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小仙女――わけありで汚れ役の傷ものヒロインがけなげに頑張る  作者: 壺中天
第1章 壺中の灯火(こちゅうのともしび)
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小仙女児

女児を妖術師は小仙女と名付ける

 

 リューシィ・ティーすなわち小仙女、そう名付けたのは妖術師ローランだった。

 妖精通語でリューシィは仙女、ティーは小さいを意味し略すとリュティーになる。


 彼は女児が何者かを知っていたのかもしれない。

 そして抗議をこのようにあしらった。


「人間でもなければ神筋でもなく、精霊でもなければ妖魔でもない。鳥獣でもなければ魚介でもなく、草木でもなければ鉱物でもない。そんなしろものをほかに何と呼ばせる?」


「……」

 女児は返答につまった。


「まあ、魔物とか化け物とかいった、懐かしい呼ばれ方もあろうが」

 妖術師は皮肉る。


「なっ、なつかしかないやい!」

 女児はむきになった。


「ならば己はリュティーだ。よいな、リューシィ・ティー?」




 “恩は必ず返し、 怨みは必ずらす。”女児はかく誓った。

 されど何が死者にしてやれよう、如何いかで魔王へ立向かえようか。


「4つの秘法を得て、3つの神宝を求めよ」

 妖術師が告げる。


「さすれば魔王をたおし、指輪を取り戻せる。

 それがあれば世界を救うことも、己のほしいままにすることも出来る。

 何れも望まぬなら、剣を鍵、鏡を扉、珠をしるべにし、別界へ抜け出せる。

 すべての枝が朽ちるまでには、そうとう猶予があるだろうしな」


 さらに、つづくる。

「誓いに縛られるは愚かだが、心はり所なくしてあらぬ。

 想いの結びめは心をなし、誓いはそを固める呪文なれ」




 諸々の世界統べる神は九柱であるという。

 名を知られたる神が七柱、名を知られざる若しくは、定説のない神が二柱いる。

 人々は名を知られざる二柱に、各々が信仰する神をあてている。



  ――汝は、九度死して九度よみがえらん。そは九柱の神の命をもととせり。

  彼らを殺す罪により星の乙女があがないし、汝への哀しく呪わしき祝福なり。

 

これより、我らの旅の物語を始めよう。

そは“知らざる者なき魔術師ローランの知れる者なき物語”。

汝、リュティー、小仙女の物語だ――。



次回 第2章 水底の指輪(みなそこのゆびわ)

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