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戦争の終結

お待たせしました。

今回で、第二章は完結です。

ちょっと、我ながら微妙な終わり方と言いますか、展開が速いです。

このような拙い作品ではありますが、近日公開の第三章も御付き合い下さると幸いです。

「………?」


ふむ、不可思議な事よのぅ。

主様の魂力がふと消えたと言うのに、存在は強く感じるのじゃ。

主様が去ぬと、我も道連れになるのじゃが、どうしたものか、消えもせぬ。

じゃが、まぁ、何やらゆゆしき事が起きているのは確かよのぅ。


「のぅ、そちよ」

「ん?オレか?」


我の隣で、同じように主様が駆けて行った方角を見ておった、……紺女武者?だったかのぅ……に一つ案を述べる為に、我は話し掛けた。


「そうじゃ、そちよのぅ。どうじゃ?先程より主様の気が奇怪な事になっておるのじゃ。そなたと我も主様を捜しに行くと言うのは」


我ながら、良い案じゃと思うのじゃがのぅ。


「そうだなぁ…瞳子のヤツ、勝手に飛び降りて行っちまうしよぉ。だが、この要塞の統率は、オレが取らなきゃいけないしなぁ………悪い、オーガの姉さん。今回は無理だぜ」


紺女武者からは、連れない返事が帰って来おった。 まぁ、述べている事は正しきこと故に、無理を言うのも憚らるのぅ。


仕方あるまいに、主様に死なれて困るのは我じゃからなぁ。

どれ、少し天気でも伺いに参ろうかの。


「では我だけで行くかのぅ。それでは女武者殿、後は任せたのじゃ」

「はぁっ!?ちょっ、待って!?」


我も主様と同じように、制止を振り切って砦から飛び降りた。





…………これまた見事に殺っちまったーーーっ!!

惚れ惚れしない殺し方ですよ、ガキンチョのは…

どうしよう、エーリカんが起きたら絶対に復讐だっ!!…とか言って斬りかかって来るに決まってる…

いっそのこと死体を消滅させて、シラを切り通すとか……それこそ無理に決まってるでしょ。


「はぁ……」


目の前に転がっているガキンチョの死体と、魚市場に揚げられたマグロのように転がされたエーリカんを前にして、良い感じの逃げ道と言うか言い訳と言うか…を考えつつ、数回目の溜め息が出てしまった。


大体、よくよく考えたら胸刺された位でHPが全損するわけが無いのに、どうしたんだろ。

お陰で変なのが発動して、攻撃してきたガキンチョをぶち殺しちゃって、ついでにエーリカの頭を握り潰す寸前だった訳か…


しょうがない。

ガキンチョを生き返らせるのは後にして、先にエーリカんを治療するか。


私の指の形がくっきりと着いているヘルムを脱がせる為に、変形した留め金を優しく引き千切り、ゆっくりと外して行く。

完全に外し終わると、ヘルムの中で束ねてあったらしい長い髪の毛が、バサッと解放されて地面に横たわった。


「うほぅ……これはこれは」


やはり、この娘は雄輔の遺伝子をちゃんと受け継いでいた。

こっちの世界では珍しいが日本人特有の鴉羽色の髪に、目許辺りが雄輔そっくりだ。

輪郭はどちらかと言うと西洋人…つまりこっちの人の輪郭だ。

ぶっちゃけ分かりやすく言いますと、ヨーロッパ人と日本人のハーフみたいな感じですな。

しかも、良い感じに両方の良いとこ取りしていて、中々の美人さん。

奥さんが良かったのか、はたまた雄輔のオタマジャクシが当たりだったのか…ハァハァ…ジュルリ………ハッいかんいかん。


取り敢えず、光属性魔法で手っ取り早く外傷と脱臼を治癒させて、気が付いた時に痛く無いようにした。

それから、一番最初に私がリーラちゃんに起こされたときみたいに、水属性魔法で顔面に冷水をぶっかける。


「ひゃぅっ!?」


効果は抜群で、ガバッと飛び起きた。

それから、状況を確認するかの様にキョロキョロと辺りを見回して、腕を組んで見下ろしている私の姿と隣にきちんと横たえられているガキンチョの死体を見て、何か諦めた様に呟いた。


