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情報屋の退屈なる日常  作者: 森崎 紫無
1/1

起点・情報屋の失態

・・・この世には科学が発展した今も解決していない疑問や不思議が数多くある。あまりに多くありすぎて大変なくらいにね。今まで書物や本など過去の記録が書かれた物によって伝わった物語の中、もしくは人々の間で伝わったいわゆる都市伝説。ああ、そうそう。イエティや、宇宙人だとか言うUMAなる存在もかなりおおげさに言うならば、この部類に入るな。



 こんな世界で、俺=『全能の情報屋 テリー』は、この物語の主人公であると同時に、この世の中で半ば都市伝説の一部となりつつあった。



もちろん、物には必ずしも発端がある。ソレは多分、2年程前に電話から警察に通報した女性からの一報によって発覚したのだろう。『俺』のせいで起こった事件はいままで数多くありすぎてスーパーコンピュータを使ったとしても足りない数になる。だが、俺は記憶力にだけは絶対の自信がある。たしか警察内部から頂いた情報によると「携帯に不審な人物から電話がかかってきた。」たったそれだけを訴えていたはず。


・・・・・・一回電話をしただけで不審者とは失礼な。

まあ、一応は『俺』の65番目の契約者となるはずだった人だった。その時、ただのイタズラ電話だと警察の上層部は処理した。と、言うより俺が『させた』の方が正しいか。その女性は顔に疑いを隠せない様子で警察署をすごすごと去った、のを付近の防犯カメラの記録映像から少々データを拝借し見た。



しかし、その一週間後にその女性は都心から北西の方角にある町外れの山の中で遺体、それも変死体となって発見された。


この出来事は当時そこまで大きい事件が無く退屈していた多くのメディアやマスコミに大々的に報道された。

そんな中、とある勇気あるテレビ番組が警察から入手した、彼女の携帯電話の送信履歴から俺の番号へと電話してみようと試みた。さすがに自分のケータイに逆発信されるということは考えも思いもしなかった。だから、単純に彼らの目線で結果から言うならば「成功だ。」の部類には入る。

しかし、電話から出たのは数々のコンピュータの無機質な音と共に聞こえたとある少年の声だった。まあ、この声は俺の声だけど。今でも俺はあの時のニュース、ネット内、そして社会中に駆け巡った衝撃が一気に自分の元に集まって来た、アノ感触は・・・永久に忘れられない。えっと……たしか……こんな感じだったような・・・


   01010101


たしか、このときは依頼の用事が済んで、家に戻ってテレビを付けたら珍しい名前のテレビ局の特番でやっていたんだったな・・・

急に電話がかかってきて、テレビを見ながら受話器を取ったんだったな・・・

「21時36分今現在。一向に返答がありません。この番組を開始して約三十分が経ちました。それでは一時VTRに・・・」


ガチャリッ


「!!!今、電話が繋がりました!ただいまスピーカーにつなぐので少々お待ち下さい……それでは、どうぞ……」

「もしもし、こちらXVZ局、『気になるアノナゾ徹底解明団』という企画の司会をさせて頂いております、中村と言う者です。」

ああ、そうそうこんな感じで出てきたんだったな。その時、テレビの人と電話の向こう側の人の声がほぼ一致していることが分かって驚愕していたんだった。

「…………」 

一瞬だけメディアに俺の情報が流れるのを躊躇して、迷っていたんだ。まあ、今は全て終わったから色々言えるんだけどな。

「急にお電話申し訳ありませんが、ただいま都市伝説である『情報屋 テリー』と呼ばれている人物を追っている最中でして、二週間前に起きた事件の被害者である、とある女性の電話を逆発信した所、ここへ繋がったという訳です。」

「…………」

この時点で俺の名を知っている事に不思議に思ったところもあったけど、どうせ『あいつら』が少し情報を渡したのだろう。そう思って話を聞いていたんだ。

「お時間があるようなら、少々取材させていただいてもよろしいでしょうか。」

この時、俺はこの放送が全国放送か地方放送かだけを考えてたっけな。もしもメディアに俺の存在を知られるのだったらとても派手にしたほうが良い。そう思ってあんなめんどくさい事をしたんだったな・・・今では、あの頃の俺を恨んでもいるし、ナイス!俺の選択肢!とも思ってる。

