作戦会議(2)
少し難しく感じるかもしれません…
意見進言をしろって言うから、改めて意見進言したら、なんと言うこの沈黙ようは…静か過ぎて、こっちが困る。
これはアレですか、新手の新人イジメですか。
「……そなたは、今まで軍を率いていたか?」
ん?話の筋が見えないんですけど…
「実際には率いては無いですけど…卓上戦争は幾らか」
嘘は言ってない。
マスゲーとかはちょくちょくやってたからねぇ。
『大○略』とか『萌○萌○二次大戦争』等々…そこに『信長○野望』とかが来ると。
内政も任せろ!
「へ、陛下!ですが徒に兵を出しては消耗するだけで御座います!ここは籠城する事が最良の策かと!」
声のした方へ視線を向けると、デップリと肥太った豚貴族が、禿げ散らかした頭皮に脂汗をギッチギチにして、反論してきていた。
コイツ、怖じ気付きやがったな…
物語に出てくる貴族と全く変わらないなぁ。
今日も平常運転ってか?
仕方ない、間違いを訂正してあげよう。軍師としてね。
「今回の戦いでは、籠城戦は最も愚策中の愚策ですね」
「なっ!何故だ!」
コイツ、本当に命欲しさに言いやがったんだな…
立て籠っている間に、自分は荷物纏めてとんずらってか?
「問題だらけですね、籠城戦に利点が見出だせません。そもそも、我々と敵の戦力差が違いすぎます。敵方が一万で、こちらが五千から八千ならば得策でしょうが、相手が九十万に対して一万二万では、話しになりません」
「ここ、こちらには重厚な城壁が3つもあるではないか!!連中に破れる筈がない!」
その声に、ちらほらと同意する声が上がった。
なんで王様が軍師をドタバタで募集したかが良く分かった気がするぉ。
まぁ、確かに城壁が有るけどねぇ…結界が劣化してきてるヤツが3つも。
「そうですね、仮に籠城したとしましょう。我々は周囲を敵に囲まれました。周囲二十キロルの下層区外壁上に、二万の兵士を配置したとします。兵士達の立つ間隔は約一メトルです。ここまでは分かりますか?」
「あ、あぁ…だからどうした」
「二万と言うのはこちらの全兵力です。敵は、無理に城壁越えを実施しようとはしない筈ですので、攻城兵器と魔法使いによる結界破りと城壁壊しに掛かったとします」
「何故城壁越えをしないと分かる!!」
「それはわざわざ登らなくても壊した方が早くて安全ですからね。それに、登られた場合でも、質量に任せて押し潰されるのが目に見えています。敵だって人間です。トロールの集団の様に馬鹿じゃ無いので、無闇に兵を失ったりしたくは無いでしょう?」
豚貴族が歯軋りしながら唸る。
結局コイツは、親の七光りでここに居る様なヤツだって事が良く分かった。
「続けよ」
王様が、やたら真剣な目付きで先に進めるよう促して来た。
同席している殿下や、最初に肯定してくれた騎士のお爺さん、そしてエドラムお爺ちゃんまでもが凄い真剣に話を聞いていた。
「敵が攻城兵器を持ち出して来ました。こちらも、攻撃されるのをただただ見ている筈も無いので、簡単な魔法と弓矢で抗戦を始めました。一人が持てる矢の数が約20本だと考えて、それすべてが命中し、敵兵を殺したとしても、四十万人しか倒せません。ですが、絶対にそんな事はあり得ないので、鎧で阻まれたとして一万人を倒せました。ですがこちらには弓矢が有りません。何せ補給部隊がいないからです」
そう、二万と言う仮想軍隊は、総兵力だ。
もちろん補給部隊も入っている。
それを引いてしまっては、兵力が激減するだろう。
補給部隊だって、弓矢の供給し続ける事は無理だ。
城壁の長さが長すぎる。
「では、平民を補給部隊として召集すれば良いではないか?」
殿下が良いところを突いて来た。
まぁ、私はそれを待っていたんだけどね。
「その平民達は、日頃訓練をしてますか?それによって話しは変わって来ますが、先ず訓練を施している筈がないので、外壁上は間違い無く混乱に陥ります。あちらこちらで矢を欲しがる催促の声が上がり、人々は入り口に近い所から規則無く渡して行く筈なので、真ん中で抗戦している兵士達に矢が供給されるまで、一体どれ程の時間が掛かるでしょうか?もしかしたら、狭い外壁上で、一斉に供給しようとするかも知れません」
私の指摘に、殿下は再び考えて始めて沈黙してしまった。
「まだまだ理由が有りますが、一つ一つ理由を上げて行ったらキリが無いのでここまでにします。とにかく、私が言いたいのは籠城戦が無謀だと言う事です」
豚さんは、まだ納得しないような顔をしていたが、もう何も言って来なかった。
ふと、騎士のお爺さんが片手を上げて、質問をして来た。
「お前さんが言っていた、ゲリラ戦とやらは何をすれば良いんじゃ?」
「はい、ゲリラ戦とは真っ向から戦わず、常に物陰に身を隠して横合いから奇襲したりする事です。ほとんどの場合は、斬り結んだりはせず、一撃離脱が基本ですね」
「うぅむ、騎士道としては精神に反する…」
「でも死んでしまったら、文句すら言えなくなりますよ。人海戦術に、わざわざ付き合ってやる必要は無いのです」
「成る程、お前さんの言う通りかもしれんのぅ…それで、兵站を叩く意味はなんじゃろうか?」
「兵站を叩くのには重要な意味が有ります。軍が最も浪費する物は何だと思いますか?殿下」
「わ、妾か?……食糧では無いだろうか」
「正解です。軍隊は常に膨大な量の食糧を無駄食いする、巨大な化け物です。それを支える補給線と兵站は、それはもう巨大なモノでしょう。そこで、それを逆手に取って補給線を潰し、補給部隊を叩き、備蓄してある兵站に火を点けます。これによって、明日の飯にありつけるか分からなくなった兵士達の士気は、目に見えて低下するでしょう。ですが、少しだけは火を点けずに残して置かなくてはなりませんけどね」
「全てに火を放ってはいかんのか?」
今度は王様が、理由が分からないと言う顔をして、首を傾げた。
まぁ、普通は分からないだろうねぇ。
景気良く根刮ぎ燃やしてしまえって、思うのが当たり前だし。
だけど、全て燃やしてしまうと、とんでもない事になりまっせ。
『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ
このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!
正解しても何も無いけどね。
それでは行きます!
『信天翁』
これはなんと読むのでしょうか!
出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。
そして、前回の答えの発表です!
『金雀枝』と書きまして、『にしえだ』と読みます。
エニシダ属はマメ科の属の一で、アジア西部からヨーロッパ、アフリカの温暖な地方に30種あまりが分布しているようです。
落葉または常緑の低木で、樹高は2-4mくらい、良く分枝し、葉は単葉または3裂し、非常に細いものが多く、花は良く分枝した枝の葉腋に咲くか、総状花序を作り、一つの花は小さいですが、非常に多数の花が開花します。
原則として黄花ですが、白花もあり、交配種には赤・牡丹色・ピンク・オレンジ色や、それらと黄色の複色花になるものもあるらしいです。
果実はさやえんどうそっくりのようですが、熟すと真っ黒になるとの事。』