「……殺せ。私の敗けだ…」


そう呟きながら、ガキンチョの頭を名残惜しそうに撫でた。


「私がそんな事するわけ無いでしょ。まぁお仕置きはするけど」

「………何故だ?私は貴様を殺したのだぞ」

「いやぁ、実は死んで無かったんだけど……何故かと聞かれたら、そうだねぇ。エーリカんは私の姪っ娘だからかな?」

「……私が…貴様の姪…だと?それは一体…っ」


綺麗な碧色の瞳が、私の目と交差する。


「つまり、エーリカんの父ちゃんは私の弟って事だよ。フンメルって周りからは呼ばれているみたいだけど、本当の名前は雄輔って言うんだよ」

「…………昔父上に聞いた事があった…父上の本当の名前を……それに、父上の宝箱の奥底に、襟元に神聖文字が書かれた小さい奇妙な服が入っていたのを見た……」

「………なんで人の宝箱を開けてるんだよ」

「私が幼い時に、母上が父上の性癖を調べる為に、私を父上の書斎に潜入させた事があって……」


ちょっ、奥さんwww

マジでナイスと言っておこう。

気が合いそうだなぁ。


「で、雄輔の性癖は?」

「……出てきた春画は…大抵が鎖骨やら胸周りを強調していたものばかりだった」

「さ、鎖骨…」


なんてマニアックな…いや、分からんでも無いけどなぁ…奥さんに教育を誤りましたって頭を下げなければ。

まぁ、下手にアスホーとかに走らなくて良かったとは思うけど、鎖骨って生産性が有るとは思えないんだけどなぁ…


「母上は、元々軽い服を好んで着ていて、何時も肩や首許が見えていたから、何やら満足していたのを覚えている……あれは一体何だったのだろうか…」

「君にはまだ早いと思うよ……ところで、そのガキンチョとの関係は?」


エーリカんは、さっと表情を曇らせて再び髪の毛を撫で始めた。


「私の、腹違いの弟だ……」

「つまりは、妾か側室の子供って事かぁ」

「あぁ、まだ兄弟は居るがな…」


クソッ!雄輔のヤツ奥さん何人居るんだよっ!ハーレムなんて羨ましいことしやがって!!しかもヤリ○ン……

私は負け犬だぁぁぁぁぁっ!!


「こいつは…いや、ハインツだけが私になついてくれたんだ……他の兄弟達は、女として産まれたとは言え、正室の第一子で最年長の私からは、どうしても一歩退いてしまってな…」

「私からしてみれば、不慮の事故みたいな感じで殺っちまった訳なんだけど…何だかんだ言って、ソイツも甥っ子なのかぁ、仕方無いなぁもう」


職業を神官に変えて、錫杖を装備する。

騎士甲冑に錫杖ってなんか合わないなぁ。

ちなみに、錫杖の名前は【ラ・グロワール・デュ・ソヴァール】で、どうやらフランス語らしい。

聞いた話では、救世主の栄光だとか。

私はそっち系は専門外なので分かんないけどね。


「ど、どうするつもりだ?」


エーリカんが、ガキンチョを庇う様に抱き抱えた。

なんか、冗談を言いたくなってきた。


「いやぁ、ソイツの死体を使って、アンデット化させる闇属性魔法で、リッチにでも変えようかと…」

「止めろ!!幾ら私の伯母とは言え、そんな事はさせん!!」


腰に掃いていた片手直剣を引き抜いて、私の前に立ち塞がった。


「じょ、冗談だよ!今の私は神官で、ネクロマンサーじゃ無いから安心して!ほら、ガキンチョ生き返らせてあげるから」

「本当かっ!?死人を蘇らせる魔法は、過去に失われてしまった筈だが…っ」

「問題あーりませーん。しかも、ただ生き返らせるだけなら、中級の光属性魔法でいけまーす」


体力30パーセント回復で蘇生ならね。


「頼む!私の弟を生き返らせてくれ!!何でもする!!」

「ほぅ…何でもする…グヘへ、良かろう!生き返らせてやる!!かの者の魂をここに、【リザレクションLv1】!」


錫杖を天に向かって掲げると、ガキンチョの体を囲む様にして魔法陣が展開し、ゆっくりとガキンチョの死体が浮き上がる。

そして、天から一筋の光が降りてきて、ガキンチョを照らし、一瞬強い閃光を放つと魔法陣が消え、ドサッとガキンチョが地面に墜落した。

まぁ、腰当たりまでしか浮き上がらないから、大したダメージは無いはず。


「……いったーいっ!!」


頭を抱えて急にのたうち回り始めたガキンチョに、顔を綻ばせたエーリカんが抱き着いた。


「ハインツ……っ!!」

「お姉ちゃん?」

「良かった……本当に…伯母上、感謝する…っ」


ガキンチョを抱き締めたまま、エーリカんがこちらを向いて、礼を言ってきた。


「なぁに、約束さえ守ってくれたら、幾らでも復活させてあげるさぁ。あ、死体が無いと復活させれないけどね」

「い、一体…あっ!お前は!!」

「止めるんだハインツ!あの方は、私達の伯母上だ」

「私達の…伯母上?」


ちょうど太陽が雲に隠れたので、ヘルムをアイテムボックスにしまって素顔を見せる。


「ふぅっはっはっはっはっはっはっはっはっぁ!!お初にお目にかかる、闇の大魔王にして、雄輔のお姉ちゃん!暗黒院艶子だっ!!」

「マスター、嘘はダメですよ」

「うぐっ……黒森瞳子でーす」


胴丸の中から、ボソッとミルクたんがオπを掴みながら言ってきた……

さくらんぼさん辺りを掴まれると痛いんですけど…


「黒森…」

「そっ、君たちの本当の苗字だね。これからよろしくね………それでなんだけどさ、今回の遠征は諦めた方が身のためなのだぜ?私がリミッターを完全解放して、魔力を全力でバーストさせたら、あの程度の軍隊なんざ一発だからねぇ」