「あの……ご返答を……」

「EH345926、KM28682、MTY97497・・・・・・」

「あの、どうされました・・・?」

そう言って一時会話が途絶えた。いや、途絶えさせた。

そして次の瞬間、俺が発した音声コマンドによるハッキングが早速効果を発揮し、世界各地のテレビ、電光掲示板、モニターやら、ありとあらゆるデスクトップの画面に俺の顔(もちろん、これもハッキングで別人の顔に変えたんだが。)が映し出された。そして、目の前に移るテレビにも色々な監視カメラからのリアルタイムの映像が流れてくる。東京、ニューヨーク、シドニー、エジプト、ロンドン、パリ等のありとあらゆる人が俺を見た。

この瞬間全身の鳥肌が一瞬でゾワッっとなった。人々が俺を見ている。全世界が俺を見ている。ああ、アア、嗚呼・・・快感以上の良く分からない感情に支配されたよ。その時は極上の蜜に全身を浸かっているような気がしたよ。

「あーあー。てすっ、てすっ。きっこえってまーすかー。」

当然ながら無反応。さも当たり前の反応だな・・・と思いながらも、画面に映る人々に注目した。少しばかり画面を見る人だかりの規模も大きくなってきたところで、世界を動かす『爆弾』を起動させる。

「初めまして。私の名は『テリー』れっきとした日本人です。今、流れている映像は全てリアルタイムでの放送となっております。」

 あまりに唐突な出来事で人ごみの中からはどよめきしか聞こえてこない。

胸の中で早く暴れたそうに狂う興奮を押さえ込み、爆弾の一部分をさらけ出した。

「私の職業は『情報屋』。とある小さな島国の都市伝説。『神々の魂』をご存知でしょうか?」

ん?少しばかり動作が重くなってきた。もうこの事態に対処してきたか。おそらくはアメリカ・日本くらいだろう。だが、知るかそんなやつら。全能の情報屋に対してハッキングで勝負とは・・・面白い。だが。

「KJUMILN875366DT・PoLuman『SECOUND』。おっと、ここで話よりも先に、面白い情報が入ってきました。」

まるでどこかの実況者らしく張り切って次の言葉を放った。

「・・・今アメリカや日本のホワイトハッカーどもが私に勝負を挑んできているようでっす。おっ、ビンゴ!それでは、どうぞっ!」

全世界の画面が切り替わり、蛍光灯の光が隅々まで届かないほど大型の機械や無数のパソコンが収容されているかなり大きい部屋の様子が映る。男女関係無くたくさんの人々がどこぞの国の軍服に身を包み、パソコンに向かって文字列を打っている光景までがはっきりと確認できるほど鮮明に映った。高性能パソコンの滑らかに処理する音が無駄に五月蝿く聞こえてきた。

「おっと、失敬。まちがえちった。てへっ。今映っているのはアメリカでは無くて、北朝鮮とロシアが軍の最深奥で共謀して行っている軍事プロジェクト。それが今進められている、とある施設内の監視カメラの映像でーす。」

もちろん、ホワイトハッカーが勝負を仕掛けているなど真っ赤なウソである。ココは『俺というものは何なのか』という事を知らさせるための犠牲の場である。

相手側はもうこの事態に気づいているのか、カメラの方角を見ている者もちらほらといる。

「現在この二国は、裏で何かしらの条約を結んで世界征服を目論んでいるとのこと。いきなりお子ちゃまの夢みたいに世界征服しようというわけではなく、ちゃんと計画を緻密に立ててやっているらしいです。」

 ここで、又画面を切り替えて先ほどの施設の全デスクトップ、モニターらを音声コマンドを使うことさえせず、手元のキーボードのみで楽々ハイジャックしそちらに直接ライブ通信を行った。

