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監獄惑星  作者: 猫文
キツネ
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強奪

巨大なイモムシの側面から伸縮式のタラップが降りており、小銃を2丁手にした細目の彼が手を振っていた。


『作戦はこうさ、まず私がイモムシに入る。

 明日も呼ぶと言っていたから大丈夫さ。

 見張りの看守も連行する2名だけで施設の中は武装した人はいなかった。

 銃を奪ったら合図するから1丁取りに――』


昨日、細目の彼が説明した作戦に従い、屋外で鉱石の運搬作業をしていた大男が走り出し細目の彼から銃を受け取った。


『採掘プラントの建屋内は看守が多いから近づいたら駄目さ。

 坑道内の囚人に声をかけて脱獄に賛同する人を連れて来るのさ』


坑道を巡回していた看守を躊躇なく銃撃した大男は、

「脱獄のチャンスだ!、協力する奴は武器になりそうなエモノを持って外の車に乗り込め!」と大声を張り上げながら坑道の奥へと進んだ。


声を聞いた囚人たちはツルハシやハンマー、採掘機器などを手に坑道を出て行く。

坑道の外では二枚目の彼が腕を回しながらイモムシへの誘導を行っている。


『大型の武器もあったほうが良いと思うのさ。

 坑道の出口付近に削岩車あるやろ、あれも持ってきて』


削岩車とは坑道を掘るための重機で、直径1mを超える太さの杭を打ち出す装置パイルドライバーと移動のためのキャタピラで構成されている。


不慣れな手つきで削岩車を運転する眼鏡の彼は「おお」と声を漏らし驚いた。

イモムシのクチが開いたのである。

鳥のクチバシのように上下に開いたハッチが、昇降用の傾斜になったのを目視確認すると、一気に削岩車を中へ滑り込ませた。



賛同した囚人が全員イモムシに乗り込むのを確認した大男と二枚目は昇降タラップを収納し扉を内側からロックした。


「ブリッジに案内するよう言われました、こちらです」と、囚人に声をかけられた。

指示をしたのは、先に乗り込んだ細目の彼らしい。


ブリッジを目指し移動している最中


「静かじゃねえか」

腑に落ちないと顔を歪ませながら大男は独り言をこぼしている。


――確かに争った形跡はまったく無いな、と二枚目の彼も感じていた。



見張り役の囚人の前を通り、ブリッジの扉を開き中へ入ると細目の彼と数人の囚人、それと施設の乗組員とおぼしき数名が対峙していた。


「どうなってんだ」声を荒げる大男にその場にいた全員が畏縮した。


――ナントカに刃物だ。

大男に小銃を渡した事を今更後悔する細目の彼だった。


「取りあえず逃げたいんでこの施設を走らせて――」と説明を始めた細目の彼の話を、扉の外で見張りをしていた囚人が遮り、

「あ、あの~、この施設の責任者と名乗る男が来まして~」と、白衣の男を通した。



「騒がしいね、どうしたんです」



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