「で、でも…っ」


ガキンチョがまだ何か言おうとする。


「でももヘチマも無いよ。また死にたいのか?エーリカんが何でもするって言う約束でお前さんを復活させてやっただけで、次は有るか分からないよ?」

「…………っ」

「それに、ここだけの話なんだけど、私雄輔と約束してさ。諸王国連合から雄輔の国を独立させる手伝いをするって」

「「…っ!?」」

「だから、先に帰る様に言ったんだよ。雄輔に」


しばらく二人共沈黙して、俯いたまま考えていたみたいだが、エーリカんが顔を上げた。


「伯母上…何から何まで迷惑を掛ける…」

「伯母さん、ごめんなさい」

「分かりゃ良いって事さぁ。気にしない気にしない。そうと決まれば…あひぃっ!?」


急に首筋を舌で舐められて、背筋がぞぞってなった。

目の前の二人は、ポカンとしてる。

大体、背後に居るヤツの正体は分かった。


「この疫病神めぇ……」

「応、主様よ。心配になって来たのじゃ。どうやら平気だったようじゃなぁ」

「………なんとかね」


疫病神は、何処吹く風と言わんばかりに、妖艶に笑いながら空中に漂ってやがる。

足を引っ張って墜落させてやろうとしたら、ヒラリとかわされてしまった。


「ふふふ…やれるものならやって候らへ」

「何時かギッタンギッタンにしちゃる…っ!!」


呆然としたままの二人を急かして再起動させて、大王に今回は諦める様に言えと言付けして、一度六芒郭まで戻った。


「参謀長閣下ぁぁぁぁっ!!て、ててて敵はどうなりましたっ!!」

「お、落ち着いて!!フェギル大隊長!敵の魔法使いはもう心配ない!!」

「ほ、本当ですか!!」

「あぁ。大丈夫だ。あとは、大王がどう出るか…だな…」


直ぐに諸王国連合軍の進軍が停止し、しばらくすると白旗を掲げた騎士数名が停戦協定の提案と、大王の手紙を持ってやって来た。

それからがもう大変。

六芒郭に次々と王都から文官やら王様が押し掛け、相手からは大王がやって来て、文官達を交えての捕虜交換の手続きや身代金と損害賠償金の査定、新しい協定の取り決め等々…しかもそれら全ての会議に出席しなくてはならず、しかもたったの三日間で徹夜を敢行しながら話し合った。

かなり、今回は大王が譲歩したので、王国にとって美味しい結果に終わった。

結果、諸王国連合軍は多大な損害を出して事実的に敗北し、王国側はほとんど人的被害を出す事なくら完全勝利となり、ここで短い戦争は終結した。

これで分かった事なのだが、実は王様が結構お人好しだったと言う事だ。

大王がかなり譲歩したのは、ここにあったのだ。

身代金こそは、そこそこの金額になったが、無理難題な条約内容や領土の分割、大王の身内からの人質要求等をせず、諸王国連合軍の将兵が飢えずに帰れる程の食料までも提供したのだ。


これに、ちょっと厳つい顔した大王は感激して、もう二度と王国には攻め込まないと何度も言っていた。


すったもんだな終わり方をした、今回の事件だが、お蔭様で王宮内での地位が固まってしまった。

まぁ、参謀長兼大将軍的な……あんまり嬉しいとか思わないけどね。

個人的には、【アダマンランク】の方が欲しかったぉ。


……戦争は終わったけど、まだ私と諸王国連合との戦いは終わって無いのだ。

そう、今度は山脈を越えて、単身で諸王国連合の領土に侵入し、雄輔の治める国に行かなきゃならんのよ。

さて、こっからが大変だなぁ……


第二章如何だったでしょうか?

あれ?結局瞳子さん殺しまくり…?何の事だか分かりかねまする…

それでなのですが、皆様には第二章に関するご感想頂きたいのです。

どのような事でもよろしいので、何か一言でもお願い致します。

By作者より、読者の皆様へ愛を籠めて…


『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ

このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!

正解しても何も無いけどね。

それでは行きます!


『鶺鴒』


これはなんと読むのでしょうか!

出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。

そして、前回の答えの発表です!


『鴗』と書きまして、『そにどり』と読みます。

そにどりとは、カワセミの古い言い方のようです。

『そび』とも読むそうな。』

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