「あーあー。てすーてすー。多分聞こえているよね?うん、聞こえている。それじゃあ早速こちらの用件を伝えるよ~。」

俺の急な訪問にバタつきつつも、きっちり指令は行き届いているようだ。その軍の大部分が俺のハッキング行為に即座に対策しようとしている。その証拠に俺のハッキングがほんの少し遅れている気がする。

その高い指揮能力をもっと別の部分で使えば良かったのに・・・

俺は心の中で悲しみの色を無慈悲と笑いでぬぐった。

「あなた達としては国連やメディアとかに晒されるのは不本意ではないしそんなことは面倒だよね。だから、今は『神々の魂・一魂』『情報・未来を司っていた神の魂を持つ者』としてでは無く、『全能の情報屋、テリー』としてでも無くただの一雑魚市民である俺個人単体、として交渉したい。」

軽く画面内を見渡して俺の『協力者』がいることを確認した。

「そして、こちらの欲求は大きく分けると三つある。」

俺の握ったままの右手を画面の中央部に向けて、人差し指をピンッと立てた。

「一つ目。このプロジェクト及びそれに関連するプロジェクトにいままで参加した者全てを現時点で解雇、解任せよ。そして、それに見合うだけの報酬を一ヶ月以内に支払う事を約束せよ。」

画面の方から大きなざわめきが生じるが完全に無視する。そして、続けて中指を立てた。

「二つ目。このプロジェクトによっていままで被害にあった人々に対して謝罪及び、受けた被害に対等する被害賠償をお前らのプロジェクトをあげて支払う事。」

とうとう軍の最高指揮官なる人物が画面近くに現れたらしい。近くにいる人々は敬礼または一礼している。本人の着ている服にたくさんの栄光があるだろうバッチが胸元に付けてある。

ん?何か指を画面に向けてなにやらお怒りのご様子だが、無駄な物音が多すぎて聞き取れにくい。後にしてもらおうか。

「おっ、折角、最高指揮官殿がおいでになられたけどこっちの要求はまだ完全に話していないんでね。先に話させて頂きます、っと。」

「三つ目は・・・うん、君達が今まで得たデータをそっくりそのまま僕にちょーだい。

以上!」

やっとあちら側の方の人々のざわめきが消えて、やっとあちらの方の声がしっかりと聞こえてきた。

「まずは、勇敢でコンピュータについて博学があり、こんな地下深くの淋しく人目のつかない所まで突き止めた君を賞賛しよう。」

何故か多少の余裕、冷静さが相手側にあり、空気が読めないのかと思わせるほどこちらに賞賛の拍手を浴びせている。

・・・えっ?

「だが、ここではそんなお子様の考えるようなプロジェクトは現在行われてはいない。座標は確かにロシアと北朝鮮のちょうど中間辺りにて共同作業をしているが、これは単純に地理的に考えてのことだ。」

相手の目的が全く分からず、一瞬おどおどするが冷静に考える。

前もってこんな時のために何か作戦を考えておいていたのか、あるいは証拠が無いようにしたのか。またあるいは、そもそも本当にプロジェクト自体にPCを使っていたのか。俺はパソコンにある情報ならば、どんなファイヤーウォールがあれど突破出来る。だが、現在進行形であちら側の全てのパソコンのログを調べているが、確かにこのプロジェクトに関連している情報が一つも無い。

おそらく、パソコンは演算集計のためだけに使われていたのだろう。根拠は単純極まりないのだがあちらのパソコンの九割以上に高性能な演算ソフトが入っていた。しかも、わざわざソフトウェア自体をあっちの人たちのみで作る程。それじゃあ、『アイツ』が絡んでいることはなさそうだな。

もう飽きてきたし、さっさと終わらせようか・・・

「実のところ、もう一年くらいあんたらを追いかけていたんだわ。自分から条件を飲むか、俺に飲まさせられるか、選んだら?」

「そんなことはありえない。いくらハッキングに長けている君でもそれは不可能だ。

私達はこの施設に厳重な警備を置いて……」

・・・一つ。まずは相手を安心させている情報。言わば『土台』を粉々に砕け。

「……るし、それにプロジェクト内だけの専用ローカルネットを常時使用していて、わざわざ俺のような外敵から防衛するため専用のファイヤーウォールのみを製作させているプログラマーを、アメリカのNESAさんのとこから二人、日本の月光セキュリティーさんのとこから三人、拉致してくる程外部のセキュリティーには厳しいんだよね?」

