疑惑
食料プラントから当座の食料は分けてもらうことができた。
そして、今後について話し合うため適合者がブリーフィングルームへ集められた。
「さて、これからの事についてですが、何か要望はありますか」
「目的は惑星からの脱出だ、そろそろシャトル発着場へ移動しないか」
先日の戦闘でやらかした青年の主張事件で、皆からの視線が生暖かい。
「そうですね、Gの腕部品も都合がつきましたし」
クロウは戦利品として頂いて来た。
「監獄側の戦力はどんなもんさ」
キツネが質問した。
「詳しくはわかりませんが、まだ数体のMSがあるはずですよ」
「あの――」
なにか聞きたそうなモノクル。
「何でしょう」
「何か都合が良すぎませんか?」
スターは――何言っているんだ――という顔だったが、博士は表情を変えなかった。
「渓谷の追手もクラブだけ、重要施設である食料プラントもクロウだけ、採掘プラントの脱出にしても囚人側の死傷者ゼロ、研究所職員もゼロでしょう」
モノクルはキツネを見ながら
「あなたが話しを持ちかけてから、順調すぎるのです」
「――――ばれたか~」
アッサリと吐露した。
「いつ聞かれるかと思ってワクワクしてたさ」
「あなたも協力者ですか?博士」
「――――ばれましたか~」
笑顔だった。
「どこで気が付かれたんです?」
「最初からです。美味しい話には裏があると言うでしょ。削岩車も前日までは倉庫に仕舞ってあったのに研究所が来た日から外に停車してました」
「ご指摘の通りキツネ君は研究所の職員です。数日前から入所してもらい有能な人材をピックアップしてもらいました。削岩車も私の指示です」
悪びれた様子もなく淡々と経緯を説明する博士。
「監獄側もグルですか?」
「若干ニュアンスが違うかもしれません。新兵器テストのため使用料を払い惑星を一定期間レンタルしているのです。監獄側MSの賠償も予算内なので問題ありません」
スターは話についていけなかった。
ネギ、牧師、リーマンはいつものように無反応。
モノクルは深いため息をついた。
「さて、裏事情を知った皆さんですがどうされますか」
「どうって」
回答に詰まってしまうスター。
「混乱しているかもしれませんので、こちらから提案しましょう。採掘プラントからシャトル発着場まで皆さんをお連れする。この契約は今後も履行されます。条件は適合者の皆さんがGに乗るだけです」
「なにもかわらない?」
「その通りです。何も変わらないから裏事情をお話したのです」
「狐につままれるとは、まさにこの事だ。――あ、キツネって」
キツネの顔を見るスター。
ニヤニヤと初日に会ったあのイヤラシイ笑みをこちらへ向けている。
――1番のピエロは俺か。
何かを諦めたスターだった。
「この先、どのようなプランだったか、お聞かせ願えますか」
唯一冷静なモノクルが質問を続けた。
「シャトル発着場へ向けて進行します。MSが1台ずつ出現するので撃破してもらう予定でした」
「発着場の警備は?」
「到着した時点で残存MSはありませんので無条件開城です」
「シャトルは?」
「シャトルについては契約外です。皆さんのお力で何とかしてください」
少し悩んでいる様子だったモノクルが
「私はプランに従おうとおもいます」
他の適合者も特に意見は無く。
「それでは契約更新ですね、シャトル発着場へ向けて前進しましょう」
相変わらずの笑みを浮かべながら博士が
「次の搭乗者はネギ君です」と告げた。




