。




「着いた、ね。さて、これからどうしようか」



 俺たちは刹那先輩の家に入り一息つく。刹那先輩の家はいわゆる高級マンションと言った所で、流石のほのかもこのセキュリティの中を入り込むことは出来ないだろう。



「取りあえず、どうにかしてほのかを止めないと。本当は警察に届けるとかしたほうがいいと思うんですけど......」


「大事に、したくないんだよね。ゆうとは優しいね。うん、2人でほのかを止めよう」



 2人で?なぜ2人でなのだろうか。杏梨や風莉さん、皇にもほのかを説得する手伝いはしてもらえないのだろうか?



「杏梨と風莉さんにも協力を頼みましょう。あ、皇にも言っといたほうがいいか。俺たち2人より、5人でやったほうが上手くいくと思うんですけーー」


「そうかな?」


 刹那先輩は無表情で、少し不機嫌そうに聞き返してくる。なんだ?俺、怒らせる様な事言ったか?



「......いや、まあ、実際そうだね、ごめん。それじゃあ、杏梨と風莉には、はるとが電話して?」


「わ、分かりました」


 俺は部屋の外へ出て杏梨と風莉さん、皇にも電話をする。


 皇にはすぐ電話が通じたので状況を説明すると、何かあったら手伝うと言ってくれた。頼りになるやつだ。


 しかし、まだ朝も早い時間ということもあるからか他の2人には通じなかった。取り敢えず見たらすぐ連絡するようメールを送り携帯をしまう。


「ふう.......ん? なんだ?」



 なんだろう、さっきまで刹那先輩と2人でいた部屋の隣の部屋から何か、人の声の様な物音がする。


 気になった俺はその部屋のドアを開けーー





「はると。なにを、しているの?」






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