「……!」

相手は無言。絶対☆☆2000%☆☆図星だな。

・・・二つ。次に、自らを切り崩されたその情報に相手は少し不審ぶっているだろうから、その情報の完璧性を高めて隙を無くせ。 

「だって、実際に強制労働されていた人からもその話は聞いていたし。たしか、間違ってグローバルネットに接続してしまった時がこの五ヶ月内に2、3回程度あったよね?その瞬間に五十台近くのパソコン、そしてプロジェクトの本データベースに進入させて頂きました。」

「……………」

もはや静まり返っている相手側の画面を見て『協力者』がもうスタンバイ完了している事を再確認する。

『爆弾』投下まで、残り三分前・・・!

俺は全身を使い大きく息を吸ってはいてを繰り返した。

・・・三つ。敵の中に内通者または味方を送り、敵の本陣内で直接得た情報を話させる事。

「その証拠として、最高指揮官殿の真後ろにいる一組の男女が僕達の仲間です。あ、もちろんこの動画は、リアルタイムでグローバルネット及び全国のテレビ局に流れてますから、あーんな事やそーんな事はしない方が良いですよ。」

「………!」最高指揮官殿はすぐさま後ろを振り返り、笑ってピースを監視カメラに向けている女と両手を組んでよそよそしくしている男に対して、全ての恨みを込めるように睨んだが、またカメラを見た。

「君の考えた『妄想』は非常に理に適っているし、十分にありえることだ。しかし、証拠が無い。しかも国々が連携してわざわざそんな子供じみた事を本気で取り組むとは、到底思えない話だ。」

最高指揮官殿は大人の冷静さと余裕をたかが雑魚レベルのクソガキに教えているつもりだろうが、心の中では冷静とはかけ離れた感情に支配されているはず。

「それに、世界征服とは言っても具体的に何を知っているのか君は知らないだろう。ただの子供の戯言に付き合っている暇は我々には無い。」

・・・四つ。相手が否定・または逃げようとしている時、わざと失敗を犯す事によって、相手を油断させよ。そうすれば・・・

「……………」

「ほら、やっぱり分からないだろ?しかし、明日自らここに出頭してくれれば、その勇気に対して敬意を払い刑罰を無くしてあげよう。」

・・・そうすれば、相手から攻撃機会を与えさせてくれる言葉が得られると同時に・・・


・・・相手の不安要素をさらに拡大させる言葉、ようはトドメの武器ともなりうる。 


あの人からの教えを当てはめ、かつその通りに実行した。

「いや、もう見学させてもらったし、その内容も知っているからいいや。」

「……?」

「そういえば、あなたの息子フルバル君はお元気ですか?」

「……!」

相手は、俺を少し賢いぐらいのただのクソガキぐらいだと思ってたらしいが、一気に俺に対する思いを変えたようだ。その証拠にただ、画面の向こうにいるはずだろう俺を睨んでいる。

「確かに私には息子がいるがそれがどうした。」

「その子、おもちゃをもっていたでしょ。くまさんの。」

彼は「それがどうした?」と言っているような様子で見つめているので、わざわざ続きを言ってあげた。

「そのテディベアの中に、布地からでも十分に外の光景が確認できるほど高性能なカメラと、長時間活動を可能にするべく大きめのバッテリーが多めに。さらに極め付きには電波充電という未来進行形のハイスペックを持つボイスレコーダー入り。それを息子さんからプレゼントされた子供好きのあなたは一体、どうするか。無論、最高指揮官殿は愛らしいそれを仕事中でも目の付く場所に置くはず。それらから導き出される答えとは?はい、『協力者』Aちゃん!答えをどうぞ。」

