出会い
夏も終わりに差し掛かり、秋風が教室の窓からふわりと入ってくる。
窓からは透き通った青い空に一本の飛行機雲が線を引く。
「〜でさぁ、小春?聞いてんの?」
友達の愛月の言葉で我に返った。
「あ、ごめん。で、なんだっけ?」
「もー!今度の先輩の大会一緒にみに行こうって話し!」
「あ、だったね。いいよ」
「本当⁈やったぁー!んじゃ決まりね♪」
愛月は飛び跳ね、喜んでいた。
私は折出小春
15歳。高校1年生。
友達、1人。
成績、普通
性格に難あり。まぁ、だから友達が一人なのだが。
時計を見ると、4時になろうとしていた。
「ごめん、愛月。これから祖母のお見舞いに行かないといけないから。」
机の上に置いた、本や勉強道具カバンにしまう。
「はぁい!りょーかい!いってらっしゃーい。」
愛月に手を振って、図書館から出る。
すーっと風が横を通る。
祖母は去年から知人の経営している老人ホームに入っている。祖母は嫌がっていたのだが、私の両親が無理やり入れたのだ。そして、それを後ろめたいと思ったのか知らないが、祖母の機嫌取りに、私が毎週お見舞いに行くことになった。
祖母のいる老人ホームは図書館から歩いて30分のところにあるのだが、ひと気がない。なんでこんなところにという場所にひっそりと立っている。
図書館の周りはなかなか人が多いのだが、一歩道を曲がるとガラリと風景が変わる。
レンガ造りの建物が多くなり、細い道だけになる。私はこの道が好きだ。多くの物や人に溢れかえったあの街よりも静けさがじわりと体の中に入ってくる感じがいい。
静けさを堪能しながら歩いていると、ふと視線を感じた。感じた先を見ると、家と家の間に人一人入れるかどうかの小さな道があった。
…こんな道、あったっけ?
時計を見ると、5時20分。祖母のところまでは6時についておけば大丈夫。まだ、時間はある。
いこう。
その道に入ろうとすると、カバンが引っかかった。
もう、意外と狭い。
カバンを頭の上に持ち上げ、進んでゆく。
これ、どこまで続くのかな。
五分ぐらい歩き続けて、この先はないんじゃないかと半な不安に襲われたとき、視界が開けた。
「え…」
そこには小さな公園があった。
草も生え放題で、ブランコがひとつ、申し訳な下げに設置されてあった。
そういえば、あの視線はなんだったのだろう。
公園内を見渡す。
「え…」