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プロローグ
彼が愛しい。
彼の優しい言葉は、私の凍てついた心を溶かしてくれた。
その時、私は何が起きたのかわからなかった。
恋なんて、想像もしたことがなかった。
私は
ーーただ、嬉しかった。
彼の、私を気遣う優しい言葉が。
ああ、出来ることなら彼と結ばれたい。
彼の全てを独り占めしたい。
彼の声は私だけに囁いて欲しい。
彼の瞳には私だけを映して欲しい。
彼の笑顔は私だけに向いていて欲しい。
彼のためならなんでも出来る。
彼に害をなすものは、全て許さない。
そういうものは、私が全てを処分しよう。
......ああ、彼に愛されたい。
私は、そのためなら......