彼の真後ろにいた俺の協力者が俺の声を聞き取り俺の言葉をつなげた。

「つまり、24時間365日、あなた方は我々に監視されていた、ということです!」

 ・・・右手の人差し指をピンとさせ、頭上に高く挙げながら。

全く・・・そんなポーズをするたびにそれが貴様を特定するきっかけとなり、貴様のファン(ケイサツという名の。)が貴様の手にワッパをかけるために押し寄せてくるとあれほど言っておいたのに。

「……っふははははは。」

(お、もしかしてとうとう壊れちゃったか?)と、面白半分に考えていると、彼は営業スマイルをかなぐり捨て、こちらを睨みながら殺気と怒気を混ぜ合わせたようなオーラを放ってきた。

「………」

さて。もう相手のライフは赤ゲージに突入なう。さて、トドメの先生の教え其の五を使うとしますか。

・・・五つ。追い詰められている相手に最も効く武器は『絶対なる情報』だけとは決して限らない。時、場所、タイミングによっても変化はするが経験上効くのは・・・




  『周囲の人々を完璧な自分の側の味方にし、あっち側の味方を完全に消す事。』




「はーい、この時点でそこにいる全職員に一言、二言。」

多くの職員が同時にビクッとしたが、特に気にせず続けた。

「まず、このテリーの名において今後の君達の情報、安全、命、及び最低限の生活を保障することをここに誓うよ。・・・はいっ、誓った。」

俺は一切の間髪を入れず、次の言葉をすぐさま続けた。

「どうせ、そいつは君達を人質にして、君たちが開発している『電波妨害爆弾』とかでテロを起こす可能性が高いから、早くそこから逃げたほうが良いよ。外の沿岸に大型の舟を7,8つほど用意しているから、安心して全員乗ってね。」

そう言った瞬間に画面から見えるほぼ全員が非常口や扉に大挙につめかけた。

ふははは、まるでヒトがゴミのように見えるわ(笑)。と無駄に俺の脳の残量メモリーと時間を減少させた後、相手に必殺の一撃を放った。

「もちろん、この映像はテレビ局にも流れている訳だから、当然国連の本部にもリアルタイムで流れているんだよ。後は、このUSBメモリーを適当なジャーナリストに送るだけで、あなた達の逃げ場は完全に無くなるよ~。さあ、あなた達がメディアの前で、どのような言い訳をするのかが楽しみになってきたな~。」

そう、言った瞬間、プロジェクトの重役以外の全職員が脱出したのか、大勢のFBSとSWATがやっと突入してきた。そしてあっという間にその場を全て取り押さえた。

いやあ、前もってハッキングで舟の予約とFBSとSWATに突入の指示を出しておいて正解だったな。

「よしっ、あっちはもう大丈夫になったことだし。自己紹介の続きをしましょうかね。」

一時間前に発信されてばかりのこの放送を無視するものは完全に居なくなり、全人類の大半が俺を見つめている。

「俺の名は・・・えぇっと・・・ゲート・G・マナ・テリー。この名前は一応偽名だけど、そう呼んでもらえるといいな。別名『全能の情報屋 テリー』又は『神々の魂・一魂。』」

 そして、俺は時代さえも動かしてしまった、全く下らない、一言を放った。

「この世界にいる俺を見つけ出した者にはどんな願いも一つだけ叶えてやる。もっと簡単に言うと俺に向かって「あなたはテリーですか?」と聞くだけさ。」

あのときの俺は、少しばかり酔いが回っていたのか、さらに下らない一言を放ってしまっていた。

「この世の中は、情報にこそ価値があり、全てが隠れている。さあ、俺の足元まで近づけるものなら近づいてみな。」


           そして、通信が途絶えた。


ツー・・・・ツー・・・・ツー・・・・ツー・・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・ツー・・ツー・・ツー・・ツー・・ツー・・ツー・・ツー・・ツー・・ツー・・・・ツー・・・・ツー・・・・ツー・・・・ツー・・・・ツー・・・・ツー・・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・

ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・エガチ・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・・タクト・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・タ・・・ス・・・ケ・・・テ・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・


 情報屋の部屋の音というものは存在を無くした。

 


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