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 頭がガンガンする。その鋭い痛みとは対照的に、意識はいつまで経ってもはっきりしてこない。


 随分と時間が経ってしまっただろうか、俺はようやく目を開けることができた。



「くっ........つぅ......」



 目を開けたはいいが、視界がまだぼやける。蛍光灯らしき光も目に染みる。俺は一体......



「あ、はるくん。起きましたか?ごめんなさい、聞かないとまずいと思ってちょっと多めに睡眠薬入れておいたので多少頭痛がするかもしれません」


 目を開けると、そこにはほのかの顔があった。


「なっ......!!?」


 俺は起き上がろうとするが、ガチャリ、という音と共に、何かによって動きが妨げられていることに気づいた。


 な、なんだこれ......手錠??それに、足も、体も縛られて......っ!?



「なっ......ほのかっ!これ、一体どうなってるんだ!?見てないで外してーー」


 俺は思わずほのかに助けを求めるが、1つの異常に気付く。そもそもなんでほのかはこんなに落ち着いて俺のことを見ているんだ?


 改めてよく見ると、ほのかは申し訳なさそうな顔をしていた。



「あぁ、はるくん。ごめんね?本当はもうちょっと痛くないようにしたかったんだけどちゃんと強度があってっていうのだと、手持ちのお金でこれくらいしか用意できなくて......」



 なっ......??


「ほ、ほのか?何を、何を言って......」


「ほら、あいつが、もしかしたら部屋を覗いてるかもしれないから、電波妨害の機械を買ったんだけど、結構値段が張っちゃって......ごめんね?だからーー」



「そうじゃないだろっ!!!これは、これは一体なんなんだよ!!」


 俺は思わず声を荒げてしまった。最初は驚いた様子だったが、言っていることの意味が分かったのか、ほのかは「あぁ」といった表情で答える。


「だから最初に言ったじゃないですか。最近、はるくんにちょっかいしてくるのが多すぎるんですよ。そもそも、今までだってわたしは本当ははるくんと2人が良かったんです。でも、はるくんのために!と我慢してました。だって、みんなもはるくんを一番に考えてくれてると思ってたし、はるくんは最後には私を選んでくれると思ったから」


 すると、ほのかは一呼吸置く。なんだ、ほのかは、何を言ってるんだ?



「でも、みんなは違った......まあ、みんなは後回しとして、最初は星羅院アリサですね。星羅院アリサに、はるくんは騙されているようですから。今は、私がはるくんを守ってあげてるんですよ?.......星羅院アリサ、あいつは絶対はるくんをだめにする......だから、少し寂しいかもしれないけどはるくんはおとなしくここで待っててね?はるくんがここにいるうちに私があれを処理してくるよ。」


 やはり、ほのかの様子がおかしい。今までも、人の話が聞こえていない様な状態になることは何度かあったが、ここまで酷いのは俺も見たことがない。



「ほ、ほのか、みんなって、みんなってどういうことだ?それに、アリサ会長は関係ないだろ!?あの人はみんなが疑われてるから、それをどうにかしようって一体どういうーー」


「可哀想に......」


 ほのかはこちらに向かって悲しそうな顔を向ける。


「はるくん、そこまであいつに......大丈夫だよ?私がなんとかしてくるから。それじゃあ、学校行って来るね!」


「え.......?ほ、ほのかっ.......!!......くそっ!」


 そのままほのかは部屋を出て行ってしまった。



 まずい、どうなってるんだ......これって、監禁ってことだよな?


 このままじゃアリサ会長が危ない......どうしたら......っ!?


 俺は混乱する思考をどうにか抑えて冷静に考える。この状況からして、ほのかがおかしくなってるっていうのは間違いない。


 それに......考えたくはないが、この状況からして、梅野さんや俺を殺したのも、もしかしたら.....



「いや、いくら考えてもしょうがない。これをっどうにかっしないとっ」



 俺は両手、両足に思いっきり力を入れてみるが、手や足が傷つくだけで、拘束が外れる様子は全くない。



「くそっ......どうしたら......」






 10分ほど経っただろうか、俺がどうに拘束から抜けられないかと踠いているとーー


 ガチャリ


 玄関のドアが開く音がして、誰かが階段を駆け上がって来る。


「ほ、ほのかっ......!?」



 俺は、ほのかがまた部屋に戻ってきたのかと警戒する。今度は一体何の用なんだ......






 しかし、部屋に入ってきたのは予想とは違う、意外な人物だった。





「はると。良かった、何もされてない?



 助けに、きたよ」




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