表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒトコイ  作者: An@An
2/9

青年

一周見渡して、なにもないやとブランコに目を移すと、一人の青年がブランコに乗っていた。

黒い髪が目を隠すほど伸びている。

そのせいで目が見えない。

青年は、秋になったとはいえ、まだ暑いであろう、クリーム色のセーターをきていた。

青年がゆっくりと立ち上がり、こっちへ近づいてくる。

つい、後ずさりをしてしまった。

この青年の、雰囲気が、雰囲気の色が、不思議なのだ。はじめは黒いと思った。しかし、黒は黒でも深い、ただの黒と断定するにはあまりにも多すぎる色が混ざっている気がするのだ。

青年がすごく近くに来て、顔を覗き込んで来る。

「あ、あの…えっと」

こんなまじかで人に見られることがないため、恥ずかしさがこみ上げて来る。

「なんでここにいるの?」

青年が口を開いた。少し低めの声でそう言った。

「あ、あの、とりあえず…離れてもらえませんか。」

目を見れずに、要求した。でも、切実な願いなのだから。

「あ、ごめん」

青年は少し焦ったように、距離をとった。

「それで、なんでここにいるの?」

青年がもう一度聞いた。

「えっと…」

なんでだっけ?あの道を歩いていて、視線を感じて…。

「視線…」

「視線?」

無意識に口に出していたようだ。

「はい。視線を感じて、それでここまで、来たんです」

視線…青年のものだろうか。あんなに距離があって、感じるものか?

かたん。

青年がまた、ブランコに乗ったようだ。

ふと、祖母が頭をよぎった。

「時間…」

急いで時計を見る。

5時42分…。

「いそがなきゃ」

急いで、元の道に帰らないと。

公園からあの細い道に出ようとした時、

「またおいで。小春…」

青年が笑った。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