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監獄惑星  作者: 猫文
モノクル
26/28

到着

――着いた。

スターは懐かしいその光景に胸躍らせた。


着陸用の長い滑走路、打上げ用カタパルト、管制塔、整備用ハンガーが立ち並ぶシャトル発着場だ。


――初めてこの惑星についた時は刑期を終えて早く帰るつもりだったのに、いつの間にか脱獄することになるとは。

まだ脱出できるとは限らないのに、つい感傷に浸るスターだった。




数時間後、上空からシャトルが降下してきた。


ランディングに成功し管制塔の近くで停止するシャトル。

研究所のハンガーで待機していた囚人たちは採掘機器を手にシャトルへと走り出した。


シャトルをぐるりと囲む囚人。

観念したのか、シャトルの腹部ハッチが開いた。


そこから現れたのは4機のMSだった。



逃げ惑う囚人たちを追い、踏み潰すMSたち――。

まさに地獄絵図だった。




まだ研究所のハンガーにいたモノクルは近くにあったインターホンを使いブリッジを呼び出した。


「博士いますか」


「なんでしょうか」


「契約を更新してほしい。あの4機を排除します。私が乗りますのでGを貸してください」


「いいでしょう」


研究所の内部スピーカーが鳴る。

「スノー、乗りなさい」



スノーとすれ違ったスターは、彼女の雰囲気が変化していることに気が付いた。

無表情、無関心は初見と違いないが、何かけがれている。

どことなく妖艶なのである。



出撃準備が整い、Gのコックピットハッチが閉まる。


「レディ……リンケージ……」




シャトルから出撃したMSが4機、待ち構えていた。


・ハイドラタイプ

 両手にヒート系と思われるナイフを所持。

 ククリナイフと呼ばれる形で《く》の字に曲がっている。


・ナイトタイプ×2機

 ランスと大剣をそれぞれ所持。

 ランスは、10mほどの円錐型の突武器、これもヒート系と思われる。

 大剣は、7mほどの長さ、肉厚の刃は鋭利な切断ではなく圧殺用に設計されている。


・アンカータイプ

 盾にメイスを所持。

 ただでさえ装甲の厚いアンカータイプなのに盾を所持している。

 半身を隠せるほど大きく厚い盾はヒート系武器でも容易には貫通できないと思われる。

 メイスは3mほどで、小型の殴打武器。

 盾で防ぎカウンターでメイスを当てる攻撃と思われる、そのためメイスは小ぶりである。




正面奥にアンカー、左右にナイト、中央前にハイドラが陣形を作りながらGを包囲しようとしている。




ハイドラがブーストダッシュで近づいてくる。

振り下ろされるククリナイフ、その腕を掴んで一本背負いする。



※※※※※※※※※※


『ハァ~~ッ、ハッハッハッ、ヒィ~ッ、フハッ、ヒィ~~~ッ』


眼下には地面に横たわる男性の顔。

口、鼻からは出血。

顔面を足で何度も踏みつけている。


『ァハァ~ッ、ハッ、ヒィ~ッ』


※※※※※※※※※※



地面に横たわるハイドラの顔が酷く破損していた。

落ちているククリナイフを拾う。



※※※※※※※※※※


『ヘッヘッヘッヘ~~ェ、フハッ、フハッ』


地面に横たわる別の男性。

ナイフで何度も突かれたらしく体中に赤黒い染みができている。


※※※※※※※※※※



地面に横たわるハイドラのボディが蜂の巣のようになっている。

もう1本のククリナイフを拾う。



左右に展開していたナイトが同時に走り出し挟み撃ちを仕掛けてきた。


片方のククリナイフを大剣持ちのナイトへ投げつけた。

大剣を盾代わりにしククリナイフを受けた。

その動作により一時的に視界が遮られた。


ククリナイフを投げると同時にランス持ちの方へダッシュしていた。

ボディ中央を狙いランスを突き出すナイト。

サイドステップで走行ラインをずらしランスを脇の下に通す。


柄に近い箇所はヒート装置の加熱部分ではない。

そこを脇に挟み固定し、ククリナイフで手首を切断した。

そのまま背後に回りこみナイトの背中を押した。


大剣を構えなおしたナイトの前に押されたナイトがぶつかってきた。

もみ合いになっている2機に向け奪ったランスを突き出す。



※※※※※※※※※※


『グヘッ、ガハッ、フハッ、フハハハッ』


地面に横たわるまた別の男性、それも複数。

手には血の付いた鉄パイプが握られている。

すでに虫の息の男性たちに、さらに鉄パイプの雨を降らせる。


※※※※※※※※※※



ランスは折れていた。

ナイト2機は何箇所も貫通した穴。

打撃されたであろう凹みが全身に付いていた。

遠くに穴のあいたナイトの頭部が2個転がっていた。



折れたランスを放り捨て、代わりに大剣を拾った。

それを持ち上げず、地面を引きずりながらゆっくりとアンカーへ向かう。


右手に持つ大剣、右肩も下がり体がくの字に曲がる、首も右へ傾き、頭は3時を指していた。

決して大剣の重みに耐えられないわけではない。



その異様な姿を恐れるアンカー、じりじりと後ずさりしている。

大剣の間合、盾を構え攻撃を待つアンカー。



※※※※※※※※※※


『アハッ、アハハッ、フハッ、フゥゥゥゥッ』


ピーカブースタイルでガッチリ体をガードする男性。

角材の棒で構わずに殴りつける。

ガードは崩れない。

角材が折れた。しかし殴るのを止めない。

遂に腕が落ちノーガードになった。

殴るスピートをさらに加速させる。


※※※※※※※※※※



原形を留めないほど変形した盾が転がっている。

メイスとアンカーの手首が落ちている。

大剣も折れて切先が地面に刺さっている。


残り半分の大検で執拗に殴りつけているが、装甲が厚いため致命傷に至らない。

殴り飽きたのか、狙いを装甲の弱い関節部分へかえた。


両腕、両足を切り落とし反撃できなくすると興味は失せたようだ。


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